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第12回「きゃりーぱみゅぱみゅと格差」

 初めまして。OST-iメンバーの華岡です。普段はとある田舎で総合診療専攻医として勤務しています。

 OST-iとは対話文化の醸成を目指して隔週に渡り、あらゆるテーマを皆さんで時に議論、主に雑談、特に対話をしている会です。


 今回のテーマは「きゃりーぱみゅぱみゅ」と「格差」についてでした。最初に断りをいれますと、今回は実験的な取り組みとして、きゃりーぱみゅぱみゅと格差としています。決してきゃりーさんが格差の悪の根源ということではないので悪しからず。

 狙いとしては、「格差」という曖昧な情報に別の視点を重ねることで、新しい見方を模索する試験的なものです。


 私は医療者の立場として健康格差に関心があり、回避可能な健康な不平等を無くすための最良の科学的根拠を導き出す研究者かつ実践者になりたいと考えています。

 格差というと、教育格差、健康格差、そして格差社会などたくさんの種類があります。格差の中でも、何が認められて、何が問題として解決していくべきなのか、皆さんの中でも混沌としている状態だと思います。今回のOST-iでは、そのような未知なるテーマに対して対話を通じてそれぞれの見地を発掘していきたいと思い、テーマを選定しました。


 テーマは大きく以下の5つが挙げられました。それぞれのルームで各話題が交差しながら議論が行われている印象でした。


1.「地域格差」は本当になくなりつつあるのか?
2.あらゆる面で格差があると思うが、そもそも格差とは? 身近に潜んでいてすぐに改善できる格差は?
3.是正すべき「格差」と単なる「差」の、本質的な違いは何か?
4.(きゃり―と比較して)経済、社会的影響力、フォロワー数などの差はあるが、逆に我々が彼女と同等以上に備えてるものは何か?
5.格差をなくすことのデメリットはあるのか?


 会の内容を私目線でナビゲートするためにコメントを挟み込みつつ、いくつか皆さんの感想を紹介していきたいと思います。

格差の定義


Sさんの感想

 格差の捉え方も人それぞれだとは感じたが、自分が格差と感じているものを格差ではなく差と感じる人もいて驚いた。話し合った結果としては、格差は、生まれ持った才能や環境が生み出した副産物の中で、次につながるリソース(ex. お金、教育)となりうるものに関するの差をいうのかなと自分は思った。


 自身の考えと、他人の格差の概念が異なることに気づくことができるというのが、OST-i、そして対話の醍醐味ですよね。初参加にて、素晴らしい発見ですね。


Oさんの感想

「格差とは?」の輪郭は未だ曖昧であるが、
> ・「結果ではなく、リソースや可能性に関わるもの」
> ・「本人が上位層との差を埋めたいと主観的に望むもの」
> ・「その差をなくすことが出来る可能性があるのに、差があるもの」
といった条件を少なくとも満たすのかなぁ、と個人的には思った。


 私もこの定義感には同意で、私なりにまとめるとすると

自分ではどうにもならない、或いは環境によって依存される「差」のことを「格差」というのかな

 と個人的には腑に落ちました。



どういった格差は是正すべきか


Mさんの感想

 収入の格差は自分の努力で埋め合わせられない程のものは是正したほうがいいと思った

Kさんの感想

 格差が生み出すものもあると気づいた。
 ただ、貧困の格差は、解消すべきもので、いち早く改善されたらいいなと思う。あと、最後に話していた格差と差の違いについて、自分の中でまとまらずモヤモヤしている。


 貧困層から這い上がり著名人となった伝説や武勇伝、アメリカンドリームのような話は多くあるでしょう。だから、貧困はあるべきだというのは、流石に横暴だと考えます。

 Mさん、Kさんのグループに私も参加しておりましたが、収入格差や貧困、そして自己責任論の話など移り変わりつつ、バイトをしながら授業料を支払っている苦学生の話になりました。

 現代では、苦学生など不可能だということで、大学入学金や授業料の推移を参照しながらそもそも教育にどれだけお金がかかるのか、勉強できるという環境が恵まれているのかを考えていました。

 国立大の授業料等の推移
 平成4年  大学授業料:375,600 入学料:230,000 検定料:27,000
 平成16年  大学授業料:520,800 入学料:282,000 検定料:33,000
(参照  文部科学省:国立大学と私立大学の授業料等の推移


 上記のように、教育費用というのがインフレーションを起こしており、更に予備校代など見えないお金も隠れている事実に驚愕しました。勉強が出来ていた、或いは出来ているという環境に感謝しかありません。

 皆さんはこの推移を見てどのような感想を持たれるでしょうか??そして、果たして実家にそのような財力がなかった場合は果たして同じ進路を辿れていたでしょうか?少し考えてみてください。

SDGsと貧困


 ここで、解決すべきだと3人で同意としたキーワードの「貧困」についてはSDGs(持続可能な開発目標)が掲げる第1の目標となっています。というのも、やはり「貧困」が子どもたちの可能性を制限し、健康を害すことが様々な研究で既に明らかとなっているからです。


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 SDGsの視点で「格差」を眺めてみると、また違った見方が見えてくるかなと思います。次回の華岡会は更に踏み込んで参りたいと思います。

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