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博物館 ロマンスカーミュージアム

新宿からロマンスカーに乗って、神奈川県にある海老名まで行ってきた。
所要時間は1時間かからない程度で、海老名駅に停まるロマンスカーは本数が限られているが、それであっても非常にアクセスがいい。

海老名駅から改札を出て、駅直結の橋を渡ればロマンスカーミュージアムがある。
橋の途中に建てられている、というのが正しいだろうか。
橋を渡りきった向こう側には、様々なショップの看板が掲げられた大きなビルが建ち並んでいるのが見える。

海老名駅には小田急線の車庫があり、広く入り組んだ線路が幾重にも敷かれている。
橋というのはその上を渡るように架けられており、要するに広い線路を挟んで、片側は駅、反対側は博物館になっている。
車庫の延長線上に作られた博物館のようで、だからというか、外観はグレーのただの箱という印象だ。
デザイン性には欠けるが、中をぐるりと見て、実用性を重視したのだなと納得に至る。

2021年4月開業とのことで中は新しく非常にきれいだ。
小田急線開業時の列車から始まり、歴代のロマンスカーが展示されている。
列車内に売店が設置されているタイプや2階建てのタイプなど、時代の移り変わりを感じることができる。
実際にロマンスカー(MSE)に乗車してからの来館のため、現役と引退とを比較できるのも面白い。

小田急の歴史の部屋では、ロマンスカーミュージアムの展示場までどうやって列車を輸送したのかというドキュメンタリー映像が流されていた。
こうした裏側というものは非常に面白い。
トレーラーで運んだのかと思いきや、トレーラーを使用したのは海老名到着後のほんの一部区間のみで、海老名車庫までは線路の上を走らせて輸送がされていた。
現役の列車が、古い列車を牽引したり、押したりしながら、普通に生活する上で利用されている駅を通過していく様はどこか浪漫を感じる。
鉄道の博物館として比較してしまうのは、やはり大宮にある鉄道博物館だ。
あの規模、シミュレーターの多さ、イベント、各種売店と、見尽くすには一日では足りないのではないだろうかという充実したあの場所。
それに比べてロマンスカー博物館はと言うと、非常に規模が小さい。
数種の列車の展示に加えてシミュレーターは1台のみ、こじんまりとした歴史の一室、見るもの控え目だ。
その他になぜかアスレチックや工作の場所が作られているのだが、これは主に小さな子ども向けであり、大人は素通りする。
平日朝に行き、入館者数は確実に少なかった。
週末はどれほどかわからないが、鉄道博物館のそれと比較してしまったら雲泥の差であろう。
では、小さいからだめなのか、しょぼいのか、というと決してそんな印象は受けない。
むしろ小さいからこそゆっくりじっくり見て回ることができるし、なにもかもがコンパクトで「程よい」のだ。

またジオラマ展示の部屋が非常に面白かった。
新宿から始まって、大きな各駅を通り、小田原や片瀬江ノ島、箱根湯本などが模型で再現されている。
端から端まで見ていると、至る所に「odakyu」のビルが建ち並んで小田急推しなのもにやりとしてしまう。
箱根湯本では箱根駅伝の再現と思われる集団が走っていたり、大涌谷では湯気がでていたり、ジオラマ上空の天井からは小惑星りゅうぐうと探査機はやぶさがぶら下がっていたりと、演出を発見するのも面白い。
新宿からロマンスカーに乗って箱根に行く、というのが自分の中で馴染み深いため、より楽しむことができた。

一番気に入った場所は、実はカフェだ。
私はハンバーガーを食べ、同行者はカレーを食べた。
ちょうどお昼時であっても並ばずに席に座れて、しかも窓際のとてもいい席が空いていた。
窓際の席というのは、来るときに渡った橋と海老名駅を見ることができる。
眼下にはあのいくつもの線路が並び、電車が行き来する様子を眺めながら食事を取ることができるのだ。
快晴だったことも手伝って日当たりがよく、食べて、日向ぼっこして、目でも楽しみながらのランチ時間だった。
JAF会員証を提示すればコーヒーまたは紅茶をサービスしてくれるのもいい。
(入場券購入時に提示すれば本人のみ100円引きしてくれる)
エコを意識した紙製の各種カトラリーと並び、紙製のカップと紙製の蓋で提供される。
出先でありながらも時間がゆっくりと流れるそんな場所だ。

シミュレーターは1台のみだが、争奪戦という印象は全くなかった。
帰りのロマンスカーの発車時刻が迫っていたため2回目のシミュレーターは断念したのだが、私の帰宅時間の設定が早かったせいであって、余裕があるのなら確実にもう一度遊ぶことができたはずだ。
ロマンスカーを運転するシミュレーターなのだが、私たちが体験したコースでは成城学園前駅から新宿駅までノンストップで走らせる。
スピードの加減だけをアナウンスに従って(初級編のためアナウンスあり、上級編だとアナウンスなしにできる)操作するだけだ。
馴染みある景色が、止まることなく流れていくのは非常に気持ちがいい。

ロマンスカーミュージアムに関してあえて不満を挙げるのならば、支払い方法が統一されていない点だ。
「小田急」なのだから、持っている小田急カードを利用すればさぞ素晴らしいポイントが付くのだろうと期待していた。
しかし実際には、入場券購入時にはどのカードを利用しても小田急ポイントは付与してもらうことができた。
喜んだのも束の間、入ってすぐにあるシミュレーターの申し込みでは現金のみしか受け付けず、カフェではカード以外にもキャッシュレス決済が可能だが小田急ポイントは付かず、お土産を買いに売店へ行けば、小田急ポイントが付くのは小田急カードでの支払いのみだと言う。
支払いが発生する箇所毎に支払い方法が異なったり、ポイント付与の有無が違っていたりと、なぜと不思議に感じることが多かった。
こうしたサービスの点がもっとよくなればいいなと思う。

そんな感じに開館直後から昼下がりまでを過ごしたのだが、大満足の時間だった。
混雑していない、ゆったり見られる、食事がおいしい、きれい、いいこと尽くしの博物館だ。

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