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自由俳句

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2021年10月の記事一覧

自由俳句 #13 夏炉冬扇

自由俳句 #13 夏炉冬扇

新米の袋抱けるたなごころ

 食の秋です。新米を食べました。新蕎麦を食べました。写真は、蕎麦屋の店内で撮影したものです。扇風機と暖炉が置いてあり、夏炉冬扇という言葉を連想しました。これは、辞書に季節外れで役に立たないもののたとえとあります。扇も炉もいらない季節、窓を開けて秋の気配を感じました。

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   #13  夏炉冬扇

使はれぬ部屋あり西日射すを恥ず

鶏の形なき唐揚げの残暑かな

新米

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自由俳句 #14 しだれ紅葉

自由俳句 #14 しだれ紅葉

憲法の内の自由は泳ぎにくし

街宣車烏と帰る秋の暮

電柱の傾いてゐる刈田道

秋風や母のメールへ空返事

寿司どれもネタの小さき十三夜

思ひ出やしだれ紅葉の先白む

独身は老後まで楽散る紅葉

父母の家行き来轍の霜柱

なぜ離婚したのと冬の市歩く

冬も半ズボン人を蹴りたる足

ぎんが

自由俳句 #12 月の車

自由俳句 #12 月の車

スポーツの日の財布に軍手履かせけり

今年の10 月11 日は、スポーツの日でした。体育の日で祝日だと思っていたら違うのですね。Siri にスポーツの日を尋ねると
「祝日ではありませんでしたよ」
と言われ、ぎくりとしました。

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   #12  月の車

父母の借家どちらも鬼門足袋寒し

明日の作業服着て横たはる夜長かな

葉脈の栞が透けて灯火親し

唐揚げの鶏の形なき残暑かな

秋の暮パト

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自由俳句 #11 天高し

自由俳句 #11 天高し

天高し回送電車高架ゆくも

 仕事終わりの夕方、高架の上を回送電車が走っていました。何度も利用した路線です。しばらく天気が良く、澄んだ空が高くにみえました。

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   #11  天高し

ハッカ油とは団扇二枚の涼しさよ

白鵬の眼にモンゴルの地平線

マスクべったり四畳半漂流す

鮭ときのこの炊き込みご飯貰ふ

曇りなき容器へ何を入れ返す

天高し回送電車高架ゆくも

青海苔の静脈透ける磯辺揚

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