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文フリ岩手感想3

▽コエヌマカズユキさん
「ヤクザ短歌」
「ゴールデン街で一番の美女」
読了。人の声がする本。楽しかったです!
「月に吠える」行きてえ……。

コエヌマカズユキさんは、以前ジモコロで記事(文学作品のおすすめを主に)を読ませていただいたことがある。
以降、新潮文庫の本を買うと、脳内で「スピンがついているのは新潮文庫だけなんでね……」と話し出してしまう。
なんだか嬉しくて速攻で本を買った。
確か、会場の入口付近にいらっしゃったので、一番最初に買った気がする。

ひと癖もふた癖もありそうな人、面白い人、色々な人が登場する。人情ドラマめいたものが脳内で上映される。
インターネットの人、小説に出てくる人。あれが透明人間で想像される人は少ないんじゃあないかしら。

我々は顔を知らずに他の人とつき合うことができる。手紙、伝言等の言語的表現がその媒介をしてくれる。しかしその場合にはただ相手の顔を知らないだけであって、相手に顔がないと思っているのではない。多くの場合には言語に表現せられた相手の態度から、あるいは文字における表情から、無意識的に相手の顔が想像せられている。

和辻哲郎「面とペルソナ」

↑かなり興味深くて面白かった。何だって? これも青空文庫で……?

心地よいドラマを見ている気持ちでゆったり楽しく読めました。面白かった!
ともすれば時折「う、」と苦い気持ちにもなる(ヨウコさん!!!)。
個人的には「ヤクザとヒーロー」「一杯のおかゆ」「父なる神様」が好き。最後に挙げた作品は、前に読んだ奈良少年刑務所詩集「名前で呼ばれたこともなかったから」をふと思い出した。
うまいこと、世の中の大小歯車がカチリといけばいい。

ヤクザ短歌、歌碑が並ぶ小径のようで面白かった。
中々に緊張感のあるものだと思ったが、くすりと笑ってしまうような短歌が忍びこみ軽快にザクザク歩けた。
やっぱりページを捲って直ぐの「人間になりたいなあというヤクザ妖怪人間ベムの真似して」が大好きだな。

かなり難しいことが、正直に真剣に人と関わってみたいと感じた。
(余談。プチ文壇バー「月に吠える」にモーリス・ルヴェルや蘭郁二郎、海野十三はいるのだろうか……いたらどうしよう……)

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