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勉強オセロ

お気に入りのスタバにて、軽食を摂る。
疲れた体と頭に甘いものを与えてあげてくて、
カロリーを考慮しつつも、アメリカンワッフルを食べることにした。

混み合った店内で座席を探すが、なかなか見つからない。
端っこの方にある大きなテーブルに、
空いた席をようやく見つけることができた。

先日行った別のスタバ店舗では、アクリル板は撤去されていたが
この店舗ではまだ設置されたままになっている。
ただでさえきゅっとした席は、より狭い感じがする。
だから人と人との間に滑り込むように座ることになり、
左右の人との距離はとても近かった。

熱いコーヒーを流し込み、
ナイフとフォークでアメリカンワッフルを美味しく頂く。

そんな中、私の右側には日本人の男女が語学の勉強をしていた。
女性が講師、男性が生徒のようだ。
「人と話すことが好きな人は社会的」
突然男性が発した言葉にどきりとする。
人と話すことは苦手だけど、嫌いではないから
私は社会的ではない、ということではないはず。
そうやって内心動揺していたら
女性講師に「社交的ね」と訂正されていいた。
それならわかる。私は社交的ではない。

もそもそとアメリカンワッフルを楽しみながら、
今度は左側の外国籍の男性が気になった。
目線だけでちらりと見てみれば、漢字練習の真っ最中だった。
マス目に点線が入った漢字練習帳を使っているが、
縦書きではなく横書きなあたりが斬新だ。
『列』『寝』『待』『酔っぱらい』
そんな文字がぱっと目に入ったが、
一体どんな例文から抜粋したのだろうか。
――卒業式の帰り道、酔っ払って列車を待っている間に寝てしまったヨ
ノートには『卒業式』の文字もあり、
『業』の字が間違っているのを指摘したい衝動に駆られた。

私の頭の中は暇で、そのとき何も考えてなどいなかった。
右側の男女は、明らかに異性として意識している雰囲気があったが、
合間に世間話混ぜ込みつつも、ちゃんと勉強を進めていた。

左側では、スマホで常に動画を流しながらの学びだった。
漢字練習を終えたらほんの少し休憩して、次はテキスト問題解いてる。
勤勉とは正にこのことだ。

私はただ食べ、飲み、観察に勤しんでいた。
真ん中の私も、何か学ばねばいけないだろうかと思いもしたが、
私が吸収したものは、アメリカンワッフルだけだった。

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