見出し画像

忘却のサチコ


例えば仕事中、たまらなく牛丼が食べたくなり、牛丼を検索しまくってしまう。
例えば寝る前、カレーの香りに想いを馳せつつ、カレー特集雑誌をしげしげと眺める。

実際にそのときにガツガツと食べるわけではないけれど、美味しいものを見て読んで気持ちを高ぶらせて、結局いつか食べようとなる。

そんなことって、ある?
私はある。よくある。
そして、私のように「そんなこと」をする人が一定数いる。絶対いる!!!

だからきっと、主人公が一人で食事をしたり、お酒を飲んだりする漫画やドラマが人気があるんだろう。

画像1



などとしみじみ考えたのは、「忘却のサチコ」を読んだから。
この作品も主人公が一人で食べる系漫画で、高畑充希ちゃん主演のドラマでも人気になったあれです。

Amebaの漫画で4巻まで無料だったので、一気読みしてしまった次第。


サチコが一人で食事をするきっかけは、結婚式で花婿に逃げられたこと。
カタブツで仕事一筋で、食事=栄養補給だったサチコ。
だけど、ふらっと入って食べた鯖の味噌煮定食が、ぽっかりあいた心の穴を少しだけ埋めてくれた。そこから、サチコはお店できちんと食事をとることに目覚めていく。

画像2



美味しい食事を求めて三千里。
出張先で美味しいものを食べて恍惚となるサチコが面白く、微笑ましい。

そして、身に覚えもある。

サチコが美味しいもの巡りするようになったのは失恋。

だけど、失恋で食べ物が喉を通らないなんて、絶対ないよなと思う。
心に大きな傷を負った時、癒し方は人それぞれかもしれないけど、「食」で得る栄養は、時に、心を覆う絆創膏になってくれるものなんだな。

私の場合だけど、思い悩んだり凹んだりしてしまうとき、ガツガツっと食事したら、「まあ、いいや!」と元気になったりすることはよくある。
そんな時思う。食事って、ちょっと気分をハイにしてくれる、麻薬なところもあるものなんだろう、と。


絆創膏であり、麻薬である食事。
それは、実際に食すだけではなくて、漫画や本の中で見たり読んだりすることでも、いろいろな意味で栄養になってくれる。

ちゃんと食べる、味わうって、幸せのために欠かせないことなのだろう。

そんなことを思い出させてくれた作品でもありました。

ありがとうございます。