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イブキちゃんの聖書入門#84 「聖書的終末論④神の民イスラエル(後編)」

"主はアブラムに言われた。「あなたは、あなたの土地、あなたの親族、あなたの父の家を離れて、わたしが示す地へ行きなさい。
そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとする。あなたは祝福となりなさい。
わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪う者をのろう。地のすべての部族は、あなたによって祝福される。」"
創世記 12章1~3節

※前回(#83「聖書的終末論③神の民イスラエル(前編)」)の続きです。

☆イスラエルを取り巻く状況を考える際に、クリスチャンとして神に敵対する霊的な存在、…つまり、悪魔、悪霊の存在を無視することは出来ません。

悪魔、悪霊はリアルな存在であり、彼らの活動のモチベーションは「神のご計画を破壊すること」です。

その為に、彼らは神の、イスラエル民族に対して結ばれた約束が実現しないように動き回ります。

☆前回の復習ですが、「イスラエル民族に対して結ばれた神の約束」とはどのようなものだったのでしょうか。

創造主なる神はアブラハムという一人の人物を選び出し、そのアブラハムとその子孫であるユダヤ人(イスラエル民族)に対して5つの契約を結びました。

(『アブラハム契約』、『モーセ契約』、『土地の契約』、『ダビデ契約』、『新しい契約』の5つです)。

それら契約の中で、様々な約束を神はイスラエル民族と結ぶのですが、それを2つに大別すると、新旧約聖書が完成した現代の視点から見て、「もう既に果たされたもの」「これから果たされるもの」に分けられます。

☆「もう既に果たされたもの」の代表的なものは、「ダビデの子孫としてメシアが降誕される」という「イエス・キリストの初臨」に関わる約束です。

一方で「これから果たされるもの」は、「キリストの再臨」であり、それに続く「メシア的王国(千年王国)の実現」、また「土地に関する約束(アブラハムとその子孫に与えると約束された土地が彼らに与えられる約束)の成就」です。

神はイスラエル民族と結ばれたそのご自身の契約、約束に則って、そのご計画を進展されます。

☆故に、悪魔、悪霊は個人も攻撃してきますが、しかし彼らの絶対的な攻撃目標は常にイスラエル民族です。

故に、悪魔の支配下にある今のこの世界も、懸命にイスラエル、ユダヤ民族を憎み、その存在を抹消しようとするのです。

イスラエル民族は神の約束の担い手であり、全ての反ユダヤ主義の背後には、常に、神に敵対する悪魔の暗躍があるのです。

しかし前回も解説した通り、イスラエル民族は決して滅ぼし尽くされません。

"主はこう言われる。太陽を与えて昼間の光とし、月と星を定めて夜の光とし、海をかき立てて波を騒がせる方、その名が万軍の主である方が。
「もしも、これらの掟がわたしの前から去ることがあるなら──主のことば──イスラエルの子孫は絶えて、わたしの前にいつまでも一つの民であることはできない。」"
エレミヤ書 31章35~36節

神の真実にかけて、イスラエルは守られます。

実際に、イスラエルはこれまで数え切れないほどの民族抹殺の危険性に遭って来ましたが、現実に今、イスラエル民族が民族として存在し続けています。

このことこそ、聖書の神、イスラエルの神こそが、真の力ある神であることの最大の証左となっているのです。

勿論、イスラエルも不信仰に陥り、罪を犯せば神からの裁きを受けます。

しかしそれは矯正の為の懲らしめであって、滅ぼす為の裁き、裁きの為の裁きではありません。

聖書の神は親の愛をもってイスラエル民族を保護し、育てておられるのです。

☆さて、そのイスラエルに下った「神からの懲らしめ」の1つとして、紀元66~74年まで行われたユダヤ人による対ローマ戦争、通称「ユダヤ戦争」が挙げられます。

これはイスラエル民族の歴史の大きな転換点となりました。

「ユダヤ戦争」の最中、紀元70年に、ローマ帝国はそれまで包囲していたエルサレムを陥落させます。

ローマ帝国軍は一気にエルサレム市内に流れ込み、ヘロデ大王が建造した第二神殿を破壊し、非常に多くのユダヤ人を虐殺し、また奴隷として連れ去って行きました。

ユダヤ人たちによる抵抗運動は74年まで続いたとされていますが、実質的にこの時をもって戦争のカタは付いたと言えるでしょう。

ローマ帝国によって、全てのユダヤ人は祖国を失いました。

「ユダヤ人の世界離散」(ディアスポラ)は、この紀元70年の「エルサレム陥落」をきっかけとして始まったのです。

☆一般的に、国家を失った民族が、他の文化圏でその民族性を保てる期間は長くても200年(4~5世代)程度であると言われています。

アメリカに移住した日系人も、世代を重ねるごとに、その精神性がアメリカ人化して行くように、生活している土地と同化してしまうことは至極当然のことです。

しかし、ローマ帝国によって世界各地(主に西洋世界)に散らされたユダヤ人は、200年どころか2,000年近くも民族的アイデンティティを失わず、ユダヤ民族として今も尚、存続し続けています。

この事実からも、聖書の言葉が真実である、ということ、また聖書の神がこの人類の歴史に介入される神、生きて働かれるお方であることの確固たる目に見える証となっていると私は信じております。

☆紀元70年の「エルサレム陥落」は、実のところ、イエスをメシアとして受け入れることが出来なかった当時のユダヤ人に対する神からの裁きです。

しかし、「イスラエルは不信仰によって一度散らされたのなら、再び集められる」と旧約聖書で預言されています。

"ともに集まれ、集まれ。恥知らずの国民よ。
御定めが行われて、その日が籾殻のように過ぎ去らないうちに。主の燃える怒りが、まだあなたがたを襲わないうちに。主の怒りの日が、まだあなたがたを襲わないうちに。"
ゼパニヤ書 2章1~2節

この預言は「不信仰な(恥知らずな)状態での帰還」という意味ではありますが、1948年のイスラエル共和国建国をもって成就しました。

終末論的には、紀元70年の「エルサレム陥落」をもって、「いつでもこの世界が終末時代に突入出来る状態」となったと言えます。

「エルサレム陥落」から次のフェーズである「イスラエル共和国建国」まで、実に1,900年近いスパンがありましたが、神の視点からすればその期間の長さにも意味があったのでしょう。

イスラエルは神のご計画のタイムテーブルであり、神はこの世界の人々がイスラエル民族をどのように取り扱うかを見ておられます。

巷に溢れる反ユダヤ主義的風潮に流されてはいけません。

聖書が全人類に示す原則は、冒頭にもご紹介した聖書箇所、神がアブラハムと結ばれた契約の条項にもある

「あなた(イスラエル)を祝福する者は祝福され、あなた(イスラエル)を呪う者は呪われる」

なのです。

イスラエルを愛し、イスラエルに寄り添う人は幸いです。

※次回「聖書的終末論⑤第二神殿崩壊の預言」に続きます。

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