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東京裁判 後編

※とりあえず、前編を見てください


1.キッド提督殺害と原爆投下

東京裁判における問題点で有名なのは、やはりキッド提督の戦死を日本軍が殺害したと言うことにしたことだろう。これは言うまでもなく戦死である。キッド提督は軍人なので、キッド提督を狙って真珠湾攻撃を起こしたわけでもないのにこれはあまりにおかしい。これに対し東郷茂徳・梅津美治郎の弁護人、ブレイクニーはこう反論した。

「国家の行為である戦争の個人責任を問うことは、法律的に誤りである。何故ならば、国際法は国家に対して適用されるものであって、個人に対してではない。個人に依る戦争行為という新しい犯罪をこの法廷で裁くのは誤りである。戦争での殺人は罪にならない。それは殺人罪ではない。戦争が合法的だからである。つまり合法的人殺しである殺人行為の正当化である。たとえ嫌悪すべき行為でも、犯罪としてその責任は問われなかった。
キッド提督の死が真珠湾攻撃による殺人罪になるならば、我々は、広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首の名前も承知している。彼らは、殺人罪を意識していたか?してはいまい。我々もそう思う。それは彼らの戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからである。何の罪科でいかなる証拠で戦争による殺人が違法なのか。原爆を投下した者がいる。この投下を計画し、その実行を命じ、これを黙認したものがいる。その者達が裁いているのだ。彼らも殺人者ではないか」

軍人であるキッド提督を殺害した罪は問われているのに、無差別に民間人を殺した原爆を投下した罪は問わないのはおかしいと。これは全くその通りである。
でも原爆投下を行ったものやそれを計画した参謀長を裁くのは無理とは思う。
しかし、それならキッド提督殺害の罪はもとからないように思う

2.判決

今回全員の判決を紹介するのは難しいと思うので、一つ紹介する。
広田弘毅 絞首刑
これはほとんどの人が予想だにしていなかったのではないか。
完全な文官であるし、大東亜戦争にも反対していた。
無罪とも言われていた。
その広田弘毅が絞首刑になった理由は南京事件である。
(それについては前編で説明しています。)
南京事件の時広田は外務大臣、明らかに責任を取るべき立場にない。
これは総理大臣の近衛文麿、陸軍大臣の杉山元どちらも亡くなっていたからではないかと推測する。最高責任者がいないとしてもそれを広田になすりつけるのは明らかにお門違いである。
広田弘毅についてこちらで説明しているので、そちらも見てほしい

その他の判決は以下の通りである(アルファベット順)
荒木貞夫  陸軍大将、陸軍大臣、文部大臣   終身刑 
土肥原賢二 陸軍大将、教育総監        絞首刑
橋本欣五郎 陸軍大佐、トルコ大使館付駐在武官 終身刑
畑俊六陸軍 大将(元帥)、陸軍大臣        終身刑
平沼騏一郎 総理大臣、司法大臣、枢密院議長  終身刑
広田弘毅  外務大臣、総理大臣、駐ソ大使   絞首刑
星野直樹  企画院総裁、満州国総務庁長    終身刑
板垣征四郎 陸軍大将、陸軍大臣           絞首刑
大川周明  拓殖大学教授           精神異常の為、審理から除外
木戸幸一  内大臣、厚生大臣、文部大臣    終身刑
小磯国昭  陸軍大将、総理大臣、朝鮮総督   終身刑
木村兵太郎 陸軍大将、陸軍次官        絞首刑
賀屋興宣  大蔵大臣             終身刑
松井石根  陸軍大将                絞首刑
松岡洋右  外務大臣、南満州鉄道総裁       判決前に死去
南次郎   陸軍大将、陸軍大臣           終身刑
武藤章   陸軍中将、陸軍軍務局長      絞首刑
永野修身  海軍大将(元帥)、軍令部総長     判決前に死去
大島浩   陸軍中将、駐独日本大使      終身刑
岡敬純   海軍中将、海軍軍務局長      終身刑
重光葵   外務大臣、大東亜大臣、駐英大使  禁錮7年
嶋田繁太郎 海軍大将、海軍大臣、軍令部総長  終身刑
佐藤賢了  陸軍中将、陸軍軍務局長         終身刑
白鳥敏夫  駐伊大使             終身刑         
鈴木貞一  陸軍中将、企画院総裁       終身刑
東郷茂徳  外務大臣、駐ソ大使          禁錮20年
東條英機  陸軍大将、陸軍大臣、総理大臣     絞首刑
梅津美治郎 陸軍大将、陸軍参謀総長        終身刑

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