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舞台感想 宝塚音楽学校 第110期生文化祭

宝塚友の会のチケットが当たりまして、文化祭を観ることができました。

観る前からなんだか胸がいっぱいになっちゃうんですよね。
予科生が、バウホールの入場口に立って挨拶したり、中でプログラム販売をしているんです。
背筋の伸びた美しい姿勢、滑舌の良い発声で「ありがとうございます」と言われるだけで、宝塚音楽学校の規律正しい教育の成果を感じます。
厳しさの上に成り立っている学校生活なのだろうと思います。
そんな厳しい学校で研鑚を積んだ成果を発表する場である文化祭。

先生も生徒も今日の為にどれ程稽古を重ねたことだろう。
良い舞台にする為、先生は声を荒げることもあっただろう。
先生の指導通りにできず、涙する生徒もいただろう。
同期生たちは、そんな仲間を慰め、鼓舞し、一緒に稽古しただろう。

私は生徒さんの母でも祖母でもなく、遠い親戚ですらないくせに、彼女たちの歩んだ道を想像すると、胸がいっぱいになります。

最近「厳しい指導」を「ハラスメント」だと決めつける風潮があります。

誰にでもできることをしているのではない。
舞台が好きで、それを極めたくて、努力を続けられる人が、自分一人では極めることができないから、誰かの指導を請い、結果を出そうとする。
そんな、高いレベルでの指導が、このおかしな風潮によって、やりにくくならないか心配になります。
それは宝塚だけではなく、スポーツ、芸術、学問でも同じだと思います。
中には「行き過ぎた例」も存在するから、見直すべき点はあると思います。でも、高いレベルでの指導において、指導者や先輩が「委縮して指導できない」ことが起こらないでほしいと願っています。

でも、文化祭を観させて頂いて、安心しました。
先生の見事な指導と、それに答えた生徒たちの見事な舞台でした。

文化祭は三部構成で、一部日舞歌唱 二部演劇 三部洋舞となっています。
日舞は緑の袴姿で、清く正しく美しくを踊ります。ソロ歌手の美しい声に心洗われる心地です。スムーズな群舞の変化も美しく、扇の扱いも巧みでお稽古を繰り返したのだなと感じます。
予科生のコーラスは、ハーモニーが本当に美しいです。
先生の指揮を真っすぐに見つめる予科生たちの瞳の美しさ。丁寧に歌詞に心をこめる様。舞台人として歌っているときの表情も指導されるのでしょうか? 表情もとても自然で美しいと思いました。
本当にねえ、胸も目頭も熱くなるってものです。
そして、クラシックヴォーカル、ポピュラーヴォーカルと続きます。
ソロもあれば、コーラスもあり。
ソロを任される生徒は、さすがに上手くて感心してしまいます。
もう、出来上がってるやん……って思っちゃう。

二部は芝居です。珍しく和物のお芝居「吉野山 雪の別れ」
頼朝に追われて吉野山に逃げ落ちた義経と静御前の元に、行方知れずの忠信が無事に追いつき、義経を逃がすために身代わりとして残ることに。
義経と静御前の愛。主君のために命を投げ出す忠信、忠信との別れを惜しむ阿沙黄。弁慶や伊勢三郎などの仲間との絆。
短いお芝居ですが、なかなか難しい……
芝居って一番難しい気がする。
歌やダンスは、このまま本舞台にいけるのじゃない?って感じる場面もありますが、お芝居は個人の芝居心の差が全体の空気を変えてしまうので、どうしても稚拙さが見え隠れするように思います。
でも、滑舌良く懸命に演じている様は、見ていて気持ち良いです。
最後は客席降りで、退場していくという演出がありました。
コロナ禍で入学した110期生が、客席降りできる時代に卒業できることが嬉しいです。

三部はダンスです。
もう、これは楽しい! 客席も手拍子しながら楽しめたりします。
バレエもタップダンスも本当にお稽古を重ねたんだろうなって思います。
若さ溢れる数々のダンスは、観ているだけで楽しくてあっという間に終わってしまいました。

これだけの公演を、仕上げるまでの彼女たちの努力を想像すれば、並大抵のものではないと思えます。
そして、それを指導する先生方の大変さも想像以上のものがあると思います。
絶対に、厳しかった。
絶対に、しんどかった。
でも、この厳しさを、このしんどさを、理解した上でこの道を選んだ彼女たちだから、こんなにも素晴らしい舞台を見せてくれたのだと思います。

彼女たちが月組公演で大劇場デビューすることが本当に楽しみです。
見事な文化祭公演を見せて下さって本当にありがとうございました。

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宝塚歌劇 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

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