オンラインでも身体を使った体験はできなくもない【リモート謎解きで見つけた没入感のヒント #3】
オンラインで行う打ち合わせやワークショップをもっと快適で面白いものにできないかと思い、会社の人たちとリモート謎解きイベントに夜な夜な参加してみました。
とっても面白かったので、そのポイントや活かせそうだなと思ったことをゆるく書いています。(参加したイベントまとめはこちら)
オンラインなのに!?PCから離れて家中を探し回った
参加した謎解きイベントの中に、PCから離れて家中をバタバタ探し回るものがありました。「オンラインなのにPCから離れるの!?」と驚いたのですが、画面の向こうでもみんながバタバタと動き回っていて謎の一体感がありました。
他のイベントでは、ジェスチャーだけでお題を伝えたり、音を聞くだけでそれが何かを予想したり、ただ話したり回答を送信するだけではない、体の感覚や動きを使う活動が盛り込まれていました。
余談ですが、面白かったのが、ジェスチャーで伝えないといけないのに、動きだけで表現するにはややこしいお題や、抽象的なお題が混ざっているんです。この動画の11:20あたりからその様子が映っています。私たちも全く同じように「え、これ、え……?ちょっと待ってwww」となりました。本当によくできている……!
体の感覚や動きを使う活動は導入に取り入れられそう
Zoomでコミュニケーションをするとしても、目的によっては体の感覚や動きを使う活動を取り入れられそうです。イベント後の振り返りでは、下記のようなことなら、オンラインでも取り入れられるのではという話をしました。
・ベランダに出る
・寝転びながら話す
・部屋を真っ暗にする
・手袋をしてチャットする
・20分間、散歩に行ってみる
・お腹いっぱいの状態で参加する……などなど
ちなみに私は「南極にいる」という設定の謎解きの時に、部屋を冷房で20℃くらいに冷やしてみましたが、特に臨場感は無くただ寒い思いをしただけでした……。
以前参加したWDAのナレッジシェア会では、チェックインとして10秒間全員黙って、今の気持ちを自分に問いかける時間がありました。最初に静かな10秒間を体感していたことで、ナレッジシェアで出た「(ワークショップ中の)沈黙も1つのリアクションと捉え直すことで受け入れてみよう」という話がスッと入ってきました。
体の感覚を使うワークは臨場感を期待するよりも、導入(テーマに沿ったことを体感してみるなど)に使ってみると、その後の内容の理解が進みそうです。
と思ったけど、他者との身体の読み合いはできない!
さてこれでnote公開をしよ〜!と思っていたのですが「ニューQラジオ」の「哲学に運動神経は必要?」の回を聞いたら、それだけじゃなかった〜〜〜と気付きました。というのも、上記の例は個人の身体感覚を使ってはいますが、他者の身体感覚を読み合っている状態にはなっていないのです。
この回の中で「哲学対話の場でのファシリテーターは、反射神経抜群のスポーツ選手のように、その場の全員の表情や動きから、そこで何を問いかけるべきかを反射的に予測してアウトプットしている」という話があります。
視覚的なところの話だと、その人の表情とか口の動きとか手の動きとか、そういうインプットも反射にすごい重要な気がしていて。
つまり、哲学対話をやってる時に得てる情報って、話の内容だけじゃなくて、みんなが早口になっていってるとか、この状態のときにあの人が顔をしかめてたとか、そういうのが全部情報となって一挙に押し寄せてる感じがするんですよ。
(スポーツの場合は)なんでそこにボールが来るかが分かるかっていうと、ボールに触る直前の人だけじゃなくて、他の3分ぐらい前の動きから決まってる感じがするんです。(中略)そういう一挙な情報把握が行われている気がして、そのあたりは対話するということと、ボールをキャッチすることの身体感覚はすごく似ている気がするんです。
普段から表情や姿勢などを情報として読んでいる人ほど、オンラインでのコミュニケーションは分からない情報が多いと感じているのかもしれません。特に、考え込む場面の多い大人数での対話の場では、そういった情報を把握することが必要な問いを生み出すことに繋がりそうです。
身体の感覚をシミュレーションすることで読み合う
ラジオの中で、反射神経抜群の方が「ボールがどこに落ちるか考えるというより、相手の身体の感覚(足の角度や助走)をシミュレーションして、その人の身体になった気持ちになると、必然的にボールがどこに来るか分かる」と話していました。
そう考えると、哲学対話も、自分が喋ってる気持ちでその人の話を聞くというか。どういう理由でその人がそういうことを言っているのかを、その人になったように考えるから、その人が喋ってる部分と自分が持ってる理解のズレがすぐ見つかって質問したいことがすぐ出てくる。
そういう真似みたいな、コピーするとか、そういう身体的・精神的なもののミラーリング技術みたいなものを運動神経っていうのではいかという気がしています。
Zoomなどでは情報が乏しいのでうまくシミュレーションできず、それで「読み取れない!わからない!カメラをONにしてくれ!リアクションしてくれ〜!」という感じになっているのかもしれません。相手の助走やパス先を見る目線などが見えない状態で、いきなりボールが飛んでくるような。そう考えると、そんな状態でボールを追いかけるのはかなり疲れそうです。
このラジオを聴いて、オフラインでのコミュニケーションは、無意識に他者の身体と相互に影響し合いながら行っていたのかもと気付きました。その相互作用が無意識にいくつも起こることによって、その場のいわゆる空気が形成されるのかもしれません。(eスポーツの選手のように、極めればオンラインでも相手の身体に共感できるのかもしれない)
お互いを見ながら一緒につくる
最近、あるプロジェクトの打ち合わせを3回に1回は対面で行っています。2回のオンライン会議で話した内容を、1回のオフライン会議でホワイトボードを使って一気にまとめるという感じです。
対面でホワイトボードを使うと他の人が書いている様子が見られるのが、身体をシミュレーションし相手の意図を理解することをやりやすくしていそうな気がします。
どのような位置付けで考えているか、どこで迷っているか、どこを慎重に考えているかなども伝わるし、「ここは何かをこう並べて〜」と補足しながら書くこともできます。一緒にまとめる作業をする時は、オンラインでも自分の感覚を言葉にしていくと意図が伝わりやすそうです。(ここらへんは模索中ですが……)
今回は謎解きイベントの話じゃない部分が多くなってしまいましたが、オンラインの場づくりでよく話題に上がる「身体性なさすぎ問題」について書いてみました。しかし、あんまり没入感の話してないですね。
次回は「ビデオ通話は2人とかで疲れないコミュニケーションしてこ」について書こうかなと思っています。だんだんタイトルが適当になってきました。
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