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『Number the Stars』でTOEIC対策

11月からずっと続けてきたTOEIC学習。若干消化不良の感が否めないまま1月10日の本番を迎えてしまったこともあり、試験前に2月28日の回も申し込んでいます。

先日の投稿でも触れたとおり、ひたすらTOEIC対策だけをやっていると、ある一定量を超えた段階で学習効率が落ちると思われること(僕の場合はマックス3時間)、普通に英語に触れたいことなどから、多読を再開しました。

今回読み始めたのは比較的優しいと思われるLois Lowryの名作『Number the Stars』です。


読み始めて程なく「あ、これはTOEICのスコアアップに役立つな」ということが分かりました。

というか、僕自身もTOEIC対策を一切せずに700→790→835と多読・多聴だけでスコアを伸ばしてきたので、それも当たり前といえば当たり前なのかも知れないです。TOEIC対策だけがTOEICスコアアップの道ではありません。

そして児童書であるこの『Number the Stars』は、明らかにTOEICレベルの英文、とりわけ英文法で書かれた本です。

こんな事を言うとまた親TOEIC派の方からご批判をいただくことになるのかもしれません。TOEICの英文がネイティブの小学生が読む文法のレベルの英語で書かれているだと?ふざけるな、と。

けれど、こと英文法に関しては、TOEICのそれはそんなに複雑であるとは言えないと思います。きちんと研究しているわけではないですが、僕は一応英検一級に合格していますし、ニューヨーク・タイムズとか、TIME誌とかもそれなりには読めます。

で、それらの英文と比較してみて、TOEICの英文というのは大変シンプルです。TOEICの問題を解いていて「文法がわからなくて」ということは、僕に関してはありません(文法引っ掛け問題で引っかかることはたくさんあります笑)。

具体的には中学英文法+仮定法でTOEIC800点は軽くいけると思います。高校英文法がきちんとマスターできていれば900点overという感じでしょう。あとは単語です。

そしてこの『Number the Stars』の英語は、まさにこのTOEIC900点overを目指すくらいの人にピッタリの難易度なんじゃないか、と思うんです。

『Number the Stars』レベルの洋書を多読する

TOEICに求められているのは「英文処理能力」です。シンプルな英文を大量に、長時間処理し続ける力。これが僕が先日、対策をした上でTOEICを受験して得た感想でした。

英語力が高いだけではダメ。むしろ、そんなに難解ではない英文を短時間でスピーディーかつ正確に読む能力。おそらくTOEICが測りたい能力はそれなんじゃないかな、と思います。

そして「それほど難解ではない英文を大量に読む」というのはまさに「多読」という学習法そのものなんです。たくさんの英文を、シンプルな英文をそれこそ星の数ほど読むことで、英語の語順を、五文型を徹底的に頭に叩き込む。いや、頭に叩き込むと言うよりはむしろ身体に染み込ませる、といったほうが良いかも知れません。

日本語を介さない、英語を英語のまま理解する力。それがリーディングやもとよりリスニング、ひいてはスピーキングの能力向上に資するところ多である、というのが多読の効果として一般的に言われているところですが、むしろこの「インプット能力だけを測定する」というTOEICの特徴を鑑みてみても、洋書の多読は大変効果的な対策なのではなかろうか?と思うわけです。

ビジネス英語が高尚で、児童書の英語がレベルが低いという日本人の思い込み

それでも「多読は嫌だ」「ネイティブの小学生が読むような英文を読むのは嫌だ」という方は本当にたくさんいらして、こんなに効果的な学習法なのに、ほとんどもう国民病と言っても過言ではないくらい、日本人は多読をしません。

その変わりに問題集を回したり、日本語で書かれた文法書を熟読玩味して、一生懸命英語を理解しようとします。

色んな理由があると思うんですが、この「簡単な英文を読むのが嫌だ」という理由の一つに「ビジネスとかニュースの英語が上で、児童書の英語はレベルが低い」という信憑があると思うんです。

でもね、文学好きの僕からすると、例えば「Jonathan Livingston Seagull(邦題:かもめのジョナサン)」で、Richard Bachが紡ぐ英語、本当に美しくて涙が出そうですよ。だからこそ、あれほどの世界性を得て読み継がれるんだと思うんです。TOEICの「こないだ注文したゴーグルの品質が思っていたより低いので、返金してください」みたいな英文が世界性を獲得し、未来永劫読みつがれる様って想像できますか?僕にはできません。

村上春樹が惚れ込んで翻訳した唯一の絵本『Catwings』の英語、ネイティブの就学前の児童に向けて書かれたものですが、小さい子に読んで聞かせるならこういう英語だよな、という、とても流麗な(という形容詞が適切かどうかはさておき)英語で書かれています。英語の持つ音韻、リズム、そういう諸要素が高い次元でバランスされているテクストです。そして驚くべきことに、SVL10000語以上レベル、つまり英検一級レベルの英単語が結構でてきます。たぶん、TOEIC900点取る人ですら、Ursula K. Le Guinの絵本の英語はちょっとタフに感じるんじゃないかと思います。

僕はUrsula K. Le Guinを読むとなんだかホッとするので、旅人ですがこの絵本4冊はフィジカルなものをスーツケースに入れて持ち歩いています(Kindle版がない)。癒やしなんです。酒飲むよりよっぽど精神衛生状態を向上させてくれます。

TOEIC至上主義からの解放

というか、比べるのがそもそも野暮なんですよね。

上も下もないんです。ただ、世界が違うんです。確かなのは、どちらもが「英語」であるということです。そして、英語に触れ続けている限り、英語力というのは伸びるので、そういう英語を多読することがビジネス英語においては無駄、徒労である、というのは極めてナンセンスな議論なんじゃなか、と思うんですよね。

僕たち日本人は勤勉で、我慢強い国民で、いろんなことを『道』にしてしまうので、言われているシャドウイングとかオーバーラッピングなどのような「型」がはっきりしたメソッドを極めることで英語力を伸ばしたい、伸ばせるんだ、というマインドって、わからなくもありません。

でも英語って、決してそれだけじゃない。茶道や華道だけが礼儀作法を学ぶ方法でもなければ、柔道や剣道だけがスポーツなわけでもないじゃないですか。柔道剣道合気道で身体能力を向上させる人もいれば、サッカーや野球といったボールゲーム、レスリングやボクシングと言った格闘技が心身の鍛錬にはもってこいだ、という人もいると思うんです。それはそれでいい、全然いいじゃないですか。

でも「TOEICが偉くて児童書はダメ」とか「そういう英語学習の仕方ではいけない」みたいな話って、なんかちょっと違うんじゃないかって最近思っています。自分がやってて「楽しい」って言う方法で目標の資格試験で結果を出したり、英語力を伸ばせば全然いいと思う。

そういうスタンスから、今後もしつこく「多読・多聴」を推していきたいと思います。

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