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自由俳句

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#ときどき無季

自由俳句 #16 粘菌

自由俳句 #16 粘菌

粘菌を探せし母と小春下

 少し早いですが、秋と冬の句を。表題の句は、現実味があるかわかりません。変形菌を一度は見てみたいです。

 ✳︎

   #16  粘菌

裏声の裏の爛漫読書の秋

とちの実の煎餅いふを貰ひけり

絆創膏の指が木の葉のお金拾ふ

革ベルト毛皮とともに吊られゐし

盆栽の鉢に枯れ葉の二枚寄す

きつつきの話膨らみ紅茶の香

撒き散らす副流煙を野分せよ

粘菌を探せし母と小春下

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自由俳句 #15 秋の陽

自由俳句 #15 秋の陽

柚子五つ袋の皺を透かしたれば

薄手の袋を透かせば摘んだばかりの柚子が入っています。もうすぐ立冬。秋もわずかです。

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   ♯15 秋の陽

紅茶から庭にコゲラの話へと

夕食の前のポテチとみかんの皮

みそ汁や白菜のほか輪ぎりして

回送の幼稚園バス柿渡る

選挙来て校庭の葉の二三枚

看板の文字はつきりと刈田行く

煙突から煙今年の豆腐はどう

小銭ばかりの財布を椅子に行く秋ぞ

ひと

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