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日仏デザイン論 ~ フランスランジェリーの魅力の本質

ランジェリー、お好きですか?

と聞くと違和感を感じるかもしれません。フランスでは男の人1人でもランジェリーをプレゼントに選ぶ姿を見かけます。

生活の一部に自然にセクシャルな要素が溶けこんでいるフランスならではですが、今回はそんなランジェリー文化について綴ってみたいと思います。


フランスランジェリーの歴史

元々『ランジェリー』は高級な亜麻布を使って作られた、女性用の下着を指すフランス語でした。(WIKI調べ)

※小噺ですが、フランス語が語源の単語、実はたくさんあるのです。『オリンピック』や『テニス』もその一つ。

諸説ある中の1つでは、フランスランジェリー はコルセットから始まったとも言われています。ウエストをキュッと絞り上げることで女性らしいボディラインを強調。華やかなドレスをより美しく着こなすためのツールとして作られたのです。

時代と共に「女性らしさ」の定義も脈々と変化していますが、今でもフランスには沢山のランジェリーショップが軒を連ねています。


現代における 『ランジェリー』 とは

私が初めてフランスのランジェリー売り場を覗いた時、まず驚いたのはその「デザインの幅の広さ」でした。

機能性に優れたものから、美しく繊細なレースをあしらったアートピースのような一品。

形もバストを覆う為だけではなく、これをランジェリーと呼べるのか?と迷うような大事な部分がほとんど隠れないタイプも。もちろん、色柄も豊富です。

これらフランスランジェリーはあくまで『自分らしさを表現するツール』の大事な1つであり、『他人に魅せること』を前提として作られているので、その表現もファッション同様に多種多様に進化してきたのでしょう


白シャツは透けてなんぼ、のフランス女魂

ランジェリー、と聞いて私が思い出すのは某フランス人同僚です。

大きなプレゼンテーションがある日には「必ず真っ白なシャツと真っ赤なリップ」と決めている彼女。真っ白なシャツのその下には、ハッキリくっきりブラジャーが透けて見えるのは毎度のお決まりです。

なかなか日本では見ない光景ですが、ランジェリーはファッションの一部としてレイヤードで楽しむような感覚に近いのだと思います。ファッションと組み合わせ、柄や色がどう透けて見えるか計算して当日のランジェリーを選ぶのだそう。

「少しくらい武装しないとね」と悪戯っぽく笑う彼女に、どんな時でも女であることを忘れないフランス女の粋を感じました。


「日本人の体型、なぜかみんな一緒」 現象

一方、久しぶりに日本に一時帰国した際、客観的に抱いたのは「日本の女子はみんな同じ体型してるなぁ」という印象でした。

日本は少し街中を歩くだけで電車/雑誌/テレビなどなど、ありとあらゆる場所や媒体が情報にあふれていて、

・寄せてあげて!!フワフワ、マシュマロバスト!

・加齢しても垂れ乳にならない!!

といった謳い文句が至る所で目に入ります。

垂れてはいけない、小さいとだめ、大きすぎても品がない・・・と無意識に美しさの定義を刷り込まれ続けることで、メディアに造られた理想像に当てはまらない場合は強いコンプレックスを感じてしまっているのではないでしょうか。

それ故かはわかりませんが、日本のランジェリーはワイヤーやパットを使って少しでも理想の体型に近づけるよう、「補正する」ことに重点が置かれているものが多数派です。

日本におけるランジェリーの役割はあくまで「下着」であり、衣類の『下に着る』ことが前提。内側を盛って、外をいかに美しく見せるかが大事とされているように思います。


飾らない美しさ  /  「若いね!」は褒め言葉ではない?

逆にフランスでは補正機能のないランジェリーが主流。パットなし、ワイヤーなし、ペラペラの布切れ一枚……というケースが多いです。

もちろん同じ人間、年齢の変化は同様にありますし、体型も人それぞれです。ただ飾らない自分を表現することが美しいとされている文化ゆえ、その時の自分の体型ありのままを魅せることが良しとされている傾向です。そもそもシミ・そばかす・シワ…といった加齢とともに切り離せない変化も、日本と比べると気にしない人が圧倒的に多いのにも驚きます。

そのため、「 若く見えるねー!」と言うのは、フランス人にはあまり褒め言葉に聞こえないようなので、要注意。年齢に伴った魅力がないって意味?!と勘違いさせてしまう可能性もあります。まぁ言われて喜ぶ人もいるので、ケースバイケースですが…


フランスランジェリーの本質

この前、すっきりとしたスキニーパンツにメンズTシャツで体型もボーイッシュ、なのにどこかフェミニンな女の子とすれ違いました。体型とファッションがぴったり合っていて、男女というセグメントで括れない魅力を感じました。

ファッションのスタイル、すなわち「女性らしさ」のあり方とともにランジェリーへの価値観は変化してきたように思います。

中世のコルセットでボディラインを誇張したドレス姿もやはり素敵ですが、自分のスタイルに合わせて自由にランジェリーを選ぶことができる今の世の中は、やっぱり素敵だなぁと思うのです。

隠された部分だからこそ、自分の心に素直なものを身につけていたいものですね。

最後の余談。

フランスのランジェリーショップは大抵がスイムウェアも通年で併売しています。日本ではあまり馴染みがないですが、質感も高くオススメです。日本のメーカーもやらないですかね?

それではまた。

#日仏デザイン論 #フランス #海外暮らし #デザイン #ランジェリー #下着




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