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学校行事にまつわる子供たちの事情と大人の役割とは

1.新型コロナウイルスによる学校行事への影響

 2020年の初春より感染拡大している新型コロナウイルスの影響により、同年3月~5月末頃まで約3か月間、全国の多くの学校で休校措置となりました。6月からは段階的に学校が再開しており、学校現場では感染予防に努めながら、休校期間中の学習の遅れを取り戻そうと教育活動が進められています。このような状況下では、学習の遅れの問題、感染対策上の問題から、学校行事が縮小または中止となっている学校が多いようです。

2.学校行事の位置付け

 学校行事とは、初等・中等教育学校の学習指導要領で「特別活動」に位置づけられており、具体的には入学式、卒業式、文化祭、学習発表会、合唱コンクール、運動会(体育祭)、水泳大会、遠足等が該当します。また、「望ましい人間関係を形成し、集団への所属感や連帯感を深め、公共の精神を養い、協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的・実践的な態度を育てる」ことを目標としています(小学校学習指導要領より)。

3.平時での学校行事と子供たち

 ここで、平時における学校行事への取り組み方に触れたいと思います。例えば、学校の「二大行事」とも言える文化祭と運動会では、何か月も前からHR(学級活動)等の時間を使って準備を始めます。直前になると授業時間も準備にあてられ、放課後も遅くまで残って制作や練習に励みます。教員も保護者も子供たちの頑張りに応えようと協力し、当日を心待ちにします。

 一方、学校現場を経験して感じるのは、このような行事の盛り上がりが苦手な子供も一定人数いるということです。周りのノリについて行こうと無理をしている子もいれば、活動から離れて過ごしたり、学校を休みがちになる子もいます。これについてはさまざまな原因が考えられますが、行事を作り上げていく過程で経験するストレスが一因と言えます。例えば、グループ分け、シフト組み、共同制作、練習中でのトラブル、さらには周囲との意識のギャップ、保護者や教員の期待からくるプレッシャーなども挙げられます。多少のストレスであれば、成長に繋がる経験ともとらえることが出来ますが、活動そのものが苦痛だと感じるほどであれば問題です。そういう意味で学校行事はあまり肥大化しすぎず、シンプルな方がいいような気もします。

4.今後の代替イベントと大人の役割

 もちろん、行事を経験することによって得られる達成感は大きく、子供の心に残るイベントを実施することは大切です。最近では、新型コロナウイルスの収束が見えない状況を考慮して、子供たちのために何か小さなイベントでも実施できないかと、「代替イベント」を企画する学校やNPO団体が増えているようです。
 コロナ以前の学校行事は、「子供の成長の証を保護者に見せる場」という側面に偏りがちで、ともすると教員も保護者も出来栄えを追究しすぎる傾向にあったと感じています。行事がもつ本来の良さや目的を再認識した上で、私たち大人が果たすべき役割とは、子供やイベントそのものに過度の期待を寄せることではなく、今できる範囲内で子供が力を発揮できるようにサポートし、同じ目線で感動を体験することなのではないかと思います。

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