GO!介護の改善へ(上)軍拡より「ケア」拡充こそ〜すべてがNになる〜

2023年9月22日【国民運動】

 中央社会保障推進協議会(中央社保協)、全労連、全日本民医連は「介護保険制度の改善、介護従事者の処遇改善を求める」署名を9月から始めました。

 請願項目(別表)の第一番目で、社会保障費を大幅に増やし、介護の負担軽減やサービス拡充など制度の抜本的見直しを強く要求しています。

 「政府の軍拡路線と対抗するため、社会保障費の大幅増を前面に打ち出した」。中央社保協・介護障害者部会員で全日本民医連事務局次長の林泰則さんはそう強調します。

 65歳以上の介護保険料の基準額(全国平均)は、制度が始まった2000年に月2911円だったのが、いまや6014円にまで跳ね上がっています。

「負担は限界に」

 「保険料の負担は限界にきている」と林さん。給付費の増大に見合う保険料の設定が困難になり、財政破綻は避けられないとみています。「今の政府のやり方で制度を維持しようとしたらサービスを徹底的に削るしかない。これでは『制度残って介護なし』になりかねない」と批判します。

 国民の要求は、サービスの充実であり、払える水準の保険料です。そのためには、介護保険財政への国からの負担を大幅に引き上げることが不可欠です。511兆円もの内部留保をため込む大企業やコロナ禍でも余裕のある富裕層に応分の負担を求めることが必要です。

 こうした介護制度の改善を求める要求に対して逆行するのが岸田政権の大軍拡路線です。軍事費をGDP(国内総生産)の1%から2%へ、5年間で43兆円に積み上げようとしています。その財源として社会保障費の削減が透けてみえます。

 介護保険は去年、「制度史上最悪」といわれる制度改定が狙われましたが、反対する運動と世論の高まりによって押しとどめました。それでも政府は、負担増や給付削減を狙っています。

制度立て直しへ

 「こうした制度の後退を許さないたたかいは重要ですが、それにとどまっていられない深刻な実態があると、署名を始めるにあたって中央社保協では議論した」と、中央社保協事務局長の林信悟さんはいいます。

 家族介護の限界からいたましい事件が後を絶たず、年間10万人も介護を理由に離職し、賃金が低すぎて介護の担い手がいない―。「現状の低すぎる制度水準を維持するだけの運動にしたくない」という強い思いがあります。

 署名では「介護は家族まかせにせず社会全体で支える」という創設時に立ち返った制度の立て直しを要求しています。

 「ミサイルではなく、ケアの充実を」「軍事費削って、社会保障・介護保険制度の拡充を」の要求を前面に掲げ、署名運動に取り組んでいます。(つづく)

署名の請願項目

(1)社会保障費を大幅に増やし、必要なときに必要な介護が保障されるよう、介護保険料、利用料、居住費・食費の負担軽減、サービスの拡充など、介護保険制度の抜本的な見直しを行うこと

(2)利用料2割負担の対象者の拡大、要介護1、2の保険給付はずし(総合事業への移行)など、介護保険の利用に新たな困難をもたらす見直しを実施しないこと

(3)介護報酬を大幅に引き上げること。その際はサービスの利用に支障が生じないよう、利用料負担の軽減などの対策を講じること

(4)全額公費により、すべての介護従事者の給与を全産業平均まで早急に引き上げること。介護従事者を大幅に増やし、一人夜勤の解消、人員配置基準の引き上げを行うこと

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