登園日記#20 胸を鷲掴む。
「僕はママが次男君にオッパイあげるのやだーー!僕を抱っこしてほしいの!!!」
今朝はこんな感じで始まった。
早朝に授乳時間が来て次男が泣き、その声で長男が起きてしまった。寝ぼけた状態で次男の授乳を目の当たりにしてしまった長男のセリフだ。
長男は、基本的には次男に優しい。よく次男のほっぺにキスしているし、おもちゃを見せてあげたりしている。ママや次男がいないところで「次男くんが生まれてから寂しい?」と聞いても「弟ができて嬉しい。弟は好き。ママが次男におっぱいあげても、ちょっと寂しいけど嫌じゃない」と答えてくれている。
きっとそれも本音なんだろうと思う一方、無理もしてるんだろうとは思っていた。
けれど、今朝、足をバタバタさせながら冒頭の主張をする長男に、僕は衝撃を受けた。
こんなに我慢してたのか。
眠くて理性が働かない時にこうなるということは、普段はこの感情を理性で抑えていたのか。
まだまだ小さい体と心で、こんなに一生懸命いろんなことを考えていたのか。
気持ちがキューーッとなる。
両親が長男だけを見て、長男のことだけを考える瞬間は、おそらくこれからほとんどない。どんなに長男優先の時間を作っても、次男をずっと泣かせておくわけにはいかない。
その意味では、彼の希望が100%かなう望みは当面薄い。
僕たちはしばらく、かける言葉もなく、泣く息子を見つめ、手を握ったり、抱きしめたりして、長男の事を大事に思っていることを伝えるしかなかった。
その一方で、吐き出してくれてよかった、とも思う。今日はかける言葉がなくても、少なくとも今日、長男の本当の気持ちが分かった。
まずは長男が「僕の気持ちが言えた、伝わった」と思ってくれたなら、それで第一歩は踏み出せたのだと思う。
…
その後も長男はしばらくご機嫌が悪かったものの、最後には立て直して保育園に行くことにした長男は、出際に「ママと次男くん、行ってくるね」と言った。
いつもは「行ってきます」だけなのに。きっと、この後ママと次男が2人でおうちで過ごすことへの思いとか、葛藤とか、理解とか、いろんなものが詰まっているのだと思って、また胸がキュッとした。
君のナマの部分に胸を掴まれたすぐあと、君の立派な「大人」の部分にも掴まれた。
僕たちの前ぐらいでは、ナマの姿を見せてもいいんだよ。ずっとはちょっと、困るけれど。
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