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プロレスは「演出」+「物語」=究極のエンターテインメント

「キングオブスポーツ」
アントニオ猪木はプロレスをそう表現した。
わたしもそう思う。

プロレスは身体能力の高さや技術だけの話ではなく
「エンターテイメント」という意味でもだ。

タレントで10種競技の日本王者・武井壮が言っていたことを思いだす。
「どんなにスゴイ技術や能力でも、誰も知らなければ意味がない」

けっきょく、スポーツを広めるためには「エンターテイメント」は必要なのだ。

そして、究極のエンターテインメントを作るには「演出」と「物語」は
不可欠である。

プロレスは究極のエンターテインメント

リングアナウンサーがリングに上がり
選手入場コール!
入場曲が鳴り響くなか、選手が観客の興奮をあおりながら入ってくる。
そして、リングイン!
スポットライトに照らされた選手は、さらに観客をあおる。

会場は熱気と興奮でハイボルテージ!

ゴングが鳴り、ふたりの男がじぶんの物語をぶつけ合っていく。

プロレスには「物語」がものすごく重要!
こういうところも「究極のエンターテインメント」のひとつ。

例えば
一見すると、ただのオッサンふたりが試合をしてたとしよう。
身体能力も技術的にもフツー。
それおもしろいですか?

でも、見た目フツーのオッサンふたりのうち、ひとりは元・女性、もうひとりは末期がんを克服したひと。
そのふたりがリングに上がるまでの過程も紹介されてたとしたら、
おもしろいんじゃないですか?

「物語」があるからこそ感情移入ができて感動できる。

アントニオ猪木が作った『呪縛』

ここで、ちょっとプロレスの歴史を簡単に説明しますね。

日本のプロレス界は3人の神様が作りました。

プロレス創造神・力道山

そして、プロレスを発展させた神
ジャイアント馬場とアントニオ猪木

ジャイアント馬場は力道山から受け継いだ正道を。
アントニオ猪木は逆張りとして異種格闘技路線の邪道へ。
プロレス最強「キングオブスポーツ」の道を確立していったわけです。

プロレスの天才・アントニオ猪木はフェイクとリアルをたくみに使い分けていました。

猪木のガチ試合は2試合だけと言われています。(諸説アリ)
アクラム・ペールワン戦
モハメド・アリ戦

アントニオ猪木はジャイアント馬場の作った全日本プロレスとの差別化を
図らないと食っていけない状況でした。

そこでプロレス最強を証明するため、異種格闘技の道にかじを切ったわけです。
アントニオ猪木の才能は爆発しました。
金曜8時という時間帯に家族もろとも熱狂させたのです。

「リアルファイト」の匂いのするプロレス「ストロングスタイル」

しかし、それがのちに新日本プロレスの呪縛となる。

真剣勝負「リアルファイトの呪縛」は、その後の新日本プロレスに暗い影を落としていく。
いわゆる「リアルファイト」がアントニオ猪木の『呪縛』として新日本プロレスの低迷を招くわけです。

PRIDEという「赤紙」。プロレス暗黒時代

1993年アメリカで事件のような伝説の大会が開催される。

「Ultimate Fighting Championship : UFC」の出現である。

金網に囲まれたリングで「金的、目つぶし、噛みつき以外なんでもあり」
誰も、なにも文句言えないほどの「リアルファイト」

UFC大会で優勝したホイス・グレイシーの
「兄さんの方が10倍強い」発言で400戦無敗の男・ヒクソン・グレイシーが脚光を浴びたわけです。

ヒクソン・グレイシーは本当に強かった。日本で開催されたバーリトゥードJapanでは、
日本の強豪相手に、あっさり優勝。
400戦無敗という「昭和かよっ!」ってツッコミたくなるような
キャッチフレーズは本当だったんだと誰もが理解しました。

それまで、「プロレスラーはガチ=真剣勝負なら誰にも負けない」という
幻想が根強くあり、プロレスファン、特にUインター信者は信じてました。

「高田なら勝てる!」と。

元・横綱の北尾光司やゲイリー・オブライトを倒した「蹴り」がある!
「高田コンビネーションでヒクソンなんかKOよ!」

その幻想がPRIDEという大会を作り、高田vsヒクソン・グレイシー戦につながる。
その想いは、無残にも散りましたがね。

1ラウンド 4分47秒 腕ひしぎ十字固め 高田タップアウト

その当時、私も会場で観戦したのですが、あの結果の衝撃は凄まじく、帰りの記憶があまりない(笑)
それからは、他にもたくさんのプロレスラーがリアルファイトのリングに上がりました。

それは、まさに「赤紙令状」のように。

ケンドーナガサキ、永田裕志、ケンドーカシン等

その結果....

せつないほどに…

みなさん、もれなく惨敗。

プロレス最強説がUFC、PRIDEの出現で崩れ去る。

その当時のプロレスファンの落胆ぶりときたら...もう...なにも...言えない.....。
そのひとの「青春」ごと破壊されたぐらいの悲しさと切なさ....。

プロレスの灯は完全に消えた。そう、思いました。

あの男が現れるまでは。

桜庭和志と棚橋弘至。「物語」が動きだす

「プロレスラーはホントは強いんです!」

UFCジャパン、オクタゴン金網のなかでプロレスラーがリアルファイトに
勝利したあとの、マイクでのアピールです。

この姿をみたプロレスファンは熱狂、「ありがとう!」と100万人が
涙した瞬間です。

100万人?いや、もっといたかも。

おれの勝手な観測では、億いってたね、まじで。

そのぐらいの風速、感じた。

この瞬間から、PRIDEは多くのプロレスファンを引き連れ急成長!

伝説になりました。

そのころの新日本プロレスはというと、

まだ、アントニオ猪木の呪縛から逃れられないまま、もがいていました。

それを変えたのが、棚橋弘至。

アメリカの巨大プロレス団体・WWEのような試合スタイルを
持ち込み、成功。

正直、個人的にはこの時代のプロレスに興味がなく、あまり見ていませんでした。

でも、ひとつだけ「良かったねー」と思うことが。
それは、プロレスラー中邑真輔。

猪木の影響で総合格闘技の試合に出されてた感があり、
プロレスラーとしてはキャラが確立されてないように見えた。

猪木からいきなり殴られたり、抹殺指令が出てたり
猪木の毒をたっぷり受けて、かわいそうだなぁと。

そんな中邑が「イヤァオ!」と叫び、「たぎって」しびれてる姿をみたときは、
ホントに「良かったねー」だったよ。

まとめ

PRIDEの隆盛と新日本プロレスの復活に共通するもの

「演出」と「物語」

それが「究極のエンターテインメント」を生み出す。

それはプロレスだけじゃなく、いろんな競技にも必要だし
取り入れなくてはいけないもの。

はじめに書いた、タレント武井壮の言葉

「どんなにスゴイ技術や能力でも、誰も知らなければ意味がない」

せっかく、汗と涙、ときどき青春。な感じで努力してれば
いろんな人に見せたいでしょう!

これからは、いつも意識しましょう。

『演出」 + 「物語」 = 「究極のエンターテイメント」

そして、最後に...

プロレスは八百長だ、という人におれは言いたい!

リアルファイトは「相手に打たせずに、自分だけが打つ」
これです。

世紀の真剣勝負
アントニオ猪木vsモハメド・アリ戦は世紀の凡戦と言われました。
あれこそ、真剣勝負!あのルールのなか、よくやったと!
※猪木側にアリ陣営は「蹴り」や「寝技」に厳しい制限をかけました。
要求を飲まないと試合はしないという強行姿勢。


大衆は勝手です。打ち合うのは観客を喜ばせたいから
「エンターテインメント」なんです。
試合が始まり、お互い見合ってる場面でヤジを飛ばしてないですか。
「打ちあえ」って

そこを理解しないと「エンターテインメント」を楽しめない。

じぶんで「エンターテインメント」の楽しさを手放してるんです。

せっかくスポーツが「エンターテインメント」を提供してるんですから、
ありがたく、残さず、いただきましょう。

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