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読書感想文 ピンク色なんかこわくない

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

タイトル ピンク色なんかこわくない
作者   伊藤朱里
出版社  新潮社

あらすじ

美人で愛想の良い長女いっちゃんは、幼いころからかわいいと言われ、意図せず男たちを争わせる天然の魔性を持つ女だ。
秀才だが容姿は並以下の次女ハカセは、語学に堪能で優秀だが就職するには容姿も必要だと思い知らされる。結局、外国人と結婚し海外で生活している。
潔癖症で変人の三女は引きこもりに近く、一番母親と密着し、どこか共依存の状態だ。だが、作家として生活できるようになった。
上三人と一回り以上も離れて生まれた四女愛ちゃん。三人の姉と母に可愛がられ、家族の中でアイドルのように育ったが、なにもかもお古で育てられたことが不満だ。
そんな愛ちゃんが仕事をやめて家に戻ってくる。
かいがいしく面倒を見る母親だが……
四姉妹とその母親の関係は、愛か? 依存か? 対立か?

感想

この方の作品を読んだのは、これで二作目。
最初は「きみはだれかのどうでもいい人」を読んで、心がヒリヒリしました。感想はこちら

読書感想文 きみはだれかのどうでもいい人|おとぼけ男爵|note

さて、こちらは四姉妹と母の登場する、「女」の物語です。
こちらも、心をヒリヒリさせるような感じはあるのですが、どうもしっくりきません。
長女は自分の後に続く妹たちは、自分の失敗を見ているからそれをさけて通ることが出来てお得だと思っていたり、末っ子は何でもお古で育てられたことを恨んでいたり、女兄弟あるあるが出てくるのですが、私は女兄弟がいないので、「へえーそうなのか」と思うだけです。
人の失敗見たって同じ失敗する場合もあるし、一回り以上年下の子にお古ばかり使うのかね?と思ったり、なんか共感できずに感情がすり抜けていきます。
設定はメチャクチャ面白いのですがね。
超美人で幼稚園の頃から男の子を争わせてしまう魔性のお姫様のいっちゃん。超優秀で安々と進学校に入ってしまうハカセ。潔癖症で変人、ひきこもりながら文学賞を取ってしまうサッカ。愛されて当たり前、愛されるのすらうっとうしい末っ子愛ちゃん。
そして、娘を産み、育てることが生きがいで、それだけ努力して育て上げた娘達に「ママみたいになりたくない」と言われても、ショックをうけるどころか「そう言われるのが母親の役目」だと言い切ってしまう母親。もはや、無償の愛というよりは、意地の自己犠牲愛の持ち主。
もう、こんな設定、どうなる? どうなる? って感じでワクワクしながら読んだのですが……
読み終わってみると、なんだかストーリーがとっちらかっていて、結局「母は子供の体温を感じていられたらそれで幸せ」みたいなところに落ち着いたのか? いや、そんな単純な話じゃない? よくわからん? 

ま、人間良かれと思ってしていることが、すっごく嫌がられていたりするから、人の本音って見えちゃうと心は血まみれになるなあ……という感想になってしまいました。


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