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東京電力の輸送キャスクに不正疑惑   ~50年も貯蔵するのは無理でしょう

 新潟県柏崎刈羽からむつ市の中間貯蔵施設へのキャスク搬入から営業開始までの今後の予定を整理します。
 海上輸送して、関根浜港で陸揚げして、キャスクを搬入し設置したうえで、9月中旬に使用前検査を行う予定です。
 キャスクを海上輸送するためには、「輸送用容器の承認(東京電力申請中)」が必要で、承認されて初めて輸送が開始されます。

容器の承認申請

 その審査のために7月9日に「容器の承認申請」が出され、現在、原子力規制委員会 核燃料施設審査部門で審査中です。
#1 . 輸送用容器の承認(東京電力申請) 2024/7/9
https://www.da.nra.go.jp/detail/NRA100003668
同時に、申請に関する資料(M&E室蘭の不正について)も提出されました。
#2 . 事業者とのヒアリング概要・資料
https://www.da.nra.go.jp/detail/NRA100003740

製造で不正疑惑

 この容器HDP-69Bは14年前に製造され11年前に承認されました。最初の承認から60年間の期間が承認期間(~2073/10/24)になっています。
 キャスク製造を発注したのは日立GEで、日本製鋼所JSWとその子会社のM&E室蘭製作所で製造されています。子会社のM&E室蘭で不正が行われていると2022/2月に内部告発があり、2022/11/14にJSW社内に作られた特別調査委員会が報告書をまとめています。
 
#3 . 特別調査委員会 報告書
https://www.jsw.co.jp/news/news_file/file/ReportFinal.pdf
報告書で明らかになったことは、不正全体の一部だけだが、原子力製品にも不正があり、データの改ざん、ねつ造、虚偽記載があったそうです。

 にもかかわらず、日立GEとリサイクル燃料が室蘭で不正はないことを確認したので、HDP-69Bは安全だと#2.の文章に記載されています。
 HDP-69Bでは、部品を製造した日本軽金属のアルミ製品でもJIS違反の不正が明らかになっています。こちらの不正は容器申請書に記載されていますが、JSWの不正は記載されずヒアリング資料として添付されています。
 なぜ、このような扱いになったのかを相談した記録が以下にあります。AI?による書き起こしで混乱した文書です。
#4 . 容器承認申請(HDP-69B 型)に係る面談(1)
https://www.da.nra.go.jp/detail/NRA100003538

嘘つきRFS

 安全協定に関する県民説明会で市民が何度も質問して初めて、JSWの不正が文書になりました。しかし、日立GEとリサイクル燃料は今もだんまりで、隠蔽しています。

 県民説明会後も、リサイクル燃料RFSに何度か電話して、質問をぶつけています。
 「室蘭で安全確認をしたのはいつか?」 何度聞いても答えませんでしたが、弘前会場で「2022年10月」と答えました。どのように確認したのか、それを文書にしてあるのかを聞きましたが、「文書はない、内容は答えられない」という回答です。
 そこで、「特別調査委員会の報告書が出たのが2022/11/14なのに10月に確認しても意味がないでしょう」と、重ねて追及したところ、翌日になって「間違っていました。11月でした」とあっさり訂正しました。
 さらに、キャスク申請時に「タイプ2」が6基あったのに削除したことを聞きました。1基5千万なので全部で3億円にもなります。「今はどうなっているのか?」と質問しました。
 1日目、2日目の答えは、「今申請を出しているHDP-69Bと同じ性能なので、今後の搬入に使う予定だ」と答えました。
 「今の承認システムからして、それは無理でしょう」と話したところ、担当者は観念したのか電話口で私に聞こえるように上司に「福島に行ったことを言ってもよいですか?」と相談しOKをもらい、「東京電力に譲渡し福島にありますので無駄にはなりません」と前言を翻しました。福島に不正が行われたかもしれないキャスクがあり使われようとしています。
 この間のRFSの対応は、「隠蔽・嘘つきRFS」です。

不正と規制員会

 原子力規制委員会に「原子力製品に不正があった時にどのように対応するのか」を聞きました。「直接規制するのは原子力事業者なので、事業者に不正があれば措置の対象になる。」
 「製造者に不正があった場合はどうするのか?」 「事業者が不正を確認をする」のが、今の対応だそうです。
 M&E室蘭の製品は、フランスにも関係していたようで、フランス原子力安全局は、2022/12/6~12/8まで原子力規制員会に同席を求めて検査しています。不正に対して規制委員会が関与しない日本の基準は、国際基準からはかけ離れていることが露呈しました。
#5 .  フランス原子力安全局による株式会社日本製鋼所に対する検査
https://www.da.nra.go.jp/detail/NRA046000355

「隠蔽・うそつき」の事業者、製造者に対して、当事者任せで規制当局は及び腰、これが日本の実態のようです。この機会に、原子力製品の不正について洗い出し、安全第一の文化を作りなおすことが緊急に求められています。