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読書感想文 阿津川辰海 録音された誘拐

少し前、ツイッターのタイムラインに阿津川さんのつぶやきが流れてきた。どうも入院されていたようで、退院して本屋に行ってストレス発散のように購入した多量の本が写っていた。
あっぱれ!!! さすが!!!
本の売れない時代だからこそ、作家が本を買う!
作家の鏡ではないか!

そういえば、自分がセレクトショップを経営していたころを思い出しました。売り上げがいかないと、自分で自分の店の服を買っていたなあ……
それも、定価で。
店スタッフには社員割引していたので、スタッフが驚くんですね。
でも、バイヤーとして誇りをもって仕事をしていた私は
胸を張り、声高らかに答えました。
「お客様が買って下さる金額で買わないと、お客様の気持ちがわからないからね」
おおおおーと若いスタッフたちが尊敬のまなざしをむけてくれたっけ。
でも、よーく考えたら自分の給料の一部を自分で出してる感じ? 
ま、よくわからない感じで世の中のお金は回っていくんですよね。

もう仕事を引退した私みたいな本好きが、もっと、もっと本を買わなきゃいけないのでしょうが……
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
私の読書はすべて図書館本です。
ただで読んじゃってごめんなさい!!!
でも、年取ると物を持ちたくなくなるんです。
実家や義実家で、親のためこんだ物をひたすら処分していると、もう「物をを増やしたくない」って思ってしまうのです。
だから、本を買わないでごめんなさい!!!

だから、紹介しちゃいます。ご紹介するのは、こちら

ネタバレ、あらすじありの読書感想文です。

あらすじ

大野探偵事務所の所長大野糺が誘拐された。

犯人はカミムラという犯罪請負人。ある依頼者の「犯罪の種」が気に入ったのだ。犯罪の種を育てて究極の犯罪という花にするのが、カミムラの美学なのだ。そして、カミムラが最も嫌うのは裏切りだった。

大野家は糺の祖父が多額の遺産を残した大金持ちだ。
ホームパーティで家族が集まった所に、糺を誘拐したと犯人から電話が入り大騒ぎとなる。だが、同じころ、大野家の斜め向かいの家で殺人事件が発生する。警察は誘拐と殺人の二つの事件を捜査しなくてはいけない。

殺人と誘拐に関係はあるのか?

たまたま、大野家に来ていた大野探偵事務所の一員山口美々香は所長を助けようと、自慢の耳を使おうとしていた。美々香は異常に耳が良いのだ。

誘拐された糺は、自由を奪われた身でありながら、美々香にヒントをだしながら犯人に迫ろうとしていた。

だが、身代金を運んでいた糺の姉早紀まで誘拐される。

カミムラは身代金を放棄したのか?
それとも?
カミムラの本当の目的は?
カミムラに犯罪を依頼した依頼人とは?

大野家にまつわる十五年前の誘拐事件と深いかかわりを持っているらしい今回の誘拐事件。

糺と美々香は真相を暴けるのか?

感想

「透明人間は密室に潜む」という短編集の中の一つ「盗聴された殺人」の続編にあたります。
読んでいて、この設定どこかで読んだよなって思っていたのがあとがきを読んで納得しました。「透明人間は密室に潜む」は去年の春読んだのでまだnoteを書いていませんでした。でも、なかなか面白い短編集でした。
阿津川さんの作品は、とにかく発想が面白くて、トリックを色々考えているのがユニークでおすすめです。

「入れ子細工の夜」もユニークな短編集でした。

読書感想文 入れ子細工の夜|おとぼけ男爵|note

でも、この作品は今までの中で一番好き。
誘拐もののミステリーで、ぐぐぐっと引き込まれ読み終えてしまいます。
様々に張られた伏線も見事に回収され、望田という同僚の存在は、物語のほっこりパートとなっています。
今回の作品で望田は何をするというわけでもないのですが、作者が糺、美々香、望田のコンビを愛しているんだなってちょっと感じました。
恐らく、シリーズ化?かな。

ミステリーとして、真犯人がわかったところで、えええ???
美々香が!!!! そんなああああ!!!
ってなるのが、なかなかなものでした。

まあ、多少無理があるのは仕方がない。
細かいことは言わずに、そうなのか!!!って驚くのがおすすめです。

本当に、阿津川さんの頭の中ってどうなっているのだろう?
こんな、ユニークな発想できるって羨ましいなあって、小説初心者の私などは、ただただ感心してしまいます。

#読書の秋2022 #録音された誘拐

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