ギリシャの花
先週は、T博士のモデルの人(?)から古代ギリシャ語(コイネー)の新訳聖書を開いてもらった。
「エン アルケー エーン ホ ロゴス…」
田中美知太郎(※)に私淑した元牧師の方で、実際には、7 年ほど教会でご奉仕されていたようす。
1時間ほどであったけれど、田中美知太郎「ギリシャ語入門」で単語やアルファベットの練習をした。
後日、お土産に缶パンを持っていったところ、訪問看護の方が来ていた。
前より元気そうで良かった。
20 歳から進学までの数年を四国で過ごされ、神学のために上京し、修士号や教師資格取得ののち牧師、出版のアルバイトをされたと聞いた。
著作のことを伺うと、卓の上の本やはじめのころルターの翻訳をしたとお話しされ、曰く「デパートの古本市にあるから買ったら」であるそう。
面接の時、英語の成績が良くなかったと笑っていらした。
僕は、卒業後に進学も就職もしなかったため、工学科を出たのちに就職し、さらに、神学までされたと聞いて尊敬のほかない。
英語の試験にも、アカデミックな方面で西洋の歴史と思想、聖書の周辺知識が問われることが多い。
古典学といえば、古代ギリシャ・ローマの思想やヘレニズム文化である。
原典に近い形で聖書を読むことは、同時代の背景や概念を知ることとなり、より深い理解を得ることにつながるはずだ。
国際的な教養人…とは、程遠い無学な僕であるが「誇る者は主を誇れ」とあるように古典学の大切さを学んだ。
「日本語の聖書は、説明しすぎ」とのこと、簡単な言葉こそ伝える秘訣かもしれない。
この地にギリシャの花は咲かないとしても、東洋にげんげや可憐なすみれの花ありと、信仰を基盤とした文化や教養が根付くことの願う。
イザヤ書註解のルターの精神をまたこの人に見た。
※ 田中美知太郎は、哲学者、西洋古典学者。著作のほか、対談集がある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?