YouTubeは「巨大な動画版図書館」にまっしぐら。ただし、IGTV次第。

米ユーチューブのスーザン・ウォジスキ最高経営責任者(CEO)はユーチューブについて「巨大な現代の動画版図書館」と表現している。まさに、インスタグラムのIGTVが登場したことでその輪郭が明確になった。YouTuberとして4年のキャリアを迎える筆者はそう考える。

2018年、もはやユーチューブは成熟しきった。サービス開始時からユーザーとして触れてきた私にとっては、よちよち歩きの赤ちゃんが、いまや大相撲の土俵にあがる力士に見える。まさに、足腰が盤石な姿は、動画アーカイブプラットフォームの王者だ。この牙城を崩すのは、かなり厳しい。ストック性の高いコンテンツ市場においては、レバレッジが効きまくっているのだ。

今はまだ、ぜんぜん違うサービス。「ストックのYouTube、フローのIGTV」

端的にいって、IGTVは伸びるだろう。スマホ時代に適したフォーマットを持つ縦型の動画プラットフォームとして、明らかに強い。グローバルでのインスタユーザー基盤が極めて優位だからだ。とはいえ、IGTVがYouTubeを超えるか、という議論はまだ早計だろう。なぜなら、ユーチューブとIGTVはまったく別の場所で戦っているからだ。視聴体験が全く異なる両者のサービスは、本質的にカニバっていない。

IGTVは、タイムラインに流れてくるフィード動画のような感覚で、次々にコンテンツをスクロールしていく。フロー型のサービスである。一方、ユーチューブは強力な検索機能とサジェスト機能を持った、ストック型のアーカイブサービス。

「動画版図書館」としてのカテゴリトップは、ストック型のユーチューブに軍配があがる。

ただし、IGTVがいつストック型のUIUXに変えてくるかはわからない。近いところでは、長時間動画をポストできるようになったようだ。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO35574290Q8A920C1KNTP00?channel=DF280120166614&style=1

クリエイターのモチベーションを押さえたものが勝つ。

IGTVの話を続けよう。このサービスがユーチューブを超えるかどうかを見極めるポイントは、結局のところ「クリエイターのモチベーションを変えられるかどうか」にかかっている。要はユーチューブに投稿するモチベーションを超える魅力があるかどうかだ。

いまのところ、ユーチューブの方が100歩先を歩いている。それは広告報酬の金銭価値の問題ではなく、ユーチューブが「検索」という「ストック性」を抑えているからだ。グーグルの十八番の「検索マーケット」は、クリエイターの投稿モチベーションに大きな影響を与える重要指標だ。

私のような教育系YouTuberであれば、なおのこと。エクセルの使い方を教えるチャンネルが、いかにバズりづらいか。4年の間、バズったことは一度もない。いまでこそ20,000人の登録者を抱えることになったが、ただひたすらに、口コミとSEOだけで伸びたのだ。

https://www.youtube.com/OsanaiKohei

バズが狙いづらいプレイヤーは、フローの勝負ではなく、ストックの勝負に出る。

フローは二の次なのだ。

クリエイターの投稿源泉は他にも多々ある。ざっとビュレットポイントでまとめて締めよう。

・プロダクト導線に引き込むチャネルとして機能するかどうか
・クリエイターの優越感を唆るハード設備を備えているか
・そこにストック性の価値があるか
・コミュニティの熱量がどれだけ高いか
・そのプラットフォームのクリエイターたるベネフィットを訴求できているか(ブランドイメージ)

4つ目の熱量と、5つ目のブランドイメージについてはまた別の考察を加えたい。

最後に。

「動画版図書館」にまっしぐらに向かっているのは、ユーチューブである。

いまのところ、

だ。

いつサポートするの。いまでしょ。