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秋の中を歩く

どよんと曇った空が広がっている。
空気は冷たく、秋というより冬の到来かと思うような寒さだ。
薄手のシャツの上に秋物のコートを羽織ったものの、まだ残暑気分が抜けきらず、もう少し着込むべきだったと足早に駅へと向かう。

ふと、足元に赤い木の実が転がっていた。
大きさは人差し指の第一関節分くらい。
形は楕円で、アイコという品種のミニトマトに似ている。
見上げれば花水木に実がなっていた。

ついこの間花が咲いたように思うが、そんなはずもない。
花水木が咲くのは4月で、花水木は始業式の季節と自分の中では認識している。
緑に覆われた春、その緑をより濃く照らす暑い夏を超え、秋になって紅葉が始まっていた。

駅までの沿道の一区間は、花水木とツツジが植えられている。
前を気にしつつ、花水木の実を探しながら歩いて行けば、集まってなる実を簡単に見つけることができた。
これを食べるのは鳥たちだろうか。
これから本格的な冬が来る前の貴重な食料になるのだろう。

自宅リビングの窓の外には大きな木が立っていて、そこには頻繁に鳥がやってくる。
カラス、鳩、雀といった街の鳥はもちろんのこと、メジロ、ヒヨドリ、オナガなどだろうか。
先日オナガが2羽、窓のすぐ近くで追いかけっこしている様は愛らしかった。
尻尾の淡いブルーがとてもきれいで、思いのほか体が大きいことも、軽やかに飛び回る様も、見ていて飽きることがない。

あっという間に季節は移り変ってしまうものだが、花も、鳥も、季節ごとに違う見え方はとても興味深い。
視界の中に見つける季節を楽しみ、余裕のある歩みを進めていく。

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