英語のハノン「フレーズ編」ー至高の英語学習参考書ー
英検®︎1級/TOEIC®︎935点、世界一周英語コーチの杉原です。
以前公開させていただいた『英語のハノン』の記事から一年以上。未実施だった『英語のハノンフレーズ編』(以下『フレーズ編』)に取り掛かっています。
「1ドリル/日」というハノンの基本ルールを守って1ヶ月(←これが守れないために本書から最高の効果を引き出せない人が続出しているのは、先の記事に書かせていただいている通り)。
今はUnit4のダイアログに差し掛かっている僕が、1ヶ月で感じている本書の素晴らしい点について、現時点で思いつく全てをシェアさせていただくべく、筆を取りました。
どうぞ最後までお付き合いください。
「Dialog」の威力
本書がこれまでの『英語のハノン』と決定的に違うのは、全20Unitの各Unit冒頭に用意されているDialog(会話文)です。
ここをどう使うかが、本書における学習効果を最大限に引き出すための鍵を握っていると思われます。
なのでまずはこの「ダイアログ」のパートの取り組み方について、私見をふんだんに交えながら述べてみたいと思うのですが、結論から申し上げると
これが、至高の英語学習参考書である『フレーズ編』からその効果を最大限に引き出すために有効な学習法だと確信しています。
ネイティブレベルの英語話者は、何らかのダイアログを暗唱した経験を持っている?!
僕はこれまで、都合4人の「ネイティブレベルの日本人英語話者」に出会ったことがあります。これは僕のような英検一級/TOEIC935点、海外在住経験3年ほど、などと言った中途半端な英語力の持ち主のことではありません。
英語圏の大学・大学院を卒業している、英語圏の企業で10年以上の就労経験があるなど、もはやネイティブと同じレベルで英語を運用していた(と少なくとも僕には思われる)方たち4人にであった、という意味です。
この4人が共通して持っていた、そして「これが一番効いたと思う!」と口を揃えていう英語学習法が
というものでした。
というか、ご本人たちの中では「学習」という感覚がないというのもまた共通しているところです。
とにかく中高生だった若かりし頃、英語が好き過ぎてたまらなかったが故に、大好きだった映画やドラマを文字通り「擦り切れるまで(当時はアナログの物理的な記録デバイスを使ったいたので「擦り切れる」ということが起こり得ました)」視聴した結果、そのドラマなり映画なりのすべてのセリフ=ダイアログを完璧にコピーできるようになった、というんです(NBAのお気に入りの試合を見まくって、実況を完全に覚えてしまったという人もいました)。
それはそのまま、ネイティブと話すときに有益な「生の英語」として、彼ら彼女らの今の英語力を依然として支えています。コンテンツ内に登場する文型や構文はもちろんのこと、英文法のルールや法則に収まりきらないスラングなどの定型表現なども、どういうシチュエーションで使うのがナチュラルなのか、そういうのがもう完全に身体化しているということです。
『フレーズ編』のダイアログは自然な表現に溢れている
大ヒット英語学習参考書『英語のハノン』の著者のお二人が用意してくれたダイアログは、僕の知人のネイティブレベルの英語話者たちがドラマや映画で身につけたような、英語学習者が知っておくといいと思われるようなナチュラルな英語表現で溢れています。
英語を学んでいるときに見落としがちな「ちょっとした相槌の打ち方」や「ちょっとした挨拶」などを学べるのが『フレーズ編」のダイアログの(現時点で僕が感じている)いいところ。
こういうのってフレーズ集とか瞬間英作文で学んでもなかなか定着しませんし、よしんば定着したとしても実際の運用にあたっては咄嗟に出てこないものです。
でも本書のダイアログから学ぶこれらの表現ならそんな心配は無用です。設定は日本からアメリカの大学に留学してきたYukiとBrianとのやりとり。近過ぎず遠過ぎない距離感の二人の会話は、多くの英語話者が実際に遭遇するであろう場面で必ず役に立つでしょう。
気になる学習方法は?
さてお待ちかねの気になる学習方法です。
ただ闇雲に暗記暗記を強いるだけのインストラクションになっていないのがさすが中村先生・横山先生、というところ。
ダイアログが暗唱できるようになるまでのプロセスは4つのセグメントに分かれています。これを最低でも4日に分けて一日一つずつ、一日最低30分程度はかけて丁寧にこなしていくこと。これがオーソドックスな実施方法ということになるでしょう。
1.リスニング
文字通り「聞く」練習です。
初心者の方は本を閉じてリスニングした後、音声に合わせてスクリプトを黙読するのがいいでしょう。英語のスピードに慣れつつ、英語を音声ベースできちんと把握する練習になります。リスニングが苦手な方はディクテーション(聞こえてきた音を書き取る)などを実施して、細部まできちんと音を取る練習を加えましょう。
中・上級者の方は、閉本でのリスニングを実施してきちんと意味を取ることができたら、今度は本を開いてスクリプトを見ながらの「オーバーラッピング」もいいかもしれません。
オーバーラッピングは英語の音源に合わせて(オーバラープさせて)声を出す練習です。発音の他に英語のリズムやイントネーションを体得できるメリットもあります。
よどみなくできるようになるまで繰り返す、これがファーストステップとなります。
2.リピーティング
リピーティングは「聞こえてきた音をそのまま真似る」練習です。
各Dialogの2つ目の音源には、一人のスピーカーが話し終わった後、そのスピーカーが話した時間と同じだけの空白が録音されています。
この空白の間に、前のスピーカーが話した英語をそのまま口に出していうこと。最終的には本を閉じて行いましょう。これが2日目のトレーニングです。
余談ですが、リピーティングでは「聞こえてきた音を一旦短期記憶に保存して」からアウトプットする必要があります。
このトレーニングは、英語のハノンが涵養してくれる最もパワフルな英語運用能力の一つ「リテンション(記憶保持)力」を高めてくれます。
リテンション力が高まれば、英語を英語の語順のまま理解する力が飛躍的に向上しますので、リスニングだけでなくリーディング(速読)にも絶大な効果を発揮します。
TOEIC指導ではしばしば「リーディング問題を最後まで解ききれない」というお悩みをクライアントさんからお聞きしますが、ハノンを使ってリテンションが高まれば、そういう悩みは自然に消えていくでしょう。
これは個人的な経験からも自信を持っていうことができます。
3.ロールプレイング1
3日目は「ロールプレイング」です。
2日目の「リピーティング」と異なり、ここでは男性or女性、どちらか一方のスピーカーのパートがそのまま空白になっています。学習者はドラマの台本を誦じるように、この空白を実際の登場人物になりきって埋めることが求められます。
前日までの練習をおろそかに、あるいは適当に切り上げてしまうとここでつまづきます。というのも、このロールプレイングは「閉本で」実施することが求められているからです。テキストを開いてスクリプトを読みながらこの練習をするのでは、本書から得られる効果は極めて限定的なものにならざるを得ないと申し上げて差し支えないでしょう。
大きな負荷のかかるトレーニングですが、その負荷が僕たちの英語力を一段も二段も上げてくれるということは、『英語のハノン』を正しい仕方で実施したことのある方なら理解できるはずです。
4.ロールプレイング2
最終日はもう一人の登場人物になりきって、閉本でローフプレイングを行う練習です。これでこのダイアログは完璧に暗唱できるようになったことになります。
あとはせっかく覚えたフレーズたちが記憶から抜け落ちてしまわないように、定期的に復習を繰り返して記憶に定着させていくのみです。
この復習に効果的な学習方法をご紹介します。オフィシャルな学習法ではない、僕が勝手に付け加えている学習法です。
5.「Listening」音源を使って「閉本で」オーバーラッピング=ブラインドオーバーラッピング
一旦記憶したダイアログを忘れてしまわないように、僕が実施しているのが「リスニング」の音源を使った閉本でのオーバーラッピングです。
つまり、暗記したダイアログを実際の音源に乗せて何度も練習するということ。散歩しながら、料理しながら、などのスキマ時間を使って、好きなアーティストの歌を口ずさむように暗唱しています。
こうすることで、どんどん覚えたフレーズが身体化していきます。後述しますが、これが実際の英会話で大変役に立ったということを、すでにネイティブスピーカーとの英会話で実感してしまっています。
今の英語をぐんと実用レベルに近づけたいすべての英語学習者の方に、この方法を進んでお勧めしたいと思っている次第です。
ただ、そこまでしなくても十分学習効果はあると思うので、5番はあくまで裏メニューということでひとまずはOKだと思います。
ダイアログで学んだ表現をより使えるものにする「Drill」
4日間(ブラインドオーバーラッピングを実施するなら5日間)のダイアログの学習が終わったら、ハノンファンにお馴染みの「ドリル」が待っています。
『英語のハノン』を名参考書の地位にまで押し上げたのがこのドリルであるというのはファンなら周知の事実でしょう。『フレーズ編』では、先のダイアログに登場した表現の中から頻出のもの、定型表現などをより掘り下げてパターンプラクティスできるのがこれまでと違うところ。
しかしながら音声のタフさやスピーカー(話者)のクオリティはこれまでのスタンダードな『英語のハノン』のそれをきちんと踏襲しています。
つまりきちんと正しい仕方で実施すれば、必ず莫大な成果が出せることが保証されているということ。
「Drill」の正しい実施の仕方
では、この「Drill」の箇所をどんなふうに進めていけばいいのか、ご紹介します。『英語のハノン 初級・中級・上級編』をコンプリートした僕が実際に採用していた方法です。
1一日1ドリル、最低30分
英語のハノンは、どれだけそれが簡単であると感じたとしても必ず1ドリル/日を守るようにしましょう。でないと長期戦になる英語学習、英語のハノンとのおつきあいに必ず支障をきたします。
これが守れない人が圧倒的に多いこと、そんな人たちが本書の評判を下げている事実には悲しくなるばかりです。
2閉本で行う
英語というのは「口に出して」なんぼです。著書の先生たちが「オーラシーの重要性」と口を酸っぱくしておっしゃているのはそこです。
読んで理解するだけなら、本書はそこら辺にあるチャラチャラした参考書と変わりはしません。『英語のハノン』の価値は、本を閉じて、聞こえてきた音声を指示通りに再現できるようになるまで繰り返す、その点にあるといえるからです。
『英語のハノン』を腐す人は、本書の「記述」のみを見て「こんなことは知っている」とたかを括っているだけです。でも、そういう人がその文法事項なり表現を使ってよどみなく英語を話せるのか?と言われれば甚だ怪しいと言わざるを得ないでしょう。
本書は付属の無料音源を使って「1日1ドリル」を「閉本で」が基本です。文句はそれが完璧にできるようになってから言いましょう。ちなみに僕はTOEIC935点/英検一級ですが、これを一発で仕上げるのはとても難しいと思っています。TOEIC満点、英検一級で満点に近いCSEスコアをゲットできる人でも骨の折れる学習だと思っています。
それでもまだ、あなたは「こんなものは簡単だ」「こんな本のどこがいいのだ?」と言いますか?
3ポーズ内に収める
『英語のハノン』を音声を使って実施していく上で(というか音声なしの本書の学習は意味がありません)絶対に守りたいもう一つのことは「ポーズ内に収める」というルールです。
英語のハノンの音源には、話者が話した後にそれと同じ長さの空白が録音されています。読者(英語学習者)は、この空白の時間に指示された通りの英語を口に出さなくてはいけません。
簡単そうに聞こえますが、やってみると意外と難しいことがお分かりいただけると思います。英語発音はもちろん、英語の音声変化やイントネーション、リズムに習熟していないと=つまりカタカナ英語の中途半端な発音では「できない」ように、絶妙なタイミングで構成されていらからです(著者の横山先生談)。
英語がある程度話せる人、具体的にはネイティブに聞き返されないくらいの発音、文法である程度スムーズに話せる人ならこの「絶妙の匙加減」に気づけるはずです。
そこに気付けないでAm◎sonやなんかのレビューで文句を言っている人たちは、ある意味ではまだ英語学習者として伸び代が豊富にありすぎる人である、と言わざるを得ないでしょう。
学者さんが編んだ本にケチをつけるレベルにはないということです。そういうのは本書の購入行動に際してはあまり気にする必要はないと思います。
Drill実施方に関する詳細は拙記事で
以上、ハノンのドリルを実施するに当たって押さえておいていただくべき最小限のことについてご紹介してきました。
『フレーズ編』からの学習効果をより引き出していただくため、「Drill」の具体的な実施方法やその効果について、お時間のある方はぜひこちらの拙記事をご覧ください。
著者の横山先生ご自身から大変ご高評いただいた記事です
今後の自分の英語の伸びが楽しみ
というわけで『英語のハノンフレーズ編』を始めて1ヶ月、思うところを思うがままにつらつらと書いてきました。
先日、アメリカ人ネイティブと英語で話す機会がありました。その時に自分でも驚いたのが「Thank you→Anytime!」「I really do」などといった、『フレーズ編』の「Dialog」に収録されている表現が口をついて出てきたことです。
これにはとても驚きました。頭で考えるより先にフレーズが反射的に口をついて出てくる、そんな感じです。シチュエーション込みで英文を学習することの威力を改めて見せつけられた感じがしました。
実は今、僕の住んでいる福岡県糸島市というところで進んでいるプロジェクトに実行委員として参加させていただいています。取り立ててパッとした実績のない僕に託されている役割は「通訳」です。
錚々たるメンバーの中で、その末席に加えていただいている光栄。なんとしても他人に誇れる僕の唯一のスキルである「英語」で貢献したい。
そんな僕が、来年8月の本番に向けて手に取ったのが『フレーズ編』でした。僕は『英語のハノン 初級・中級・上級編』で爆発的な英語力の伸びを実感した経験があります。
だから『フレーズ編』を来年8月に向けて、時間をかけてしっかりやり込めば必ず望む英語力を手に入れることができる。迷いは全くありませんでした。
そして今、開始後たった1ヶ月でその絶大な効果にすでに軽く圧倒されています。
今は毎朝6時半ごろから30分程度、まだ人通りの少ない糸島のこの田園風景の中を、毎日ハノンを口ずさみながら歩いています。
それはとっても素敵な時間で、僕がこの地でささやかながらやりがい、生きがいを持って生活させていただけていることに対する感謝の気持ちを噛み締めることのできる時間でもあります。
もっともっと英語が上手くなりたい。
正しい仕方でお付き合いすることができれば、ハノンは、『フレーズ編』は、そんな僕の気持ちを絶対に裏切ることはない。
そんな確信に導かれて、今日また明日も、この美しい風景の中を英語を口ずさみながら軽やかに歩いています。
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皆様とお会いできますこと、楽しみにております!
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