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インド生活:ネコが落ちてきた

昼過ぎ、Lizzoを聴きながらひとりでPC 作業をしていると、音楽とフル稼働中の空気清浄機の騒音の隙間から「ニャーニャー」と聞こえた気がした。

「もしや・・・。」

嫌な予感は的中。窓辺に近づいてみたら、首輪をしたチャトラ風のネコがバルコニーの外に落ちていた。こちらを見てニャーニャーと全力アピールしている。上階で飼われている奴だ。うちのバルコニーの外側には階下の住人が増設したトタン屋根が張り出していて、その部分に落ちたのだ。バルコニーには野生の猿の侵入を防ぐためにネットが張ってあるので、ネコはバルコニー内に入ることができず、トタン屋根の上で所在なげに右往左往しているのだった。

どうしたものか。。。こういうときに限って、外出予定がなくて、お手伝いさんが来ない日で、油断しまくって髪ボサボサでダサい服で、部屋もとっ散らかっていたりするんだよね。つまり誰にも会いたくない&見られたくない状態。そんな時に限ってネコなんて落ちてきちゃうんだよね!

まもなく、家の電話が鳴った。マンションの守衛が(多分ネコのことで上階に言われて)ヒンディー語で何かまくし立てているが、「ソーリー!アイドントアンダースタンドヒンディー!」と言って一旦切る。ネコを見やる。私のこと協力者じゃないと思ったらしく、態度が素っ気なくなった気がする。どうしたものか。このままだと上階の住人が来てしまう。その前に、私が捕まえる?イヤ、なんか触るのヤダ。インドのネコって飼い猫ならキレイなのかな?どこ掴めばいいの?とりあえず、着替えて部屋を片付ける?

そんな間に2度目の電話が。「ナントカカントカ!、ティーケ!?(ヒンディー語でOK?の意)」いやいや、ヒンディー語わからんし、全然ティーケじゃない。この国でヘタにOKなんて言ったらどうなるかわからない。「ノー!ノットティーケ!」ガチャ。ふう。「ニャーニャー。」もう〜どうしよう!

軽くパニクりかかってきたところで上階のマダムから電話。今度は英語だ。「うちのネコが落ちちゃって、お宅に入らせてもらって捕まえてもいいかしら?」「えっとー昼間ひとりでいる時は誰も入れるなって夫に言われててー(嘘)」「じゃああなたが捕まえてくれる?」「え!?あー、そうですね・・・。やってみます!」

なんでこうなる、と思いながらインド生活に何かと欠かせない手術用ゴム手袋を一応装着し、窓を開けてバルコニーへ。猿除けネットをめくり上げ、文字通りの猫なで声を出しながらネコを呼び寄せる。「チッチッチ。ニャーニャー。こっちおいで〜。」ダメだ、めっちゃ警戒されてる。私と駆け引きする気?と急に何かのスイッチが入る。押してダメなら引いてみろって、いうじゃない。ネットを上げたまま、あなたには興味ないですというそぶりで植物鑑賞に専念してみたら5秒もしないでやってきた。ふふふ、バルコニーに入った。しめしめ。と思ったらそのまま家の中入っていったーー!!

待て待て待て!!!チョ待てよ!!!家の中で追いかけっことかマジやめよ?とにかく飼い主に電話だ!「今家の中にいます!迎えにきてください。」「わかったわ!」

飼い主、来たけど、赤ちゃん抱えてる〜〜。「ちょっとこの子よろしく。」と渡されて抱っこしたものの、ギャン泣きモードに。「インド人の赤ちゃんは、やっぱ顔立ちハッキリしているな」と思って泣き顔をのぞき込んでいたら、不覚にもノーメイクの平たい顔族の顔面を見せつける形になって、一瞬泣き止んだ。でもびっくりしただけで、すぐに更に激しく泣き出した。結局マダムにも家に入られてしまい、無事捕まえたのはいいけど、ネコと赤ちゃん両方抱えるのは無理なので、私が泣きじゃくり身をよじらせて活ウナギみたいになっている赤ちゃんを抱えて、一緒に上まで行くことになった。

「ありがとう、助かったわ。そして本当にごめんなさいね。」謝られると、つい「イヤ、全然大丈夫なんで!」と言ってしまう性(サガ)。。。「オイ、これでネコ落ちたの2回目だろ!!しかも前回は雨降る週末の真夜中だったよな!?またやるなんて、どうかしてるぜ!!」って、ブラマヨのブツブツみたいに本当は言いたかった。でも「良かったらお茶でも飲んで行かない?」というマダムの懐柔作戦をやり過ごすのに必死で「いえ、ほんとにいーんです!またあったらいつでも言ってください!」とつい真逆のことを言ってしまった。「なら今日夕方散歩行くけど一緒に行かない?」「え?さんぽ?えーとどうかな、あ、今日はちょっともう行かないと・・・!」と適当にごまかしながら、エビのごとくプシューとバックしてそのままエレベーターに乗ってきた。お気遣いはありがたいのだけど、親しくなったが最後、私生活根掘り葉掘り聞かれてマンション中の住人に情報共有されてしまう。静かな生活がしたい、私。

夫に報告したら、「うちの旦那はネコが大好物で見つけたら食べるから、もう落とさないようにしてね、と言えばいい。」だって。

3回目あったら、ソレ真顔で言おう。



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