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第8話 『ポロポロオセロッチ!?涙の理由(ワケ)は?』

      ☆白黒★オセロッチ!

【前回までのお話】
オセロ天空闘技場にて、謎の美女オセロレディと対戦したオセロッチ。激闘から3日後、オセロッチは何を思う・・・。

前回



第8話 『ポロポロオセロッチ!?涙の理由(ワケ)は?』 




あてもなくさ迷い歩き、

市街地にまで出てきてしまったオセロッチ。

歩道橋の上から流れゆく車の群れを見下ろす。



込み上げてくる涙はついにこぼれ落ち、

ひとつ、ふたつと眼下に流れる車の屋根に落ちてゆく。



「僕の涙を、どこか遠いところへ運んでおくれ・・・車たちよ・・・」



あの日の光景が頭にこびりついて離れない――――



一目半差だった。

後半になって猛烈な攻勢を見せたオセロッチだったが、
オセロレディが紙一重の差で凌ぎきったのだ。


「あたしに冷や汗をかかせるなんて、キミ、ただの坊やじゃないわね。」


「うおおおおおおおおおおおんッ、うおおおおおおおおおおおおおんッ。」


オセロッチは大声で泣きじゃくっている。


「強かったわ。今度は世界の舞台で会いましょう。先に行って待ってるわ。」


オセロレディは、涙と鼻水でべちょべちょになったオセロッチの手を取って握手をした。


鳴りやまない拍手も、歓声も、舞い散る紙吹雪も、

小瀬路太郎に勝ったときは自分を称えるものだったのに、

この時はオセロッチを悲しくさせた。




「・・・ウチ、負けたっちゃねん。」



20粒ほど涙を車に落とした後、
どこの方言ともわからない言葉でオセロッチはつぶやいた。


言葉にしたことで、
自分は本当に負けたのだということを改めて実感した。


また涙が込み上げてきた。


21粒目を落とそうとしたその時だった。



「オセロッチじゃないか。久しぶりだなぁ。」



後ろから急に声を掛けられ、
振り返るとそこに居たのは、

オセロッチのかつての師、町田先生だった。


「町田先生・・・」


久々に見た町田先生は相変わらず痩せていて、
浅黒い肌はどこか流木を連想させた。


「どうしたんだ、泣いてるのか?なにかあったか?」


なつかしい町田先生の顔を久しぶりに見て、

その優しい言葉にオセロッチの心のダムは決壊した。



「うええええええええええええんッ!うええええええええええええええんッ!」



堰を切ったように、涙と鼻水が溢れてくるオセロッチは、町田先生に抱き着いた。

(つづく)








(泣け!オセロッチ!男は泣いて強くなるんじゃあ!!)


次回 ☆白黒★オセロッチ! 第9話『負けから学べ!オセロッチ!!』

☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラから

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