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リスニングが苦手な方へー上達のためのたったひとつの心得

英語学習者の方の中で「リスニングが苦手」とおっしゃる方がよくいらっしゃいます。「リーディングが苦手」という方よりも遥かに多い印象です。

特に英検一級・準一級の指導をさせていただくようになり、その傾向はより顕著になってきている、そんな気がしています。

英語コーチになった当初、このお悩みを解決するためにどんな学習がご提案できるのか、一生懸命研究したものでした。シャドウイングがいいのか?ディクテーションがベストなのか?リピーティング?オーバーラッピング?音読…?

どれもそれなりに効果があったと思われる一方で、いまいちどれも決め手にかける…というのが個人的な印象でした。当時はとあるオンライン英会話スクールからコーチとしてのお仕事を頂いていた関係もあって、周囲のコーチたちが「コレ!」というのにあまり大きな声で異議を唱えることも能わず、ひたすら一人で悶々としていたものです。

そんなある種の「憑き物」が落ちたような気がしたのは、独立して自分自身でクライエントさんを獲得するようになって半年が経過した、2024年の1月でした。

今日は万人に適応と思われる「あなたがリスニングが苦手な理由」と「どうすればリスニング力を伸ばせるのか?」を一挙に説明してみたいと思います。

リスニングができないのは「リスニングをしないから」

で、いきなり結論を申し上げると、リスニングができないのは実に「リスニングをしないから」に他なりません。以上。

これまで本当にたくさん言われてきたように、また「バカにすんな!」という罵声が飛んできそうです。いや、僕だってもし悩める英語学習者の一人であって、たまたまこの記事にであったなら、罵声の一つも浴びせるか、石でも投げてやりたいと思うでしょう。

でも、この「リスニングができないのはリスニングをしないからである」というのは、英語学習者としての僕が到達することができた一つのnobel truth=尊い真理である、という気さえしています。

英検なんかの指導をさせていただいていると、実力的には十分に英検一級・準一級に合格できる英語力があるのにも関わらず、試験になるとなぜか合格点を下回ってしまう、というケースによく出くわします。

コーチング中に試しにリーディングを解いてもらうとだいたいいつも全問正解されるか1〜2問落としちゃうだけ、なんとなくだけど意味は理解できていて、なのに試験になるととたんに「スコーン」と正答を選ぶ力がぶっ飛んでしまう方って

単純に、長時間英語を読む・聞くのになれていないんです

思い返してみれば、確かにこれらのクライエントさん、いつも「大問2の長文穴埋め問題3問(1エッセイ分)」とか「リスニングセクションパート2のシングルパッセージ1つ(2問)」とかを毎日のスキマ時間で解いてもらっているだけです。

そこでは全集中力をその数分間に注力できるので、100%に近いその方の英語力を発揮することが可能でしょう。でも、本番の試験は、準一級に関してはリーディングセクション60分(ライティングを含む)、リスニングセクション30分です。

それだけ長時間、英語を聞いたり読んだりすることに慣れている日本人は多分いません。数百人に一人とか、それくらいのレベルで「レア」なんじゃないかとすら思います。

長時間英語を聞き続けられる力。これを涵養するだけで、あなたの英語は一段も二段もステップアップできる。これが僕がたどり着いた結論です。

リスニングをしないのは「リスニングをする習慣がないから」

で、こういう話をさせていただくとすぐに「じゃあ明日から30分英語聞きます!何聴けばいいですか?CNN?Global News Podcast??」とかいい出す人がいるんですけど、ちょっとまってください。

これまで数十秒程度のパッセージしかイチドキに聞いたことがない人がいきなり30分間英語聞けると思いますか?聞けるわけ無いです。どんだけやさしい英語でも、どんだけあなたの英語力がネイティブレベルでも、です。

それは「能力の欠如」を意味しているわけではありません。あなたに能力がないから英語が(長時間)聴けないわけじゃないんです。

あなたが英語を聞けない理由(=リスニングが苦手な理由)、それは単に英語を聞く習慣がないからに他なりません。

そして多くの習慣化に関する知見が証しているように、習慣化というのは意志力の強さや才能によってもたらされるものでもありません(よかったですね)。

「簡単すぎて、失敗できない(Too Easy To Fail)」これが、習慣化を考えるときの肝です。余りにハードルが低すぎて笑ってしまうくらい低いタスクからはじめてみること。

ランニングする習慣がなかったいきなり人が、いきなり42.195kmを走れるようになりはしません。リスニングだって同じです。英検準一級の30分間、あるいはTOEICリスニング・パートの45分間英語を聞き続けられる習慣をつけたいなら、同様に「簡単すぎて失敗できない」=つまり1分とか3分とか、そんなくらいの長さのリスニングから始めていくべきです。

そうして徐々にその時間を伸ばしていく。そうすれば、知らないうちに30分でも一時間でも英語を聞いていられるようになっていきます。

最初は語彙力がたらなくてor発音に慣れていないせいで、はたまた「分からない」という状況に耐えられなくて、聞くのが苦痛で仕方なかった英語の音声も、それを半年・1年と続けていけば、そのうち苦もなく聞けて、なんなら意味が分かるようにさえなっていきます。

こうなってくると、英語初級者〜中級者にありがちな「わからないとイライラする/不安になる」という状態を抜け出して、英語のパッセージを聴くことそのものが楽になってきます。

そうなればもうしめたものです。英検一級・準一級のリスニング問題なんて(英検協会の問題作成者の方には悪いけど)、寝転がって鼻くそほじりながら聞いていても楽に理解できる様になってくるのも時間の問題です。事実僕が、そのようにして英検一級のリスニング問題を聞いて楽に全問正解できるリスニング力を獲得しているからです(多聴歴は5年位です)。

英語は一にも二にも「習慣化」が大事

僕が自分のnoteでくり返し言及させて頂いてるように、僕には特別な知能もなければ高いIQとか人が羨むような学歴とかもありません(関西外大卒業生の皆さんごめんなさい)。多分そこら辺にいる、存在しているだけでだいたい若い人&女性から疎ましがられるありきたりな普通の関西のおっさんです。

そんなおっさんでも、何年かかけて英語を「聴く習慣」さえ構築していければ、英検一級のリスニング問題を歯磨きをしながら聞いたりとか、BBC(イギリスのNHKみたいな放送局)の『Global News Podcast』を近所をぶらぶら散歩しながら聞いたりできるようになるんです。

これはシャドウイングとかオーバーラッピングとかディクテーションとか、そういうののおかげでできるようになった、という感じがしないんですね。個人的な経験では。もちろんそういう学習を取り入れていた時期というのが僕にもありましたから、100%ない、と言い切ることはできません。

でも、それらの学習を全部やめてしまって「多聴」という学習に移行して以降爆発的に伸びていった自分のリスニング力を振り返ってみると、そして今僕のコーチングを受けてくださっているクライエントさんの能力と試験の結果・手応えの相関関係やギャップを考慮してみると、やっぱりリスニング力ってつまるところ「英語を聞く習慣があるか・普段から英語を聞いているか?」に収斂していくと断言して、差し支えないように思われるんです。

ディクテーションとかシャドウイングとかは、この「英語を聞く習慣」という基礎の上に築き上げるべき構造物であって、土台がしっかりしないリスニング力の上に構築されたオブジェクトなんてまさに「砂上の楼閣」に過ぎやしないんです。

もちろん、僕はみなさんが今真剣に取り組まれている/取り組もうとされているシャドウイングやディクテーションといったオーソドックスなリスニング力上達のための学習法を否定するつもりは毛頭ありません。

でも、それらを試してみてもどうにもイマイチっぱとしないリスニング力しか手に入れることができない方、いつもどこかに不全感を抱えたままリスニングしてしまっているという方は、ぜひ「英語を毎日聞く習慣」を試してみてください。

Too easy to fail. 最初は1分とかの長さのパッセージでいいです。それをどんどん伸ばしていけばいいと思います。そうやって最低15分から20分くらい連続で英語を聴いていても疲れないリスニング体力を養うことを目指しましょう。

そうすれば、TOEICでも英検でも、ネイティブスピーカーとのタフなネゴシエーションの場面でもなんでも、普段あなたがお持ちの英語リスニング力を十分に発揮できる土台を築き上げることができる。おそらくこれにはほとんど例外はありません。そんなふうに信じて疑わない今日このごろです。

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