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誕生日のマジックスネイク

「これにするか!」

ユタカの鶴の一声で、のぞみの誕生日プレゼントは、、、なんと、マイメロディのぬいぐるみに即決した。ダークホースならぬ、ホワイトラビット。。。

ことの顛末はこうだった。

前にも言ったけれど、ユタカは子供ライフとの接点が少ない父親だった (「片腕のココロ、子供ゴコロ」読んでね)。でも、正月やクリスマス、そして娘の誕生日近辺となると、ぐぐっと存在感と会話の数もアップした。なぜって、横浜家の大蔵省はユタカだったから…。そして、夏休みに三姉妹の誕生日が集中していたことから、時期がくると「誕生日プレゼントまとめ買いツアー」が開催された。

そんなある年の夏。恒例の誕プレショッピングに街へ繰り出した横浜家。長女のこだまも次女のひかりも、既にプレゼント候補の心づもりはできていて、ウキウキモード。もちろん、末っ子ののぞみもがっつり欲しいものは決まっていたけれど、常日頃から姉ちゃんたちのリアクションが気になり公表できずにいた…。何が欲しいか聞かれるたびに、心の中でつぶやいていた欲しいモノとは、、、マジックスネイク。小さな女の子が欲しがりそうな王道、お人形系とは対極に位置するパズル系。それも、一世を風靡したルービックキューブの後継者とあっては、姉ちゃんからの突っ込みが入るのは予想がついた。出かける前から、もじもじモヤモヤの、のぞみだった。

さて、所は横浜ジョイナス。おもちゃ売り場に入店早々、目につくところにディスプレイされていたのは、あろうことかマジックスネイク。何度かその前を通り過ぎるも、言い出せないまま時はいたずらに過ぎていった。完全にタイミングを逸したのぞみは、ただただ家族の行列の一部となり、何度もスネイクの前を素通りすることになった。

さらに時は過ぎ、長女と次女が欲しいものを獲得していく横で、三女は沈黙を貫き、時は過ぎた。
欲しいものが決まっていない、と思われていたのぞみ。「これは?」「これにする?」と提案されるも、モジモジとしか出来ない。内心、そのうち誰かがマジックスネイクを推薦してくれやしないだろうか。と、他力本願なのぞみ…。時は容赦なく過ぎていった。

そこで冒頭の「これにするか!」の一声が飛んだというわけ。

全然欲しかなかったけど、流石にここいらで決めないとなムードに、ついついコクリとうなずいてしまったのぞみ。心は涙でいっぱい。「のぞみ待ち」の誕プレショッピングに幕が降りた瞬間だった。

結果的にぬいぐるみは1万円近くしたようで、「のぞみのが一番高いじゃないか」と、ユタカは笑った。のぞみは心の中で「マジックスネイクは3000円だよぅ」とつぶやくも誰に聴こえる訳もなく、もじもじモヤモヤの浮かない気持ちでぬいぐるみを手にしましたとさ。


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