金権の温床温存 自公維合作政治資金規正法改定案〜すべてがNになる〜

2024年6月1日【2面】

自民党は裏金事件を受けた政治資金規正法改定の再修正案をまとめ、これに公明党が同意する方向で、日本維新の会は同意を表明しました。これら3党による“合作”は、金権腐敗政治の温床となっている企業・団体献金を温存し、使途を明らかにしない政策活動費も廃止しません。裏金の原資となってきた企業・団体による政治資金パーティー券購入も温存します。真相解明に背を向けたうえ、対策も示せない自民党の無反省と無責任が際立つと同時に、国民の怒りに応えようとしない公明と維新の責任も重大です。


論点ずらし

 裏金事件の原資となったのは、政治資金パーティー券購入という形を変えた企業・団体献金です。企業・団体献金には賄賂性があります。同時に、企業が金を出し、企業の利益のために政治をゆがめ、国民の参政権を侵害することにつながります。

 リクルート事件などを受けた1990年代の「政治改革」では企業・団体献金の廃止が議論となったにもかかわらず、自民党がつくった抜け道の一つが政治資金パーティー券の購入でした。これが裏金事件へとつながったのです。金権腐敗政治を改めるには企業・団体献金の全面禁止が必要です。

 再修正案は、政治資金パーティー購入者の公開基準を「5万円超」に引き下げ、政策活動費の領収書を10年後に公開するというもの。そもそも企業には収支報告書の提出の義務がなく、公開基準を引き下げても透明性は高まりません。しかも、公開基準の引き下げ論とは、政治資金パーティーが企業・団体献金の抜け穴になってきたという“本丸”の問題からの論点ずらしにすぎません。パーティー券購入を献金とみなし、企業によるパーティー券の購入も禁止すべきです。政策活動費は例外的に議員個人への寄付を認めたもので、使途を明らかにする義務のない不透明な資金です。選挙買収に使われた疑惑もあり、きっぱり廃止すべきです。

 公明党の山口那津男代表は「そのまま賛同はできない」(30日)と言っていましたが、公開基準引き下げなど「求めていた大きな判断を(自民は)した」(31日)と変化。維新に至っては、日本共産党や立憲民主党、国民民主党、有志の会とまとめていた(1)企業・団体献金の禁止(2)政策活動費の廃止(3)会計責任者と同等の責任を政治家に負わせるという3点の一致を事実上反故(ほご)にする態度です。

全面禁止を

 日本共産党が一貫して主張してきた企業・団体献金の全面禁止や政策活動費の廃止などを実現する法改正こそ、本来の政治改革への道です。(若林明)

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