プロットらしきものを晒してみる

pixivノベル大賞用の短編小説のプロット、らしきものです。

プロット自体は一週間ほど前に書きましたが、作品執筆に着手する気力が一向に湧かないので、この場所で晒すことにしました。

人目を気にして手を加えたので、若干よそ行きの文章になってしまいましたが。

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タイトル:竜宮城(仮)

主人公(女性)が目覚めると、病院の床に看護師の恰好をして横たわっている。
倒れる前の記憶の大部分が消えている。
部屋には大量の輸血パックが、血が入った状態で置かれていて、気味が悪くなる。誰かいませんか、と呼びかけるが、返事はない。
ナースコールはどこにも見当たらない。主人公、部屋の外に出る。

廊下にも大量の血入りの輸血パックが。人の姿は見当たらない。
異常だと思う一方で、病院の外は危険で溢れているような気もする。
とにかく外の様子を見ようと、外部に通じるドアに手をかけたが、開かない。どのドアを試してもだめだ。
途方に暮れる主人公。まだ見ていない部屋があるので、そこに誰かがいることに賭けるしかない。

食堂に入った主人公は、中央にベッドが置かれているのを発見する。
そこには太った中年の男性が寝ていた。おしゃぶりをくわえ、ベビー服を着ている。どう見ても大人なのに、ベッドや着ている服のデザインは赤ん坊のそれだ。
主人公の存在に気づくと、男性は泣き出す。慌てるが、テーブルにはオムツや哺乳瓶や粉ミルクなど、必要なものが揃っている。
壁の貼り紙には「放っておくと死にます」との文言が。
しかるべき世話をすると、泣きやむ。
この場ではなんとか問題を解決したが、やはり慣れた人間、専門家に任せた方がいい。
同時に、もしかするとこの病院と男性は見捨てられていて、世話をするために自分は連れてこられたのでは、とも思う。

外には出られず、中に人はいない。
主人公、病院の中で生活をすることに決める。
幸い、保存食が大量にあるし、電話やネットこそ繋がらないが電気や水道は生きている。

追われるものが少ない生活は気が楽で、楽しい。
最初は気味が悪かった男性の世話にも慣れ、愛着が湧いてきた。
日ごとに若返っていくのが不可解だったが、献身的な世話のおかげだと思いたい。

院内で過ごす時間が募るにつれて、外の世界に恋い焦がれる気持ちが高まっていく。
記憶はないし、取り戻してもいないが、大切な思い出があったはずだ。
外へ出れば思い出すかもしれない、と思うが、それは不可能。
出たい気持ちはあるが、外の世界に対する恐怖もある。
閉じ込められているのではなく、守ってくれているのかもしれない、とも思う。
そして、いつまで経っても不可解な輸血パックの意味。

男性以外の誰かに会えるとしたら、誰かが病院を訪れる以外にない。
白馬ならぬユニコーンにまたがった王子様を漠然と空想し、思いを馳せる。
男性はそもそも主人公よりも年上なので有り得ないが、王子様と主人公の息子なのでは、と考えることもある。

男性は日ごとに若返っていく。
言葉をしゃべれるようになり、主人公と会話を試みるようにさえなった。
成長していると肯定的に捉えることもできるが、主人公の中では恐怖が上回っている。
自然の摂理に反していることもそうだが、男性と会話すること自体も恐ろしい。
力も強くなってきて、好奇心に任せて髪の毛を引っ張られ、痛い思いをすることもある。
外部の助力を求めたいが、自力では病院の外には出られないし、訪問者は来ない。

気を紛らわせるために、院内の掃除を始める主人公。
輸血パックをひとまとめにしようと考え、食堂に集める。
ふと気がつくと、ベビーベッドが血だらけになっている。男性が悪戯をしたのだ。
主人公、思わず男性を平手打ちする。男性は大泣きをする。
なんとか泣きやませるが、気力を使い果たしてぐったりしてしまう。掃除は当然、中止に。
もう限界だ。そう思いながら眠りに就く。

主人公、物音を耳にして目を覚ます。
恐怖をこらえながら耳を凝らす。なにかを床に引きずりながら移動する音で、次第に食堂へと近づいてくる。
身の危険を感じたが、もしかすると外部からやって来た人間かもしれない。動ける人間が自分しかいないという意味でも、自分が様子を見に行くしかない。
男性にその旨を伝えようとすると、ベビーベッドは無人だった。
パニックを起こしそうになる主人公。その時、突然ドアが開き、血まみれの男性が半ば倒れ込むようにして食堂に入ってきた。
腹部に深い傷を負っていて、そこから大量の血が流出している。

刹那、主人公は思い出す。
食堂に入ってきたのは、主人公の恋人だ。

恋人は主人公の名前を呼び、助けを求める。
まずは止血しないといけないが、流血があまりにも激しく、押さえても押さえても外へ出て行く。
輸血パックの血を恋人に与えようと思いつくが、手に取った瞬間にパックは破れ、血は床にこぼれてしまう。
何回試みても結果は同じだ。
この病院に長くいる男性なら、もしかしたら扱い方を知っているかと思い、ベビーベッドを見る。しかし、男性は行方不明になっていたことを思い出し、主人公はパニックに。

この世の中で自分だけが不幸だ、という思いに囚われて、絶叫する。
「あのころに戻して! 幸せだったあのころに、わたしを今すぐ戻して!」
「被害者ぶって、虫がよすぎるのよ。とんでもなく自己中心的ね、あなたという人間は」
突然の声に、主人公ははっとする。病院内には存在しないはずの若い女性の声だったからだ。
「いつから自分が女だと思っていたの? あなたは誰がどう見ても、男。加害者側の人間でしょう」
主人公、おそるおそる自分の体を見下ろす。
瞬間、ぼんっ、という音とともに主人公の体は白煙に包まれる。
主人公は半狂乱の体で、男性がくわえていたおしゃぶりを探す。


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