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視覚的年末

百均に入ってすぐのところには、ハロウィンの物が並べられていた。
小さなマスコットの置物から、飾り、仮装グッズまで揃っている。

スーパーへ行けば入り口の青果売り場に、どんと鑑賞用の大きなかぼちゃが鎮座し、1500円で売られていた。
大玉スイカと同じくらいの価格帯だが、なにせ大きさが違いすぎる。
これは台車を借りて車まで運ぶのだろうか。
まさか徒歩、ましてや自転車で運ぶ強者はいないと思うのだが、どんな人が買って帰るのだろう。

お菓子売り場にはハロウィンパッケージになった定番お菓子が並んでいる。
オレンジと黒の色使いが多く、とてもかわいらしい。
つい手が伸びてしまうのは仕方のないこと。

ハロウィンもすっかり日本に定着し、毎年にぎやかなニュースがテレビでは流れている。
その昔、11月1日に出勤する際、仮装のまま酔っ払ってタクシーで帰宅するなんとも楽しそうな集団を見かけたことがある。
もうハロウィンではない、ただの秋の忙しい朝、場違いなその人たちも私もまだ若かった。
今頃どんな大人になっているのだろうか。
きっと私がと同じように懐かしいと毎年思い出していることだろう。

すっかりハロウィン気分になったところに、クリスマスケーキの予約ポスターと、その隣にはお節料理の予約ポスターが貼られているのが目に入る。
別の壁には年賀状印刷の案内ポスターが貼られ、怒濤の年末イベントへと誘う準備が着々と進んでいるようだ。

数日寒い日が続き、でもまた気温が高い日がきたりと、秋の季節は未だ安定していない。
それでも道には銀杏が落ち、いつの間にか夏から秋の虫へと音色は変わり、確実に季節は進んでいる。
葉は少しは色づいただろうか。
落葉で彩られた頃には、もう冬が始まっているはずだ。

まだまだと渋る人の心を追い立てるように、もうすぐそこだよと少し先を見せられている。
ハロウィンが終われば、次は恵方巻きのポスターが貼られることだろう。
時間は流れ、季節は変わり、人は年を重ねる。
今年の終わりも見えてきた。
やり残したことはないだろうか。
目に入るものに踊らされず、「今」どうかと自分に問うべくペンを取り、ノートを開く。

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