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伝統の重みを感じた、雪組100周年 Greatest Dream

誕生から100年を迎えようとする雪組の歴代レジェンドたちが出演する素敵なショー「宝塚歌劇雪組pre100th Anniversary Greatest Dream」が開幕しました。

実は……私は、雪組ファンというわけではないのです。
宝塚ファン歴も、中抜きの時代が長すぎます。
発表された出演者の中で、リアルに舞台で拝見していたのは、
中高生だった頃に見ていた麻実れいさん、寿ひずるさん、平みちさん。
トップを存じ上げているのはターコさんだけで、平みちさんは、室町あかねさんとのカマキリダンスが記憶にあります。(雪組違うし……)
それからは、早霧せいなさんまで30年以上観劇機会はとんで、のぞ様まあやにハマったというライトなファンです。

だから、この上演が発表された時、チケットを取ろうとは思わなかったんですね。本心は、のぞ様まあやの出演する、初日だけは観たかったのだけど、そんなに都合よくチケットが取れるはずもなし、無理だなとあきらめておりました。
ですが、ありがたくもお声掛け下さる方がおられて、初日のチケットを手に入れることができ、マチソワ遠征できることになりました。
ありがたや~

暗いニュースで気持ちが沈んでいましたが、先日拝見した博多座ミーマイで元気を頂けました。
だから、この公演でも、歌い踊るジェンヌさんやOGさんの姿を観せて頂けると楽しいだろうなと、ワクワクしておりました。

最初に結論。
楽しいだけじゃない、まじ感動!
私のようなライトなファンでも涙ぐんでしまいましたから、長く雪組ファンでおられる方の感動たるや、想像に難くない。
号泣ものだったと思います。

思いのほか、素晴らしい公演でした。
いや、ホント、失礼なのですけれど、こんなに感動するとは……

冒頭ミラーボールから雪のような光が煌き、会場全体が雪に包まれたあと幕が上がり、真っ白な衣装に身を包んだ出演者が登場すると、会場がどよめきました。
ああ、雪。こんなにも熱く、美しい雪。ドキドキする幕開きでした。

ライトなファンとしては、やはり希和ちゃんやまあややのぞ様の歌を久しぶりに聴くことができて、胸がいっぱいになりました。
ですが、生では観ていない時代の方の歌もスカステの映像で拝見させて頂いているので、とても懐かしく感じます。

まあやが嬉しそうにのぞ様と見つめあい、女優となったのぞ様の男声の歌を久しぶりに聴いて、胸がいっぱいになりました。
この二人の声が重なり合うのが好きだなあって改めて感じました。
お二人のお披露目、ひかりふる路の「今」を歌ったのぞ様が、まあやをいじって笑いが起こります。ファンは皆、まあやと生田先生のご結婚を祝福していて、本当に温かな笑いで会場が包まれました。なんて素敵な空気感。
この二人のデュエットを聞くことができるのは、次はいつのことになるのか? 本当に貴重な時間をこの空間で過ごせていられていることに感謝しました。

後半は、深川マンボから始まって、風と共に去りぬ、そして、日本物の雪組だけに、日本物の作品が歌唱されました。
希和ちゃんは夢介で楽しく、まあやのぞ様は壬生義士伝で、またうるっときましたね。
生の舞台では観ていませんが、映像で見ていたので杜けあきさんの忠臣蔵は感動したなあ~

本当に、どなたもずっとトレーニングを続けておられるようで、皆さん、素晴らしい歌唱ばかりでした。
出演者や日によって楽曲も変わるようで、全120曲だそうです。オケの皆さんも中々ハードですね。
そして、平みちさん、杜けあきさん、一路真輝さんが昔話やお稽古の様子を幸せそうに話されるのを見ていて、これまた嬉しくなってしまいます。

平みちさんが鴨川先生のお話をされている時に、ご自分の初舞台が鴨川先生の作品で「この中からトップ何て絶対でえへん!」と言われたけれど、「出ました~!」と言って笑っておられました。
それを、聞いていて、改めて、こうして宝塚の伝統は続けられてきているのだと感じました。

ここからは、私の想像ですけれど
黒いレオタードに名前のゼッケンをつけた初舞台生が、先生に叱られながら初舞台の稽古をする。きっと、「へたくそ」「やめてしまえ」というような怒声も飛んだと思います。
こういう怒声も含んだ厳しい指導の中、ジェンヌさん達は「なにくそ!」と発奮して稽古を重ねて素晴らしい舞台を作り上げる。
人間同士の魂をぶつけ合うような稽古ですもの、乱暴な言葉も出るでしょうし、それに落ち込むことも、涙することもあるでしょう。
だけど、それを乗り越えて、彼女たちは、舞台人としての技術を磨き上げて、素晴らしい舞台を作り上げているのだと思います。
そして、卒業する時には、最高に美しい笑顔で、辛かった日々を思い出しながらもそれが自分自身の成長につながったと言う彼女たち。
定番のように彼女たちが口をそろえて言う感謝の言葉は、決して表向きのことではなく、本心から言っていると感じます。

私は、そんな厳しい稽古を乗り越えて作られた作品だからこそ観劇することを楽しんでいます。
そして、そんな彼女たちだからこそ、応援もしています。

舞台人の世界は特殊だと思います。
公演を休むなんてもってのほか、親の死に目には会えないと思え!
それが常識であった時代も長かったと思います。
でも、時代は変わりました。
昭和、平成、令和。
令和時代の人たちにとっての昭和は、昭和時代の私にとっての明治。
そりゃ、価値観も、環境も違うよなあって。
そんな中で、変わってはいけないことと、変わるべきことがあると思います。

先輩が後輩に残す「芸」
受け継ぎ次の後輩へと引き継がれる「芸」
それは簡単に残せるものでも、引き継げるものでもなくて、厳しい指導を受け、鍛錬を積み重ねて、やっと残るものだと思います。
真剣に対峙するからこそ厳しくなる指導は「パワハラ」などというものでは決してないと思います。
上級生から下級生への厳しい指導を経験し、何年たっても先輩を尊敬する後輩たちの姿は、見ていても好ましく、これからも変わって欲しくないと思います。

でも、時代の変化と共に、感じ方、受け取り方が違う若い人たちも増えています。今までの当たり前の指導方法が、当たり前ではないかもしれないことに、気づく時期なのかもしれません。
今回、外部の方に相談した歌劇団の姿勢は評価できると思います。
外部の方のアドバイスに耳を傾けることは良いことだと思います。

ただ、何もかも一般の感覚にあわせる必要などないと思います。
長い伝統の上に成立しているエンタメの世界。大げさではなく舞台に命をかけている人たちの集団。一人の不注意で、舞台が台無しになったり、演者が怪我をする可能性がある世界。
一般社会よりは厳しい規律の上に成り立っているからこそ、一人の不注意を最低限に抑えているとも言えます。
何でもかんでも「ハラスメント」と言って規律を緩めてしまうことは、大変危険なことだと思います。
だから、舞台人という特殊な世界に生きているジェンヌさんたちを守るために、厳しい規律は存在しているのだと思います。

外部の方のアドバイスを元に、変わる部分、変えない部分を歌劇団がきっちりと選別して令和時代の宝塚歌劇団を構築し、100年が150年に、200年にと繋がっていくようになってほしいと切に願います。

今回の長期休演は、見事な決断だと私は感じています。
だから、心から宝塚歌劇団を信頼しています。
私は今後も、応援し続けるし、好きでい続けると思います。

宝塚を愛し続ける多くのOGさんが集う場所に、ファンも一緒に存在し、彼女たちの芸の集大成を観られたこのショーを見終わって、改めてそう思いました。

私は、やはり、宝塚歌劇が好きだぞ~

今までの舞台感想はこちら
宝塚歌劇 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

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