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『流浪の月』〜声にならない声を声にしない生き方〜

真夏にアイスカフェラテを吸い込むような感じで、一気に読んだ。

読み干したと表現したい。

ぎゅーんと吸い込んで、ふうっと息をついて、少しあたまが痛む。けど清々しい。

読後感はそんなところだ。


本当のことなんて、誰もがわからない。

外側から見た人間たちが、どんなに真実を追い求め、騒ぎ立てても、本当のことを知っているのは彼と彼女だけ。

一つボタンの掛け違いで。
一つ誰かの勘違いで。
真実はすり替わっていく。

そんな、繰り返しだよな、世界って。
どうしようもない気持ちになって、ああ、だから別に理解してもらわなくてもいいかと、そこに戻ってくる。

誰もが記憶のどこかにあることを、描いてるんだ…と思った。

そして現在の、ご都合主義で、嘘だらけのマスコミのことも思い出した。

生きづらいという気持ちは誰でもどこかにある気持ち。

だから、この小説が、人を惹きつけるんだろう。

本屋大賞受賞で話題の凪良ゆうさんの著作。『流浪の月』は第1回目の受賞作で、2冊目の受賞作が『汝、星のごとく』。タイトルがきれいだ。

2021年には広瀬すずちゃんと松坂桃李くんで映画化もされてたんですね。
『流浪の月』映画公式サイト

U-nextで観られるみたいです。

四季で例えるなら、夏の甘酸っぱさもある。でも苦い。そんな気がした。

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