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内容 登場人物 スタート0:白い部屋の中。 女: とても暗い、白を見ていました。 男:「起きたかい?」 女:「……なんですか?」 男:「起きていたかい?」 女:「ええ。ずっと前から起きていますよ」 女: 私の景色は変わりませんでした。 女: ぼんやりとした白の中で、ぼんやりとした声が迎えに来ました。 タイトルコール:【霞の花】 男:「いいことだね」 女:「何がですか?」 男:「変わらないことがだよ」 女: その人は近づき腰を下ろしました。私のベッドはずしりと沈みました。
内容 登場人物 スタート◯モノローグ アウラ 遠くで音がした。崩落の響きだ。 硬く、冷たい、結晶が落下する音。 建物の軋みが、吸い込まれて行く。 永い、冬の音。 【タイトルコール】墓標畑のアウラウネ 〇薄暗い廃墟 ――シド、目覚める。 シド 「あれ? え、何ここ?」 シド 「暗いし、辛気臭いし……つか、さっぶ!」 アウラ「お目覚めですか?」 シド 「ん、……あ?」 アウラ「おはようございます。私はアウラウネです。よろしくお願いします」
内容 登場人物 スタート◯幽霊・モノローグ 幽霊 その目は見つめる。 幽霊 大きな瞳を、その造形美の持つ力を抑えることなく無遠慮に、五秒を経過し少し呆れる。この少女の愚かさは俺の欲望を満たし、破壊し、燻らせる。 幽霊 欲して、欲して、欲して、 幽霊 やがて、その美は暴かれて、 幽霊 やがて、空虚で満たされて、 幽霊 そして—— 幽霊 もう、いらない。 タイトルコール:『凪いだカーテンに月は透ける』 ◯夜の学校 ーー沙月、窓辺に靡くカーテンを見ている。
内容 登場人物 スタートフジ 毒の匂いがした。 フジ 甘く、軽やかな鱗粉の匂いだ。 フジ 彼女は、アサギマダラの匂いがした。 【タイトルコール】アサギマダラの処方箋 (読まずとも構いません) 〇診察室・フジ、患者を見送る。 フジ 「お大事に。無理しないようにね」 フジ 「……はあ」 マキ 「何、ため息ついてるの? センセ」 フジ 「……診察室には呼ばれるまで入ってきちゃいけないんだよ」 マキ 「勝手に入らなきゃ、先生、サボってるでしょ」 フジ 「ひと息、淹れるだけさ