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ノリコとわたし

突然ですが、「コンパッションに満ちた人」ってどんな人だと思いますか?

コンパッション・マインド・トレーニングをグループで受講し仲間のイメージを聞いたり、そしてトレーナーになるためクライアントさんにセッションを提供していると、「コンパッションに満ちた人」のイメージは人によって全然違うことが分かり、とっっっても面白い

今日の記事では、2024年を共に歩んできた、わたしの中にいる「コンパッションに満ちた人」をご紹介します。


そもそも「コンパッション」ってなんぞや?

コンパッション(Compassion)は、ラテン語が語源で「COM(共に、一緒に)」「PATI(苦しむこと)」という意味で、日本語では「思いやり」や「慈悲心」とも訳されます。

コンパッション・マインド・トレーニングでは、自分の中に「コンパッションに満ちた人」を育てていき、辛く苦しい出来事の渦中にいるときに、苦しみや悩みを無視することなく向き合い、自分を過度に責めるのではなく、優しい言葉で励ますことができるようトレーニングしていきます。

今日はわたしの「コンパッションに満ちた人」をご紹介します。

わたしの中にいる「ノリコ」さん

ノリコ。50代後半。
バリバリ働いている。たぶん会社でもそれなりの地位。(…たぶん。)

見た目ふっくらしたおばちゃんで、いつも豪快に笑っている。
黒っぽいゆったりとした感じの服を着ていることが多い。作業中は眼鏡をかける。眼鏡にはチェーンがついてて、使わないときは首からぶら下げている。

ノリコは冗談が大好きで、緊迫した場面でもノリコの冗談で場の緊張感がいい意味でゆるんでいく。

妊娠・出産、子育て、仕事、離婚。人生経験は豊富だ。
あっけらかんとしているが、ノリコ自身もこの年になるまでいろいろ苦労をしてきたのだ。

わたしが弱音を吐いたりパニックになっていると、ノリコはいつも笑ってくれる。

「あはは、そんなことで悩んでるの。青いね~」
「大丈夫、大丈夫。」

でも、よっぽど辛い時は、何も言わず、背中をさすっていてくれる。
ノリコの手のひらは厚くてあったかい。

物事がうまくいったときは、少し遠い位置からわたしの姿を見て、微笑んでいる。

「でしょ?わたしは最初からこうなると分かってたよ。」

ノリコはわたしの人生のメンターだ。

「わたし」と「ノリコ」が重なった出来事

わたしは今年、通っていたコーチングスクールの資格試験にチャレンジした。

試験受験に必要なのは有償セッション100時間。今住んでいるシンガポールでのわたしのビザは働くことが禁止されているため、起業なんてことをしてみたり、クライアントを募集したり、子どもの寝かしつけの後は毎日のようにセッションや勉強をしたり、、、。

資格取得の約1年の道のりは、わたしにとっては☆超一大☆プロジェクトだった。

「予定を詰め込みすぎてしまう」という癖

ちょっと話が逸れるが、わたしには「予定を詰め込みすぎてしまう」という癖がある。

これは「自分は頭が悪い」「自分はここぞの場面で失敗する」という自分自身にかけた呪いの言葉からの行動だ。

(この呪いの言葉は大学受験の失敗の経験から生まれたものなのですが、詳細は今回の記事では割愛。)

「自分は頭が悪い」から、とにかく実践して身体に叩き込まないとダメだ。「自分はここぞの場面で失敗する」から、自分のことなんて信じられない

これまでコーチングの学びを続けている中でも、この「予定を詰め込みすぎてしまう癖」には助けられることも、苦しくなることもあった

確かに、たくさん練習をすることでたくさん失敗をし、そこから学ぶこともできた。でも、味わう間もなく打席に立ち続けると1つ1つの打席がおろそかになるし、そもそもとても疲れる。(※「コーチングセッション」を「打席」と表現しています)

1か月先まで予定が埋まっていて、寝かしつけ後に一息つく暇もない。
夜にソファーでテレビを見たのはいつが最後?いろいろ見たい番組もあるのに。てか最近夫と全然話してないんだけど。

「は~~~、、、なんでこうなったんだろ。なんでこんなに余白がなくなってしまうんだろう。」

このパターンを何度も繰り返してきた。

試験申し込みの直後

最初に思ったのは、「さて練習相手をいつ、どう見つけようかな」。

一時帰国もあるから、まずは子どもの生活リズムを整えて、それでも最低2週間前からは毎日練習ができるようにしたい。寝かしつけ後だけじゃなくて昼寝の時間も使おう。お母さんにも協力してもらう。きっと大丈夫。

え、それってめっちゃ疲れない?これまで何度も繰り返してきた「なんでこんなに余白がないんだろう」をまた繰り返すのだろうか、わたしは。

「・・・や~めた!」

無理して試験に向けて頑張るの、や~めた!
超一大プロジェクトを「合格」で成功させようと思うの、や~めた!

だって疲れるもん。しんどいもん。
失敗を恐れて、緊張感でガチガチのコーチングは楽しくないもん。

コーチングを学び始めて3年。わたしなりに十分やってきたじゃない。

やってきたことは必ず身になっていると思わない?だって3年だよ?

もし不合格だったとしても、ダメだったところを改善してまたチャレンジすればいいじゃない。むしろタダでメンターコーチングが受けられると思えばお得じゃない?

いつものあなたで、あなたが楽しいと思ういつものコーチングをやってみなよ。

どんな結果になろうとも、あなたがやってきた努力がゼロになるわけじゃない。

結局わたしが試験までにやったことは、①メンターコーチングを受けて経験のあるコーチから自分のセッションのFBをもらうこと。そして、②すでに日程が決まっていた自分のクライアントさんとのセッションのひとつひとつを丁寧にやること。その2つだった。

試験目前に受けたメンターコーチングでは、自分の現在地を確認した。
ポジティブなFBが自信になったのと同時に、改善点の指摘もありがたく素直に受け入れることができた。改善点は「伸びしろ」だ。改善点を教えてもらえれば自分はきっと改善できると信じているから。

数としては少ないセッションも、意図をしっかり持って、丁寧に向き合うことができた。やっぱりコーチングは楽しい。コーチングへの緊張感は全く感じなかった。

そして当日もリラックスした素のわたしで、のびのびと、楽しく、わたしらしいセッションをすることができた。

ありがたいことに、結果は「合格」

「合格しなくても~」とは言ったけど、合格できたことは素直に嬉しい。ていうかめっちゃ嬉しい!!!!!

今改めて振り返ると、自分にコンパッションからの言葉をかけられていたんだな。

ずっと苦しめられてきた「自分は頭が悪い」「自分はここぞの場面で失敗する」の信念を振り払うのに必要なことは、「努力して一発合格する」ではなく、「自分の今までの努力を信じて、ありのままで臨む経験」だった。

いつの間にか、ノリコの言葉を、自分で自分にかけられるようになっていた。

あれ、ノリコは今どこにいるんだ?

そうだ、ノリコはこちらから声をかけないと答えてくれないんだった。

今自分の後ろを振り返ると、壁際でノリコが腕を組んでこちらを見て微笑んでいるような気がする。

「でしょ?わたしは最初からこうなると分かっていたよ。
あんたの頑張りはずっと見てたんだから。」


この記事は三神良子さん・植田早紀さんが主宰する「コンパッション・マインド・トレーニング」受講生コミュニティで実施している「#コンパッションアドベントカレンダー2024」の21日目の投稿です。

各回共通のテーマはこちら。

「コンパッションとわたし」
「2024年にコンパッションを向けてみる」

仲間の投稿も素敵なので、マガジンからぜひ見てみてくださいね~!


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