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待ってみようか。

待つこと。

Webからの事前予約に、メッセージアプリの活用。予約時間にレストランに行けば、すぐに席に座れるし、遅れるというメッセージを受け取れば、その間にほかの用事を済ませる。さまざまな技術の進歩のおかげで、最近のわたしは“待つこと”をほとんどしていない。

便利だ。次々にやりたいことがこなせて効率がいい。そう、待つのは時間のムダなのだ。

そんな心持ちで暮らしていて、実際に待つことが減ってくると、だんだん待つことに耐えられなくなってくる。あぁ時間がもったいない、もぉイライラする、ねぇこの時間があれば、ほかにもいろいろできたはず……なんて思うことが増えている。

でも、これでいいのかな。本当にいいのかな。ときに待つことが大事なことって、あるんじゃないかな。いや、きっとあるんだよ。

なぜこんな話をするかというと、ちょうど10年前。犬のボレを飼い始めたときのこと。ドッグトレーナーさんに犬の習性やしつけの方法を教わったなかで“待つこと”についての新しい発見があった。

しつけの基本である「おすわり」。最初、ボレに向かって「おすわり」といっても無反応。次に「おすわり」「おすわり」とくり返すも、なんですか? というような表情でこちらを見るだけ。そしてもう一度「おすわり」と言おうとしたとき、

「そんなに何度も言わないでください。ボレくんが考えているときは待ってあげてください」とトレーナーさん。

えっ、待つ? そうなんですか。

待った。すると、5秒後ぐらいだろうか。こちらをじっと見ていたボレが、すとんと腰をおろしておすわりをしたのだ。

驚いた。どうもボレは「おすわり」という言葉はちゃんと聞こえていて、おすわりをどうすればいいのか悩んでいたようだ。つまり、わたしが待った時間は、ボレが考えた時間。考えたことで、ボレはおすわりができるようになった。

待つことは、犬のしつけのなかで、とても大事なことだそうだ。たとえば「待て」ができれば、犬は興奮状態から脱することができる。そして、その「待て」を教えるためには、人間も待つことが必要なのだ。


相手が理解しているかわからないとき。今後どうなるか先が見えないとき。人はあせってしまい、あれこれ言葉を発したり、いろんな行動をとったりする。ときに周りを急きたて、反応をもとめてしまう。つまり、待つことができなくなる。それもいつも以上に。

気持ちはすごくわかる。なぜなら、わたし自身がそうだから。

でも、ボレに考える時間が必要だったように、あなたにも、わたしにも、専門家にも、世の中にも、自然にも、地球にも、考えるためには時間が必要だ。

しばし待ってみよう。あわただしく動いている世界にいくつもの言葉を投げかけるよりも、しばし待ってみよう。わたしはわたしに今そう伝えたい。

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先日のnoteの記事 映画『パラサイト 半地下の家族』を観て で紹介したおやつ(海苔チップス)とそっくりのものを鎌倉で発見! 先日のものはマレーシアのおやつを再現した手作りでしたが、こちらは鎌倉の出店で販売していたもの。海苔に揚げ天付きで、味は天丼のような、甘辛いしょうゆ味でした。もしかしてアジア共通の素朴な海苔菓子なのかしらん。


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