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研究No.6 【宣伝会議賞】グランプリコピーを作るには?

宣伝会議賞の応募締め切り期間も残りわずかとなりましたが、みなさん課題の進み具合はどうですか?研究生3人も苦戦しながら頑張っております!

さて、今回は宣伝会議賞のグランプリを獲るために(と大きいことを言ってみる)歴代グランプリコピーを紐解いていきたいと思います!
どうやってグランプリコピーが出来上がったのか、どうすれば作れるのか。その思考プロセスを考えてみました!

おーしろ 宣伝会議賞も残りわずかですね!お二人とも調子はいかがですか?

むすびめ(おーしろ) もうバッチリですね!協賛企業賞をダブル受賞しそうです!

tonton(おーしろ) 僕も 完璧ですね、グランプリコピーできました!

おーしろ さすがだ・・・。僕なんてそんなそんな・・・

むすびめ&tonton さて、おーしろさんの長い独り言も終わったところで本題に入りましょうか(笑)

tonton あと残りわずかですが、グランプリを目指して頑張りたいですよね!

おーしろ そうですね!ところで、歴代のグランプリコピーってどいういう発想で書いてるんですかね?

むすびめ これまでのグランプリ作品がどのように生まれたか気になりますよね。実際に好きなグランプリコピーがどのような経緯で生まれたか、逆算して考えれば何か見えてくるかもしれませんね!

みんなが好きなグランプリコピー

おーしろ お二人は好きなグランプリコピーってありますか?

tonton 僕は第42回の「父親の席は、花嫁から一番遠くにある。」ですね。

むすびめ キヤノン販売 デジタルカメラ パワーショットS1ISの課題ですね!あのコピー、エモーショナルで情景が浮かぶし、私も好きです!

おーしろ 自分も好きです!すごい素敵な表現で、あんなキャッチコピー自分も書いてみたいなって思ってました!

tonton そうですよね。そしてあのコピーは表現だけじゃなく、うまく機能も言えてますよね。

グランプリコピーから学ぶ 商品機能&キャラクター・シーンの分析

tonton このグランプリコピーは表現も素晴らしいですが、何よりカメラの機能がしっかりと言えてるところがすごいと思います。

むすびめ 「遠くのものを撮れる」という機能を伝えるために、結婚式のシーンを持ってきたのが秀逸ですよね。そう考えると、商品の機能を一番効果的に言い当てるシーンの選定ってすごく大事ですよね。

tonton:そうですね。僕だったら「遠くのものを撮れる」という機能を表すとしたら、すぐに思いつくのは旅行ですね。
例えば、「近づけない世界遺産が間近に感じられる」みたいなコピーを書きそうな気がします。そう考えると、シーンを考えることは大切な気がします。

おーしろ:キャラクターの絞り込みも大切じゃないですか?このシーンって「花嫁の父」というところに絞ったからこそ出てきた表現じゃないかって僕は思ってました!

tonton:確かにそっちの可能性もありますね!

おーしろ:いろんな表現の生み出し方ってあるんですね。

むすびめ:そうですね。機能を共感できるシーンまで落とし込むこと、そしてそこに誰を持ってくるかというのも大切ですよね。宣伝会議賞でも1次審査を突破しているのは、機能の特徴を様々な観点から伝えていてすごいと思いますが、2次審査以降はそこからさらに踏み込んで共感を表現できてる作品が多い気がします。

実際にグランプリコピーの思考を追ってみよう!

おーしろ 実際にこのグランプリコピーみたいなキャッチコピーを書けるようになるには、どうしたらいいんですかね?

tonton 難しいですよね、どうすればいいんだろう。

むすびめ あ!それでは!各自で逆算して、このグランプリコピーを書けるにはどんな思考プロセスを踏めばいいか考えてみませんか?

tonton &おーしろ いいですね!やりましょう!


〜1週間後〜


むすびめ みなさん、いかがでしょう?

tonton 自分なりに考えて来ました!結構難しかったですが・・・。

おーしろ そうですね・・・。とりあえずみんなでどう考えたか話しましょう!

■tonton、おーしろの場合
tonton じゃ、自分から。まず、自分ならいつもの通り、

①何をいうか考えるために、カメラの機能を深掘りしていきます。そこから、遠くが撮れるという部分を見つけてコピーを考えていきます。
②生活者視点で、カメラがどう使われるか様々な場面を考えていくと思います。まずは自分の視点から、旅先、花火などなど。
③自分の目線で書き切ったら、色んなキャラクターを設定して、その人が使ったらどうなるか、共感を呼びそうなシーンって何があるか
と考えていくと思います。

むすびめ なるほど、順を追ってシーンを考えていくのですね!

おーしろ 実は僕もほとんどtontonさんと同じなのですが、①と②の間に、「遠くを撮るってどういう行為だろう」ってプロセスを入れると思います。

むすびめ と言いますと?

おーしろ 遠くを撮るって行為は、人にとってどんな価値があるか、みたいなことですかね。遠くを撮りたい瞬間ってどんな時だろう、とか考えていく感じです。今回でいえば、遠くを撮る=見守るって行為だなって思いました!

tonton 「見守る」!正に「遠くを撮る」ということの価値というか、本質をとらえた表現ですね。たしかに、その行為がどういう意味や価値があるかと考えると、コピーも広がる可能性がありますね!

■むすびめの場合
むすびめ 私はこちらのグランプリコピーを見て、こんな構成をイメージしました。

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tonton &おーしろ 公式!?

むすびめ いえいえ、公式なんてたいそうなものではないのですが・・・!

まず書き方の一例として、大きく3つの項目に分けています。

1つめは、訴求したい商品・サービスの特徴。
2つめは、それが関係する場面。
3つめは、その商品やサービスがあることで実現する未来。

①どんな商品を ②どんな場面で 利用すると ③どんな未来が起こるか というイメージです。

①と②の組み合わせによって、様々な③が生み出されますよね。
今回のキヤノン販売の課題に当てはめてみると・・・

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今回取り上げている受賞コピーの課題は「キヤノン販売「手ブレ補正機能で遠くの被写体も確実にとらえる光学10倍ウルトラソニックズーム搭載のデジタルカメラ『パワーショットS1IS』を自由に表現してください。」というものでした。

ここで取り上げる商品特性(①)は「手振れ補正で遠くの被写体も綺麗に撮れる」となりますよね。
そうすると、必然的にこの機能によって実現できる未来(③)は「遠くの被写体が綺麗に撮れてハッピー!ラッキー!」と想像できるかと思います。

先程tontonさんがおっしゃっていた「近づけない世界遺産が間近に感じられる」というのも、手振れ補正機能によって実現できる未来、すなわち③を切り取ったコピーになります。
その場合、②場面は「遠くの世界遺産を眺めている旅行中」になりますね。

この①商品特性 ②場面 ③商品・サービスに触れた先の未来 は
どれを切り取っても表現することができます。
次に、今回のグランプリコピーはどこを切り取ったのかに目を向けてみます。

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私の考えになりますが、第42回のグランプリコピーは「②場面」を撃ち抜いたコピーだと思っています。 

課題で求められている訴求したいデジタルカメラの性能(手ブレ補正による遠距離撮影)を伝えるシーンとして「結婚式に参列する父親」まで辿り着かれた思考プロセスについても、どうやったらこの考えができるのかと何時間も皆さんと語れてしまいそうですが、それはまたの機会にさせていただき(笑)、
ここでとても興味深く感じたのは、「父親がカメラを使って上手く撮れた未来(③)」ではなく「カメラが使われる前のシーン(②)」が切り取られていることです。

例えば、同じ切り口でも

「花嫁を一番綺麗に撮ったのは、一番遠くの席にいた父親でした。」

ですと、コピーの読後感が大きく変わるような気がします。
なんというか、グランプリコピーに比べてエモーショナルじゃないんです。素敵な未来ではあるのですが・・・。

グランプリコピーで感じたのは、発見と共感です。
「結婚式で父親って、花嫁を大切に思ってる存在だけど、席は一番遠くにあるよね」という気づきの後、デジタルカメラで距離が縮まった未来への幸福な共感力が強いなと思いました。
私は父親ではないのに「よかったねえぇぇ・・・・」と、勝手に共感しちゃいました。(笑)

そんな、発見と共感を持つ切り口、さらにそこから②の場面を選び撃ち抜くコピー、感服してしまいます。
そしてただいい話ではなく、課題に求められていることを鮮やかにクリアしている。目指していきたいコピーの形の一つです。

そして少し話が戻りますが、ここでの②場面は「商品・サービスがない状況」のことです。

コピーをみる人が気づいてなかった、または無意識下の「実は満たされていない状況」を発見できれば、それは大きなインパクトを与えるコピーになると感じました。

今回取り上げているコピー意外にも、第46回グランプリ「家は路上に放置されている(セコム)」も、意識すらしていなかった自宅のセキュリティの脆弱性に気付き膝を打ちました。

大先輩方のコピーをお手本に「その商品がないとどんなことが起こるか」と言う観点で場面を考えると、新しい発見が生まれるかもしれませんね。
長くなりましたが、コピーを書くときに

①商品特性が強く、それだけで勝負できる課題なのか、
②発見のある場面を発掘できるか
③人を動かす魅力あふれる未来を提示できるか
この3つの考え方だけでも、たくさんの作品が生まれてきそうで、コピーの可能性を感じます。

宣伝会議賞はそれを試すまたとない機会!たくさんの手法にチャレンジしていきたいですね!

tonton なるほど!凄くわかりやすくて、面白いお話でした!今更ながら、宣伝会議賞のやる気が出てきました笑

おーしろ たしかに、それが存在していないシーンを考えてみたり、逆にこれがあればどういう未来があるかとか、そういう視点で考えるとシーンも広がりそうですね!

やっぱり、グランプリコピーを作るのは難しい!

むすびめ みんなで考えてみたんですが、やっぱり難しいですね、グランプリコピーに行き着くのは・・・!

tonton そうですね、逆算して考えてもこういうコピーに行き着くのは難しいなって感じますね。

おーしろ 余計に実力差を感じました・・・。でも、ヒントになりそうなことは見つかった気がします!

tonton  そうですね、今回、お二人がコピーを書くときにどういう思考回路を辿っているかを教えていただいたおかげで、自分にはなかった発想法を知ることができ、すごく勉強になりました。
ちょうど宣伝会議賞も行き詰まってたところなので、残りわずかですが参考にさせていただきたいと思います笑

むすびめ ぜひぜひ笑 私もとても勉強になりました。またぜひこうして思考プロセスを追っていきたいですね! あとは、共感を生み出すためにも、日常生活の中でアンテナを張って見落とさないことも大切ですね。

tonton ですね!色んな立場に立ってみたり、名作と言われるコピーを見てストックすることも大切だなって思いました。

おーしろ あと時代の空気感とかも常に意識していきたいですね。


今回の研究を通して、改めて共感を生むキャッチコピーを作る難しさを痛感した、研究生3名。しかし、3人の考え方を可視化したことで、何かヒントになりそうなことは見つかった気がします・・・!
この学びを活かして宣伝会議賞に限らず、いいコピーを生み出すために日々努力していこうと思いました!


宣伝会議賞も残りわずか!さて、今年はどんなコピーがグランプリを取るか、果たして3人は何か賞をもらえるのか・・・!乞うご期待!(と言って、自分たちを鼓舞する3人であった)

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