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写真から宇宙飛行士が消えた!永遠に宇宙を廻る飛行士たち

 岡田斗司夫です。

 今日は、2019/07/28配信のニコ生・岡田斗司夫ゼミ「【月着陸50周年記念】アポロ宇宙船(後編)月着陸と月面歩行」からハイライトをお届けします。

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 じゃあ、アポロ計画の話に行きましょう。

 久しぶりにタオルくんの登場だ。なんでタオルくんかというと、最初に、ちょっと変な話をするからなんですけど。

 今回は、アポロ計画の後編なんですけど、その前にちょっとだけ、ソ連の宇宙計画の話をしようと思います。

 アレクセイ・ガガーリンは「宇宙に行った最初の人間」と言われているんですけど。「ガガーリンというのは宇宙に行った最初の人間ではなく、宇宙から「帰って来た」最初の人間だ」という説があるんですね。

 その説の根拠がこれです。タオルくん、解説お願いします。

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タオルくん:この写真は1961年ガガーリンが初飛行を成し遂げた直後に撮られた有名な集合写真です。
 この真ん中にいるハゲたおじさんが、セルゲイ・コロリョフ。その右側にいるのがガガーリンです。
 ところが、こっちの写真を見てくださーい!
岡田:はい、タオルくん。

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(2つのパネルを見せる。まったく同じ写真のように見えて、片方の写真にはたしかに写っている人物が、もう片方には居ない)

【画像】消された黒いシャツの男

 これ、同じ写真に見えますけど。こっちの写真では、1人多いことはわかりますか? 

 黒いシャツの男が、こっちの写真では消されてるんです。怖いよね。

 当時はCGとかがない時代だから、エアブラシで丁寧に丁寧に、この男が最初からいなかったかのように、窓枠とかが描き足されているんですよね。

 果たして、この黒いシャツの男は誰か?

 なぜソ連の公式写真から消されてしまったのか?

 本当にガガーリンは、人類初の宇宙飛行士だったのか?

 というお話です。

 今の僕らは、宇宙開発というのを安全なものだと思い込んでいます。

 アポロ計画というのは、20世紀最大の冒険だったんですけど。しかし、当時からNASAは、しきりに安全性を宣伝してました。こんなに危険な大冒険なのに、NASAは「安全です、安全です! 成功します、成功します!」とずーっと言ってたんですね。危険性を隠そうとしてたんです。

 それはなぜかというと、当時は「ロケットというのは、すぐ爆発して危険なもの」という社会常識があったから。

 なにより「悲劇のアポロ1号の火災事故」が大きかったんですね。

 アポロ計画全体が成功したのは、アメリカ議会が無制限と言われる予算を承認したからなんですよ。

 でも、その無制限の予算承認というのは、1963年と1964年のたった2年間だけでした。1965年になってからは、ベトナム戦争の影響で、予算も青天井ではなく、制限されることになりました。

 そんな中、1967年1月に、アポロ1号が火災事故を起こしました。このアポロ1号の事故の原因は、いろいろあるんですけど、僕が一番の原因だと思うのは「予算の削減」なんですね。

 予算の削減のおかげで、アポロのカプセル内のコードや配線に可燃物があるというのが見過ごされていた。それまでの作り方よりも、やっぱりチェックが疎かになっていた。その結果、電線のショートで一気に船内の酸素に火がついてしまって、火災事故が起きてしまったんですね。

 この事故によって、アポロ計画は1年半、ほぼ中止されてしまいました。

 議会で、無制限の予算が承認されなくなり、お金が段々と削減されてきた。

 ところが、「60年代の終りまでに月に行かなきゃいけない」という宇宙計画自体のゴールは動かせない。

 そうするとどうなるのかというと、「徐々に徐々に予算が少なくなっていくことはあきらめて、このままどうにか開発を続けよう」ということになる。

 その結果が、結局、チェック機構の甘さに繋がり、アポロ1号の事故に繋がったというわけですね。

 そして、この事故によって、宇宙計画自体が見直され、予算はさらに削減されました。

 この事故による予算削減に、NASAも本当に恐怖したわけですね。

 たった1回ですよ? たった1回の死亡事故で、危うくアポロ計画全体がキャンセルされそうになったんですね。

 しかし、世界は広いんですよ。世界には、アメリカ以外にもう1つ、アメリカと同じく月を目指しながら、宇宙飛行士が死んだくらいではビクともしない、計画をまったく止めようとしない国が1つだけありました。

 ご存知、ソ連ですね(笑)。

 これは、僕がロシアに行った時に買ってきた、人類初の宇宙飛行士と言われているガガーリンのTシャツなんですけども。

(Tシャツを見せる)

【画像】ガガーリンのTシャツ

 1961年の4月12日、ガガーリンは「ボストーク宇宙船」で、世界初の有人宇宙飛行に成功しました。

 ボストークは、地球周回軌道を1時間50分で1周して、高度7000メートル、座席ごとカプセルから射出されて、命からがら地上に降りました。……無茶なんですよ。ボストークの着陸方法って、本当に「落ちて来るだけ」なんですね。落ちて来るだけで、その途中で高度7000メートルでパラシュート脱出するんですよ。

 実は、この時、ガガーリンが無事に脱出ができる可能性というのは、わりと低かったんですよね。

 それでも、ソ連が打ち上げを決行したのは「これだったらアメリカに勝てそうだ!」という見込みがついたからですね。「もし失敗しても隠せばいいだけ」と考えていました。

 しかし、このガガーリンの大成功の2ヶ月前、1961年の2月17日の早朝、ソ連は当時、世界に一切報道することなく、1基のロケットを打ち上げました。

 ガガーリンが乗ったボストーク宇宙船のテスト機です。「コラブリ・スプートニク」という、ちょっとマイナーな、スプートニクとボストーク宇宙船のちょうど中間の宇宙船でした。

 ソ連は秘密にしてたんですけど、発車後数分で、ソ連以外の世界中のレーダー網に引っかかり、探知され、追跡されることになりました。

 ソ連は、しばらく沈黙していたけど、数日後になって「テスト用の無人機を打ちあげた。大成功だ」と発表しました。

 この宇宙船は、ガガーリンやそれまでのスプートニクがやっていたような、地球の周りをぐるぐる回る軌道ではなく、なぜか、月へ向かう軌道へと加速して向かおうとしました。

 しかし、ロケットの推力が足りなかったのか……おそらく、途中で故障したんでしょうね。加速が足りずに、月へと向かわずに、地球を大きく回るものすごく長い楕円軌道に乗ってしまったんですね。

 地球へ帰ろうとしても帰れないこのロケットは、今も、地球の衛星軌道を延々と回っています。

 この無人のはずの宇宙船から、奇妙な電波が世界中の観測所にキャッチされています。

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> すべて良好。我々の宇宙船は予定の高度を保っている。

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 数時間に一度、男女の声で、このまったく同じメッセージが、宇宙から流れてきました。

 後にソ連は、このメッセージを「音声テストのために録音されたテープを発信しただけ」と説明しました。

 しかし、このメッセージの1つ1つは、テープで録音されたような同じ音声ではなかったんですね。

 そして、その7日後の1961年2月24日、このメッセージに、いきなり変化がありました。

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> 男の声:ダイヤルの表示は見える。しかし、シグナルはハッキリしない。もう何も見えない。
> 女の声:(パニクった声で)私が右手で支えています! こうすればバランスが保てます! 今のうちに窓から外を見てください! あれを見てください!
> 男の声:なんだ、あれは? 何かがある。(しばらくしてから諦めきった声で)もし我々が帰れなくても、世界は何も知らないままだろう……。
> 録音された時報の声:ただ今、モスクワ時間で午前8時です。

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 この音声を最後に、この謎のロケットからの通信は一切、絶えてしまいます。

 この通信は、スウェーデンやイタリアの通信センター、西ドイツやアメリカのアマチュア無線通信でキャッチされました。

 しかし、これについて、ソ連は「録音されたテープの音声だ!」と言い張っています。

 この歴史から消されてしまった黒いシャツの男。彼は、ガガーリンの2ヶ月前に宇宙に行って、帰って来れなかった男なのか?

 この2つの写真の比較が西側に知られたのは1971年のことでした。

 その翌年、『2001年宇宙の旅』の原作者である、アーサー・C ・クラークが、友好のためにソ連を訪れて、世界で初めて宇宙遊泳をした宇宙飛行士であり、同時に画家でもある、アルクセイ・レオーノフと対談したんですね。

 その時に、アーサー・C・クラークは「今、こんな写真が西側で発表されたんだけど」と言って、この2枚の写真をレオーノフに見せて、「同じ宇宙を愛する者同士、真相を教えてくれないか?」と言ったんです。

 すると、レオーノフはハッキリと嫌な顔をして、この件に関しては何も答えなかったんですね。

 後の調査で、この黒いシャツの男は、ガガーリンやチトフ、レオーノフの同僚で、宇宙飛行士候補生だった、グリゴリー・ネリューボフだということが判明しました。

 ネリューボフは、素行不良で宇宙飛行士をクビになっちゃった人で、「そのせいで、栄光あるソ連宇宙開発の歴史から抹殺されてしまった」と言われています。

 一応、これが消された宇宙飛行士の真相みたいなんですけど。

 じゃあ、あの2人の男女の声は何だったんだろうか?

 本当に、ソ連が発表している通り、単なる無人宇宙飛行船のデモンストレーションのための音声だったのか?

 だったら、世界中で録音された、あの不思議な声は何なのか?

 宇宙船は、普通、地球に戻る時に逆噴射をするんですけど、この逆噴射エンジンが点火しなかったんですね。

 コラブリ・スプートニクというのは、この他にもいっぱい打ち上げられてるんですよ。そのほとんどが成功して、中に乗ってる、犬とか、いろんな動物は回収されています。

 ただ、たまに失敗して、戻って来なかった機体もありますし、戻って来たけど、中の犬が死んでしまっていた機体もあるんですね。

 この謎のコラブリロケットは、地球に戻る逆噴射に失敗したんです。なので、今現在も、地球の周り、絶対零度の宇宙空間を、延々と回っています。

 さっきの2人の声については、いまだに謎のままです。

 ……という話でした。

 いや、来週ね、ちょっと怖い話の特集をしようと思っているので、こんな話をしてみました。

 まあ、「怖い話」というよりは、僕が子供の頃に聞いて、不思議に思っている話なんですけど。

 これ、いまだに謎が解けないんですよね。なので、これについて、もし何かを知っている人がいれば、ぜひ岡田斗司夫にメールしてください。

 教えていただければ、もう、ステッカーを何枚でもあげますから。よろしくお願いします(笑)。

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