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ザ・マレーシアなおやつ、クエバカール。

今日もマレーシアのおやつの話しを。

花型で緑色。かめば、むにゅとしたやわらかさに驚き、パンダンとココナッツミルクの香りに癒され、なじみある胡麻の香ばしさに親しみが沸く。

このかわいくて、おいしいおやつを「クエバカール」という。

オーブンで焼くので、クエ=おやつ、バカール=焼く、つまり 焼き菓子 というズバリな名前。先日の「クエラピス」と同様、マレーシア全土でポピュラーな甘いおやつだ。

思い返せばクエ初心者だったころ、よく食べていたのは、このクエバカールだった。抹茶味に似た緑の見ためは手にとりやすく、表面に胡麻という特徴は見分けやすかった。甘すぎず、小ぶりなサイズ感(だいたい花びら2片サイズにカットされて売られている)が絶妙で、おやつでも食後でも、いつ食べてもおいしい。そんな思い出のおやつなので、クエバカールを見ると、むかし面倒をよくみてくれた先輩に会ったような、なつかしい感情になる。

抽象的な表現で申し訳ないのだけど、クエバカールは、おいしいおやつであるのと同時に、ザ・マレーシアな味だとしみじみ思う。

まろやかな風味と甘い香りのココナッツミルク。茹でたての枝豆のようなほっこりとした香りがただようパンダンリーフ。この2つは、多くのマレーシア料理に入っている定番食材であり、これがクエバカールにもたっぷり入っているから。マレーシア人の嗜好そのもの、といってもいい気がする。

そして、おもしろいのは食感で、ケーキのようなプリンのような摩訶不思議感。一般的な焼き菓子は、バターなど油分が入っているけど、クエバカールにはココナッツミルクのみ。また、卵にミルク(ココナッツミルク)といえばプリンのようだが、小麦粉もしっかり入っている。そのため、むにゅっとした独特の食感になり、この感じが楽しくて、また食べたくなるのだ。

あと、かわいいらしい花型なのもいいね。直径10センチ程度の鉄製の花型に入れて焼き上げているためで、プルメリアの花を模ったものだそう。この花型を指して、カンボジャ・クエともよばれている。

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クランタン州のコタバルの食堂で販売されていたクエバカール。半熟カステラみたいな風貌。

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ペナンのお菓子露店で発見。赤いトレーの左上にあるのがクエバカール。これは花型ではなく、大型のトレーで焼いたものを一口サイズにカット。

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マレーシア人のCDさんの手作り。マラッカでお店を経営。パンダン味とオリジナルのコーン味の2種(右上2切れの下、黄色のほうがコーン)。

ちょうど5月12日に2021年のラマダンが終わった。クエバカールは、ラマダン明けの祭り、ハリラヤで食べる祝い菓子としても人気なので、きっと多くのマレーシア人がクエバカールでお祝いをしていることだろう。

マレーシアの焼き菓子、ぜひいつか、お試しを。

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