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イメージできないことはマネージできない。freeeが成長目標に時間をかける理由

freeeでは事業目標であるOKRの他に、自身の成長をマイルストーン化し、成長目標をつくっています。その種類は3つ。

  1.  2-5年先のグロースビジョン:freeeへの在籍関係ない状態目標

  2.  0.5-1年先のグロースプラン:freee在籍ありきの状態目標

  3.  日々のグロースアクション:毎日の行動目標

グロースビジョンは、freeeに在籍していること関係なく中長期的に自分が成遂げたいこと・ありたい姿を掲げます。freeeとメンバーはフラットなパートーナー関係。freeeのミッション実現を目指して働くことが、メンバー自身の人生にもプラスになってほしい。メンバーにとって、人生で達成したいミッション(グロースビジョン)と、freeeからの期待が大きく重なるほど、仕事が楽しくなるはず。出せるインパクトも大きくなるはず。

ただし、会社である以上、すべての希望やアサインを叶えられるわけではありません。その中でも、自分のビジョンを会社に宣言することで、チャンスをたぐり寄せ、日々の仕事から経験し学ぶ機会を作る。freeeという組織の中で、自律的に自分のキャリアを構築する、その道具としてグロースビジョンは存在しています。



イメージできないことはマネージできない

freeeでは、2-5年先の目標であるグロースビジョンを基軸に、freeeに在籍している前提で次の人事等級(社内ではインパクトマイルストーンと呼んでいます)に進むために必要な状態目標(=グロースプラン)、グロースプランに到達するための日々の行動目標(=グロースアクション)、この3つを四半期ごとに見直しています。

では、なぜこんなに目標設定に工数をかけるのか。それは「イメージできないことはマネージできないから」。これは、野田稔(2000)『企業危機の法則-リスク・ナレッジマネジメントのすすめ 』の一説ですが、リスクマネジメントだけでなく、あらゆる物事はイメージできないとマネージできないと考えています。

一方で、キャリア理論で有名な社会学者クルンボルツは「計画的偶発性理論」の中で、計画した物事が実現される割合は2割程度のことで、予期せぬ出来事がキャリアに及ぼす影響の大きさを述べています。かといって目標を作らなくていいと彼は言ってはいません。キャリアの好機を見極めるには「好奇心」「グリット」「柔軟性」「楽観性」「リスク・テイキング」が必要で、目標に固執しないことが重要だと指摘しています。

2人の主張をまとめると、成功イメージをもつからこそ、自分にとって何がチャンスなのか具体的にイメージ・マネージすることができる。そして、目標に固執せずに、舞い込んだチャンスを掴むことが良いキャリアを構築するポイントである。こんなところでしょうか。そして、freeeが成長目標を重要視する理由も同じです。

付け加えると、目標を掲げることで周囲からのフィードバックがもらいやすくなり、成長が加速するって話もありますが、これはまだ別のnoteで…


freeeの目標設定メソッド公開

ここからはfreeeの目標設定メソッドを公開していこうと思います。来年の目標を作る方も多い時期だと思うので、少しでもご参考になれば嬉しいです!

スケジュール

グロースビジョンは年末の一回、それ以外は四半期ごとに見直しています(変更ない人はコピペOK)。また、これらの目標は一人で悶々考えるよりも、誰かに問いを投げかけてもらうことで、進みが良くなったり解像度があがったりするので、メンバーとジャーマネ(JM)*が壁打ちしながら考えています。

*マネージャーのこと。マネージャーは役割で偉いわけではなく、芸能界のタレントとジャーマネの関係性に似ているのでJMと呼んでる。


まずは棚卸し

いきなり未来のことを考えるのは人間なかなか辛いもの。そこで、過去数年間で経験・成長したこと、自分の価値観、強みなどを棚卸しします。ビジョン作りは棚卸しからスタート。ワークシートはこちら

自分のキャリア観を知る上で参考になるのが、エドガーシャインのキャリアアンカー。数問で自分がキャリア上大事にしている価値観がわかるので、一見の価値あり。


バックキャスティング or フォアキャスティングでビジョンを作る

現状を把握できたら、いよいよビジョン・成長目標を作っていきます。freeeではFFSを導入していて、その人の特性にあったプロセスでビジョンを作るようお勧めしています。

チャンスに目がいく人や、領域での経験値が高く未来をイメージしやすい人はバックキャスティング(未来起点で考える)がお勧め。

一方でリスクに目がいく人や、領域での経験値が浅く未来を考えにくい人はフォアキャスティング(現在起点で考える)がお勧め。

目標を考えたら文章にまとめてみる。まとめる過程で、飛躍に気が付いたり、もっと深堀すべきことに気付くことも。


Tips:マネージャーがメンバーの目標をサポートするときのポイント

自分の部下・メンバーの目標に伴走するのは、自分の目標作りからさらにハードルが上がります。そこでポイントになるのが3つ。

  1.  メンバーはWill派?Can派?

  2. 目標の背景にある価値観や経験を聞き出す

  3. 期待値を伝える

まず、メンバーがバックキャスティング派なのかフォアキャスティング派なのかを把握しましょう。特にフォアキャスティング派の人は、相手の期待に答えようと周囲が喜ぶ目標を作りがち。目標の背景にある価値観や経験を聞き出し、本当にメンバーが望む方向に視野を広げてあげることが重要です。矛盾するようですが、マネージャーからの期待値や強みをしっかり伝えることも重要。周囲からの意見を通して、メンバーの自己認知が高まりより良い目標設定が可能になります。

以上がfreeeの目標設定メソッドでした!


成長目標が、日々の業務の捉え方を変える

良い成長目標は成長の確度を高めるだけでなく、日々の業務がその人にとってどんな意味を成すのか、捉え方を変える効力もあります。いわゆるジョブラフティングです。

会社組織で働く以上、自分が担う業務の全てが「want to」であるとは限りません。でも、どんな業務でも捉え方を変えれば、自分の成長にプラスになる要素があるはず。それを自分自身で見出し、仕事の取り組みを変えるのがジョブクラフティングです。

ジョブクラフティングのスキルは、同じ会社で一生働き続けることがない、キャリアを自分で描かなくてはいけない現代の私たちにとってはとても重要なスキル。freeeでもここまで突き詰めて目標や業務と向き合う機会は、まだまだ作り切れていませんが、来年以降力を入れていければなと考えています。


アイディアやパッションを持つ人を応援するfreeeだからこそ、目標を大事にしたい

freeeはスモールビジネスを世界の主役にすることをミッションに掲げています。アイディアやパッションがあれば、だれでも気軽に自由に経営ができる。そんな未来を作るために働く私たちだからこそ、自分自身のビジョンも大事に育てられる人でありたい。スモールビジネスの一番の理解者であるために、まずは自分のビジョンにしたがって自律的に生きる集団でありたい。そう思っています。


次回予告!freeeの成長目標達成をサポートするジブングロースハッカー制度について

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