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ブルーベリー

何を思ったのか、
ブルーベリーが入ったパンを買ってしまった。

買い物をしに街に出て、休憩がてら入ったカフェは満席で、
でも疲労と空腹で居ても立っても居られれず
やむなく隣のコンビニに入り、イートインで軽く食べることにした。

カロリーとたんぱく質量ばかりを気にして商品を選んだ結果、
子どもの頃から苦手なブルーベリーのパンを手に取ってしまった。
レーズンと間違えていたのだと思うが、
はっきりブルーベリーと書かれているのに買ってしまうあたり
かなり疲れていたのだと思う。

ブルーベリーとの出会いはロッテの板ガムだ。
小学校低学年の頃だったか、友人にもらったそれを食べた記憶がある。
その時は好きでも嫌いでもなかったのだが、
その後本物のブルーベリーを食べた時に
あのガムと同じ味がしたのが衝撃で苦手になった。

意味がわからないかもしれないが、
私は人工的な味はそれ独自の味付けがされていて、
本物とは違った味であると思い込んでいるふしがある。
企業が本物に近い味を開発したという素晴らしい成果であるばすなのだが、
当時の私はそれを受け入れることができなかった。
だから私は、ガムと同じ味がするからブルーベリーが苦手だ。

いつも飲む豆乳と、ブルーベリーのパンを食べて空腹を満たす。
久しぶりに味わったその味は、
ガムのとも、本物のとも違ってブルーベリー味は薄く、
私の苦手とするあの濃い味はしなかった。
微かなその味を食べ、やはり決して得意な味ではないとため息をつく。

隣にはビーチサンダルを履いた薄汚れた男性が、
向かいの席では若い男性がラーメンを音汚く啜っている。
何も問題はない。
あるのは私自身で、カフェの心づもりでいたがために
客層、内装、雰囲気、設備、全てにおいてのギャップに戸惑い、
口にした物も思った物と違っていた。
どうしてこんなことになったのかと
天井を仰ぐが、何の変哲もない天井ですら味気ない。

空腹は満たされても、疲労と心の渇きが癒やされない。
重い体を起こし、それから夕飯と明日のお弁当のおかずを買って帰ったのだが、
帰宅後はぐったりとしてしまった。
どんなときも余裕を持つ心がけは大切だなと痛感した日だった。

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