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CA専用マッチングサイトでの初デート(山頭火さん編)

山頭火さんは精神科医。なぜ山頭火さんと呼ばれる様になったのかは後述する。

私の当時の年齢は31歳。山頭火さんは確か38歳「医者」とのプロフィール。年収はあまり覚えてませんが2,000万位だっただろうか。この頃の私は職業や年収にまだ執着がなく、写真のセンスやメッセージの雰囲気で好感度を抱いていた。彼はタイかどこかアジア旅行でビールを片手に持っている写真だ。石田純一に髭をはやした感じかな?優しそうだし秘境の旅行好きとの事で、ウユニ塩湖やマチュピチュ、ピンクレイク等を観に行ったと言っていたので、旅行好きの私には魅力的だった。

ポンポンとメッセージが進みLINEへ移行。デートの日にちが決まり、原宿のジョナサンで待ち合わせしよう!と言われた。

この時私は少し違和感を抱いた。その日たまたま原宿の美容院帰りでLINEを受け取り、原宿の交差点からジョナサン方面を見上げる。「改装中」となり足場が組まれ、そこにジョナサン(ファミレス)があったと知らない人は見付けられないな。不親切だな。と感じた。(私が細かいだけなんだが)

親切心のつもりで「今たまたま原宿で、ジョナサン見付からなくて、探したら改装中で看板見えてませんでした😊」とLINEすると、暫くの既読無視と共に「営業中」を証明する何かのサイトのスクリーンショットが送り付けられた。笑

いや、そうゆうつもりはなく、待ち合わせ指定するなら何番出口とかもっと親切な場所指定してねって意味だったんだけど、この人自尊心高いんだな(汗

と感じた。お節介だった自分にも反省。この時点でやや行きたくなくなっている。

デート当日、気を取り直して改装中のジョナサンビルの前で待ち合わせをして夜ご飯へ。この日は晴れていて蒸し暑い7月の事だった。15分くらい遅刻されて、言い訳しながら登場するのもあまり印象が良くなかったです。

場所はジョナサンから歩いてすぐの「モントーク」。あれ?ここってカフェとかランチじゃなくてしっかり食事出来る系なんだ、と言うイメージ。

おとうふは大学が表参道で、転職前の勤務地も表参道、美容院は原宿なので、モントークは15年以上前から休憩やランチで使うお店。モデルさんかな?と思わされるスタイリッシュだけど愛想やマナーが全くない店員さんが特徴の原宿らしいお洒落なカフェだ。

中二階の踊り場みたいなスペースに机と椅子を配置した席に着席し、ビールで乾杯をする。中二階だから真夏なのにエアコンが効いておらず、サーキュレーターの弱い風しか来ない、屋根裏的なスペースに山頭火さんも小声で「あれ?」みたいな事を言っていた。トイレ真横だし、お世辞にも良い席とは言えず。でもきっと頑張って調べて予約をしてくれた、来た事あるとかカフェかよとかは言わずに愛想良くサーキュレーターを当ててあげたりしてやり過ごす。

気を取り直して、お仕事の話に。食い気味で「で、おとうふちゃんは〇〇勤め?それとも〇〇?」と、国内2大航空会社指名での質問。外資系とかLCCとかへの配慮はないのかな?失礼だな。の印象。ここでは詳しくは言及しませんが、自分の勤め先を伝えると、彼なりの各航空会社の女の子の特徴の分析を披露し始めた。

ここで私は、ダブルプレミアムの大きな落とし穴に気付いた。CAとのマッチングを希望している男性は、きっと私達の仕事を尊重し理解があり旅行好きな人が多いだろうと思い込んでいたのです。しかし実際はCAマニア、若くはCAコレクター。航空会社ごとにカテゴライズし、飲み会をした事がないエアラインの子を見付けては「あーそのエアラインはまだ飲みに行った事なかったわー」とか言い出す。CAはポケモンじゃないぞ。

良く良くお話を聞くと彼は精神科医。どうりでアナライズがマニアックでたまにIQがどうのと話し出すなぁと。雰囲気を変えたくて別の話題へ。彼の下の名前が古典的なお名前で、私も本名は割と古典的だったので「今の若い子達にはシワシワネームなんて言われちゃうんですよ。笑」と話題を振ると、「いやー患者でもいるんだよね、キラキラネームとか。泡姫って書いてアリエルとかさー。意味分かるよね?」と、医者としての守秘義務や人格否定や会話の質の低俗さが全て揃った返しに拍子抜けしてしまい、思わず返せないでいると「風俗嬢だよふーぞくじょー」と、楽しそうにお話されていた。

お食事に関しても、夜カフェなのでカレーやパスタしかなく、取り分けて摘みながらお酒を飲むと言った感じでもなく、さすがに山頭火さんも「あんまメニュー充実してないねー」と。しかし山頭火さんが頼んだのはカレーとパスタ。初対面の人とカレーを分けて食べるのは何か嫌だなぁと言う心理、精神科医には分からないのかな?お酒好きにしたら最初から炭水化物が2種押し寄せるのも苦しい…。笑

付き合ったらモラハラ男になるっぽい山頭火さんの自尊心を尊重しながらお会計へ。テーブルチェックしたいっぽいんですが、このお店はレジチェックなのである。お店の方が屋根裏スペースに来る訳もなく、ずっと待ってるのもイライラして来たので「レジ下ですよ?」と…つい言ってしまいました。

「あ、知ってたの?来た事あった?」と気まずそうに言われ、もうこの人に会う事はないだろうと思いはっきり言う事に。

「そうですね。大学近いのでお茶したり美容院帰りにランチしたり、良く来ますよ〜!」

「そうだったんだぁ。じゃあ246沿いのTWO ROOMSとかにすれば良かったな。」

「あーあそこも雰囲気良いですよね!でもモントークもムーディーだしあの席は初めてだったので楽しかったですよ。」

「…そっか。ここは僕が出すから良いよ。」

と言う事でやや気まずくご馳走になり、解散かと思いきや、「もう一軒行かない?」との事。TWO ROOMSで一杯とか気持ち切り替えられるかも、と思い承諾。

だがしかし、向かった先はモントークの裏のチャオバンブーと言うタイ料理屋。チャオバンブーは美味しいしプライベートでも良く行くお店。しかし、デートの2軒目のチョイスとしては可笑しい。まだ食べるの?百歩譲って1軒目じゃない?と思いながら長蛇の列に並ぶ。

お店の回転率が思ったより遅く、中々列が進まない。山頭火さんもイライラし始めて「あの店員さー絶対IQ90ないと思うんだよねー」と呟いた。私はIQとか詳しくないけど、それが明らかに侮辱の言葉だと思った。帰りたい。帰りたい。早く帰りたい。10分強しか並ばなかったが体感としては1時間位あった。すると頑張って切り盛りしている店員さんが、「ラストオーダーから逆算するとこちらのお客様までしかご入店出来ません!申し訳ありません!」と。私達より2〜3組前で終わってしまった。私は心からありがとうと彼に感謝した瞬間だった。

ご機嫌斜めな山頭火さん。後から考えたのですが、彼はきっと細身だけど良く食べるタイプ。カレーとパスタを食べてもお腹が空いてイライラしていたんだろうな、と。なぜなら、この後歩いていると目の前にラーメン屋が。

「あ、もう山頭火で良い?」

どうやらまだ炭水化物が足りていなかった様だ。私は結構八方美人なので、こうゆう時でもフェードアウトして終わらせたい派。「楽しかったです」のLINEを最後にお別れしたいのだ。

お互い気持ち良く終われる様に、お腹が一杯だけど山頭火にてラーメンを食します。

全然お腹に入って行かず、こんなにラーメンを恨んだ事はありません。

「食べられないんでしょ?残すの?笑」

山頭火さんの上からな態度が闘争心に火を付け何とか完食しました。

「食べれないかと思った。やるね。」

私はフードファイターと戦っていたのかと錯覚する一言。取り敢えずすぐに帰りたかったので1,000円渡して帰ろうとすると、

「僕が出すよ。自分から出さなかったら貰おうと思ってたけど。笑」

と、謎の一言。これ以上関わりたくなかったのでお言葉に甘えて駅へ向かう。「楽しかったです」のLINEまでがデートだと言い聞かせながら笑顔でお別れ。電車に座り「楽しかったです」と送って、すっと左へスライドし非表示にして帰路に着いた。

山頭火さん、お店選びと他人ディスりは慎重に。

これを機にダブルプレミアムでの活動は辞めた。

その後、私の気持ちとは裏腹に山頭火さんは2回くらいちょい登場する事になる。笑

長い文章をお読み頂きありがとうございました。

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