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嗜好品の王者:コーヒーとお砂糖

 このブログを書いていて気が付いたのは、私はとにかく嗜好品がたくさんあるのだということ。お酒もバターも、なくても困らないものだ。私は多分、なくても困らないものが好きなのだと思う。ぜいたくと言われる物のこと。

 「ずっとお城で暮らしてる」というブログタイトルは、たぶんだからぴったりだと思う。ぜいたくにかこまれた暮らしなのだ。もちろん豪奢なドレスやアクセサリーや天涯付きのベッドなんてものはない。ささやかで、でも日常を限りなくのびやかにする贅沢。日々を華やかにするよりもむしろ、穏やかにしてくれるものこそ贅沢なのだと思う。

 嗜好品を愛好している人間なので、嗜好品の代名詞たるコーヒーももちろん好き。でも残念ながら、産地やら豆やらのこだわりはちっともありません。なんなら私が飲むのはドリップいらずのインスタントばっかり。贅沢は好きだけれど、丁寧な生活、と言われる物とはおよそ無縁なたちだと思う。私は軽薄だし怠惰なのだ。簡単で、粗雑に済むならそっちの方が無論いい。

 そういうわけで専らインスタントコーヒー人間なのである。
ところでコーヒーの一番素晴らしいところは、入れた瞬間に立ち上るあの香りだと思っている。インスタントに香りなんてあるの?と思ったでしょう。でも私が求めているのは専門的でマニアックな、あるいは洒落た香り高さではなくて、単純に落ち着く香りと言うこと。ほっとする匂い。例えば昼休みに訪ねて行った保健室でぶつかるインスタントコーヒーの匂いとか、そういう心の内側にしみこんでしまう匂いのことだ。鼻で味わう香りというよりも、空っぽの身体にすーんと染みわたる香り。
 とはいえさすが企業様、頭が上がりませんと言うのかしら。適当に入れてもきちんとおいしいのだ。以前私の知り合いは、インスタントコーヒーは薄っぺらでおいしくない、と言っていたけれど、あたたかくて安心な匂いがすればやっぱりおいしい気がする。もちろんちょっと薄っぺらい味のものもあるけれど…

 インスタントコーヒーでもっともおいしいと思うものがこれ。味がこっくりしてるのに渋くなくて、なによりインスタントコーヒーに時々起こる大失敗である、「色付きのお湯」ではないのだ。ちゃんと、すごくおいしい。ちなみにその知り合いが言えに訪ね来たときは、ちゃんとドリップして出した。おもてなししたかったのでいろんな種類を買っておいて、その都度違うものを出したけれど、一番好評だったのは『小川珈琲』だった。

 とはいえ最もお手軽なもので言えば、パックのアイスコーヒーだと思う。お湯の沸くのを持つ必要さえないし、冷蔵庫から取り出して、パックの口を開いて注げばもう済むんだもの。冬にはちょっと寒いけれど、夏場に氷をたっぶり入れたグラスに注ぐ時なんて、すばらしく贅沢。手間が一切かからないし、氷がとけてカランと音が鳴るときの色っぽさなんか、その瞬間をすごくいいものにしてくれる。

 インスタントならそこまで違いがわかったりはしないけれど、紙パックならがぜんおすすめが在ります。ミルクを入れるなら丸福コーヒー。

甘いものが好きな人は加糖でもいいと思うけれど、私はブラックの方が好き。でも加糖にたっぷりのミルクを注いだら、でzz-とみたいな味になる。食欲のない朝ならこれだけで満たされてしまう味がするし、きっと子供も好きな味だ。
 ブラックで飲むのなら、実はUCCが一番おいしいと思う。

なぜかというと、薄いから。個人の好みの話になるけれど。ブラックコーヒーで濃いものってちょっと煙草みたいな味がする気がする。私はがぜん薄めのアメリカンが好きで、そういう人にはUCCが一番おいしいと思う。夏場じゃなくても暖房の効いた部屋で冷たいアイスコーヒーを飲むのはすごくおいしい。

 でもやっぱり、いちばん贅沢な味がするのは丸福コーヒーかしら。それにたっぷりのミルクをいれたやつ。
 余談だけれど、私の母はコーヒー用のお砂糖「ロザッティ」をすごく愛している人だ。私はホットコーヒーならばブラック以外は苦手なので試したことはないけれど、このお砂糖だとコーヒーがすごく「たかい」味になるんだそう。

 甘いコーヒーが好きな人は試してみてね。ガラスを砕いたような見た目で、たしかにおいしいのだろう、と思わせる見た目のお砂糖だ。私は甘いホ
ットコーヒーはどうしても飲めないので、このお砂糖も使えない。でも琥珀色のガラス片が溶けたコーヒーだなんて、ちょっと、ずいぶん憧れてしまう。


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