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Wine log #JPN004 Prestige Class マスカットベイリーA 2015

Prestige Class マスカットベイリーA 2015
/ ルミエールワイナリー(山梨県)

軽めの飲み口で樽熟成のまろやかさ
マスカットベリーAの独特の果実感が濃縮されています

日本赤ワインの定番・マスカットベーリーA

カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー……などなど
有名な赤ワイン用の黒ブドウはたくさんあります。

その中でも日本の固有品種「マスカットベリーA 」は新潟県原産
川上善兵衛が近隣農民の収入源を確保する手段としてワイン醸造を志し、
さまざまなブドウ品種の交配を行い、その掛け合わせの中で、マスカットベリーAは誕生しました。

アメリカ産ベーリー種とヨーロッパ産マスカット・ハンブルグ種を交配させることで始まった品種改良の歴史は1927年から始まり、1931年に結実。
2013年に国際ブドウ・ワイン機構の品種登録が完了しているという、国際的にみれば歴史の新しいワイン用黒ブドウです。
ちなみに白ワイン用ブドウの日本固有品種「甲州」は2010年国際ブドウ・ワイン機構の品種登録。
日本固有のワイン用ブドウ品種としては、この2品種が国際的に品種として認められています。

日本国内での栽培範囲は非常に広く、北海道を除く東北から九州までに至ります。
その栽培範囲の多さからか、日本の赤ワイン用ブドウの生産品種としては最も多い品種となっています。

ベリーAもあればベリーB、ベリーCと続けて交配させているのでは…?
そう思って調べてみました。
ベリーBは実際交配させていたようなのですが、ワイン用品種としてはふさわしくなかったのか、完成には至らなかったようです。

マスカットベリーAの特徴


マスカットベリーAは大粒、大房に実ることから、以前は生食用にも栽培されていたようなのですが、現在ではワイン用の品種として扱われていることがほとんどのようです。

マスカットベリーAを山梨のワイナリーで試食したこともあります。
好きなだけ食べていいといわれたのですが、大きかったので1房食べるだけで精いっぱいな感じでした……。巨峰のように甘いわけではありませんが酸味があってとてもおいしかったブドウだと記憶しています。

マスカットベリーAのワインとは

マスカットベリーAから醸造されるワインは一般的に色味が淡く、渋みも強すぎることなく、飲み口も良いワインとなります。
このブドウには、イチゴやパイナップルなどに多く含まれる香りの成分「フラネオール」が豊富で、甘い果実の香りが特徴です。
ワインによっては「飴のような甘い香り」と表現される事もあります。

その甘い香りで得手不得手が決まる事もありますが
特徴的な香りを生かすか、その香りを丸く仕上げるかは、ワイナリーのコンセプトによって大きく変わってきます。
最近、ベリーAを使ったワインでも様々な味、香りのワインが増えてきているので、マスカットベリーAはこれから醸造方法が進化していくブドウなのではないかな、と楽しみにしています。

ルミエールワイナリー

ルミエールワイナリーはワイナリーが数多く存在する山梨県笛吹市一宮町にあります。
小高い丘の上にあり、レストランも併設、有料で試飲も可能なワイナリーで、自社製ワインの取扱量も様々。
今後、僕のnoteでも数々登場するのではないかと思います。

また、東京都千代田区平河町、青山通り沿いにも直営店があり
都心にいながら直販で様々なワインを買えるのもうれしいです。

ルミエールワイナリーは歴史が古く、
創業は1885年にさかのぼります。旧社名降矢醸造所として創業し、甲州園地下石蔵発酵槽と呼ばれるワイン醸造仕込み場は、国の登録有形文化財にも指定されています。
醸造技術の進歩から、ステンレスタンクにて醸造を行うようになり、地下石蔵発酵槽は使用されなくなりましたが、国の登録有形文化財に登録されるようになったことも受け、再び地下石蔵発酵槽は実際に使用されるようになりました。

今回紹介しているワインではないのですが、
石蔵発酵槽にて醸造されたワインは「石蔵和飲」として販売されています。
価格もリーズナブルで、メーカー直販1980円。
この話はまた、いずれ。

開栓、グラスに注ぐ。

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マスカットベリーAを2つのオーク樽で1年熟成、それら2つの樽熟成ワインをブレンドすることでベリーAの香りそのままに、熟成により加わった樽香が豊かさをプラスしています。
味はベリーAの軽さそのままに、想像していたよりもずっと樽感が出ていて、ベリーA独特の飴っぽさを抑えている感じ。
薄いとどうしても飲みごたえが少なく、飽きが来やすいこともありますが
このワインはそんなことなく、少し時間置いたらまた様子が変わってくるような楽しみもあります。

地理的表示にも話をつなげようと思っていたのですが、
ちょっと長くなってしまいそうなので、また次回にします。

今回もありがとうございました。



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