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研究No.3-2 いいキャッチコピーを書くために、見る目をつけよう

キャッチコピーは書くだけではなく、見る目も大事。

ということで今回は、ことばの研究生の3人が
「若者にもっと手紙を書いてもらうための、キャッチコピー」を
互いに見せ合い、その中から1つずつキャッチコピーを選び、よかった点、悪かった点を研究していきました!

(まだ3人の「若者にもっと手紙を書いてもらうための、キャッチコピー」を見ていない方はこちらからどうぞ!↓)

3人がそれぞれのキャッチコピーを批評していく中で、改めてわかったキャッチコピーで大切なこととは・・・?

それぞれのキャッチコピーの批評

■おーしろのキャッチコピー

「好きです」って、口では言えなかったな。

むすびめ:心から伝えたいことって案外直接言いづらいですよね。「手紙なら言えるかも。」そんな気づきを与えてくれるコピーだと思いました。

「〜だったな」という心の声が思わず出たような末尾表現にも惹かれました。伝えられなかった後悔にも、手紙で言えてよかったという安堵にも感じられますね。

見る人によって捉え方が変わる、余白のあるコピーだと思います。

tonton:確かに余白のあるコピーですよね。僕はどちらかというと「手紙で言えて良かった」の意味で捉えました。

最初このコピーを見たとき、好きな人って何気ない話をするだけでも緊張したりするのに「好きです」なんてことを直接言う勇気、なかなかないよな〜と凄く共感しました。

そしてそんな時こそ、言えなかった心の声と時間をかけて向かい合い、整理しながら、素直な気持ちを伝えられる手紙って、じつは貴重な存在かもしれない。そんな気づきを読み手に与え、手紙のメリットをうまく訴求しているように感じました。

おーしろ:手紙だったら素直に言えるってことありますよね。その部分を伝えたかったので、わかってもらえて良かったです!


■tontonのキャッチコピー

こんなに話したかったんだと、書いてみて思った。

むすびめ:手紙って、すでに書きたいことが頭に浮かんでいるというイメージが強かったのですが、tontonさんのコピーで手紙を書くことで出会える気持ちがあることに気づけました。
自分の気持ちも整理できるという発見が、手紙を書くきっかけに繋がりますね。

おーしろ:手紙って書く時にめっちゃ悩むんですけど、「とりあえず書いちゃえ!」って気持ちをぶつけてみて、初めてわかる気持ちってあると思います。そこを気づかせてくれるコピーだと思いました。

あと、とりあえず書いてみようって手紙のハードルも下げてくれるということも気づかせてくれるコピーだなって思いました。

tonton:まさにお二人がおっしゃったとおりです!理解していただけて嬉しいです笑 

コピーの意図としては、「話したいことがあって手紙を書く」という本来の発想を逆転させて「書き出してみて気持ちに気づく」というコミュニケーションツールでもあるのではないか、という別の価値提案をする形にしています。


■むすびめのキャッチコピー

あの日の手紙を読んで、元カノと再会した。

tonton:これは読み手によって色々と解釈を変えられる、秀逸なコピーだと思いました。「元カノと再会」の部分を比喩の意味か、リアルかどっちなんだろうと想像を巡らすことができて凄く面白かったです。ちなみに僕は比喩の意味で捉えました。

むすびめ:tontonさんは比喩で捉えられたのですね。「再会」という言葉を使って解釈の幅を広げられたらと思い書きました。幅が広がりすぎて本来の意味が伝わらないことに気を付けながら、これからもそんな余白を生み出せる表現も身に付けていきたいと思います。

おーしろ:再会ってエモ言葉かもしれませんね。一つの言葉で背景や情景が掻き立てられる。こういう言葉を探していきたいです。


お互いのコピーを見ていた研修生たち。
しかし、3人には引っ掛かることが・・・

3人のキャッチコピーで、手紙を書きたくなる??

むすびめ:んー、実際このコピーって伝わってますかね?

tonton:そうですね、若者(ターゲット)が見て手紙を書きたくなるかというと・・・。

おーしろ:確かに。キャッチコピーってターゲットに行動を促すことが大切だと思うので、ちょっと遠いかもですね・・・。


3人:・・・。


むすびめ:もう一度それぞれのコピーを振り返ってみませんか?

tonton:今回大切なことって、手紙を書くという行動を促すことですよね。

おーしろ:それを踏まえて、それぞれのコピーを修正してみましょうか。

ターゲットが手紙を書きたくなるように、キャッチコピーを修正


■おーしろ

(元のコピー)

「好きです」って、口では言えなかったな。

(修正後のコピー)

何度も書いて消した「好きです」は、きっと伝わる。

(修正意図)
修正前のキャッチコピーは、後半部分の「口では言えなかったな」という部分が表現として弱いということがありました。というのも、エモい雰囲気はありますが、このコピーを見て「手紙を書きたくなるか」と言われると、なんとも言えない・・・と思います。

また、ターゲットは手紙を書いたことがない若者です。
手紙を書いたことない人が「口では言えなかったことを手紙なら素直に言える」という感覚は伝わらないなと改めて思いました。

そこで、研修生やコメントを頂いた方々の意見を参考に
「手紙だから素直に言えた、という描写の方がいいのでは?」
「もう少し手紙を連想させる言葉が入れる」
ことを意識。

書き手視点で「手紙は素直な気持ちや想いをしっかり伝えられる」という部分を強調し、若者が手紙を書きたくなるよう訴えかけるコピーに修正しました。


■tonton

(元のコピー)

こんなに話したかったんだと、書いてみて思った。

(修正後のコピー)

書きながら、直しながら、ほんとうの気持ちに気づいていく


(修正意図)
今回の手紙のコピーは「若者」。つまり「今まで手紙を書いたことがない人」をターゲットとしています。その一方で元のコピーは、手紙を書き終わって振り返った時に「こんなに話したかったんだ」と「気づいた」瞬間を捉えてしまっていました。

よく考えると、手紙を書いたこともない人に手紙を書き終わった後の気持ちを訴えても実感が湧かず、共感を得ることはなかなか難しい気がします。

そこで、修正後のコピーには、「書く」や「直す」など、実際に手紙を書いている場面がよりリアルに想像できる表現を意識的に使いました。

それによって「書く」という行為を通して、今まで気づかなかった、本当に伝えたい気持ちに気づくことができる、という手紙の役割(メリット)を強調し、「若者」≒「今まで手紙を書いたことがない人」が、手紙を書きたくなるよう訴えかけるコピーに修正しました。


■むすびめ

(元のコピー)

あの日の手紙を読んで、元カノと再会した。

(修正後のコピー)

この気持ち、何度も言うのは恥ずかしいから
何度でも読み返して欲しい。

(修正意図)
元のコピーはシーンが限定的であり、手紙を送った先にある未来を切り取っているので「今書こうかな」と思ってもらうには少し遠いのでは?という反省がありました。
(手紙で昔の恋人との再会って、大人になってから感じるロマンな気がします。笑)

そこで、手紙の持つ「時を越え、何度でも想いを伝えられる魅力」をベースに、「この気持ち」や「~してほしい」といった今ここにある感情を掻き立てる表現となるよう意識しました。

今回のターゲットは手紙を書いたことがない若者。家族や好きな人に手紙を書く恥ずかしさや「この気持ち、何度だって読んで欲しいな。口で言うのは恥ずかしいからしないけど」という少しわがままで、それでいて純粋な想いをあえて順接で表現してみました。

読み返して欲しいくらい伝えたい気持ちがある方に、手紙を書くことを提案するコピーです。

雰囲気だけではなく、ちゃんとターゲットを動かすこと

今回は、「若者にもっと手紙を書いてもらうための、キャッチコピー」から、ターゲットを見つめ、動かすキャッチコピーについて研究しました。

キャッチコピーで大切なことはターゲットの意識を変え、行動を促すこと。
そしてターゲットにしっかり届けること。

そのためにターゲットの目線に立ち、このキャッチコピーで動くかを見直していくことが大切ですね。
また、「このキャッチコピーがターゲットに届くか」という目を鍛えることも大切だと実感しました。

これからもたくさんのキャッチコピーに触れ、鍛えていきたいと思います

次回の研究テーマは・・・、「ラジオCM」!

ラジオCMグランプリ受賞者のtontonさんに、グランプリ作品・入選作品の誕生秘話を語っていただきながらラジオCM制作について研究したいと思います!

次回もお楽しみに!

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