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【番外編】多くの男性が抱えている病気【なぜこのモテマニュアルを信じていいか】

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 深夜、僕は酔った女友だちを家まで送り届けていた。

 女性の姿で生活してから、女友だちが増えた気がする。自分が男性であり、男女両方が恋愛対象・性対象であることはもちろん承知の上で、それでもこうして距離感が近くなる女性は多い。そんなわけだから、一緒にいるときに酒を飲んでいても安心して酔い過ぎてしまう子も中にはいる。

 それは僕が過去に1度彼女を送り届けてもなにもしなかったという前歴や、酔ったら必ずタクシーや自宅まで送り届けることを知っているからというのも関係しているだろう。

「まだまだお酒飲むぞー!」

 そんな言葉と共に拳を突き上げる彼女。

「そんなこといって、さっきのお店でも一杯も飲みきれなかったでしょ」

 僕はそういいつつ千鳥足の彼女を支えながら、彼女の家の方角にすこしずつ進んでいく。そのとき道路の脇でぼんやりと立っていた大柄の男性が、こう声をかけてきた。

「お姉さんたち、このあと予定は?」

 見た目は簡素なトレーナーにジーンズ、髪型も派手ではない。それにここは住宅街。キャッチではない。おそらくナンパだ。僕も彼女も、一瞬で無言になる。

 プイッと距離をとって、無視をする。変に言葉を返すと、それに乗じて会話に乗っかってくる輩がいる。迷惑そうにしたのが伝わったのか、男性は「すみません」と謝った。

 いまの見た目になってから、女友だちと遊んでいても、たとえばそれが彼女とのデートだったとしても、ナンパには困らされるハメになった。こっちは男女で一緒にいるつもりでも、向こうから見たら女性二人組に見えるからだ。大抵は無視をしたり、断ったりするとすぐに諦める。ただ断るのもストレスだ。

 その後、すこし歩いて、路地を右に曲がる。そのあとを今度は左。彼女の家まで、もうあと1分もかからないだろう。なんとなく後ろを振り返る。

 さっきの男がついてきていた。

 僕の視線に気づいたのか、彼女も後ろの男に気づいた。

「え? え? なになになになに! え?」

 酔っているのもあってか、男の姿に彼女はパニックを起こしてしまった。僕としては早く移動したほうがいいと思っていたが、固まった彼女はなかなかその場を動こうとしない。

 震える手で僕の腕にしがみ付く彼女をもう一方の手でかばいながらも、男はどんどん近づいてくる。やがて男は僕らの目の前をなにをするでもなく、通り過ぎていった。

 走って彼女と彼女の家に向かう。家の前で再度、男が覗いていたりしないかを確かめて中に入る。念のため遠回りしようかとも考えたが、過去の経験から僕はとにかく家に入ってしまうほうが良いと判断した。

 オートロックを開け、廊下を駆けて彼女の部屋に入る。部屋に入った瞬間に、玄関で彼女は膝から崩れ落ちてしまった。ガタガタと震える彼女の横に座って、「もう大丈夫だよ。家も見られてないし」と声をかける。両腕で自身の両肩を擦る彼女の顔は、動揺からか焦点が合っていない。怯えきったその姿に、自分も肩を擦ってあげたかったが、いま僕が彼女の身体に触るべきではないなと感じ、言葉をかけるだけにした。

 やがて少しずつ落ち着きを取り戻したので、家を後にしようとしたのだが、帰り際「今日は一緒にいて欲しい」という言葉に従って、その日は彼女の自宅のソファを借りて寝ることになった。

 これがちょっと前の出来事だ。通りを何度か曲がってから、あの男が後ろにいるのに気づいたので、帰り道が一緒だったとかそんな可能性はほとんどないだろう。おそらく目の前をなにもせず通り過ぎたのだって、途中で尾行に勘づかれて致し方なくそうしたとしか考えられない。

 考えられるあの男の狙いは2つ。家の前など、僕と別れた直後に再度彼女に声をかけるつもりだったか、もしくは家の場所を特定するためかの、そのどちらか。酔った女性を見つけて、即座にそんな行動を思いつくなんてもはや思考が犯罪者のそれである。

 同じような体験談が僕にもある。

 その日は自宅近くの馴染みのBARで飲んでいた。普段から歩くこともままならないほど外で泥酔しないようには気をつけているが、その日は家が近いこともあっていつもよりお酒を飲み過ぎてしまった。

 会計を終えて、店の外に出る。少々足がおぼつかない。とはいえ、家は本当にすぐそこだ。ちょっと近道をして裏路地を通り、家の前の通りに出た。もう視線の先に自宅のマンションが見えている。

 そのとき、いきなり後ろから腰に手を回された。

「お姉さん、大丈夫ですか? 家まで送りますよ」

 見ると、大学生くらいの若い男だった。

 しまった。後ろにいることにまったく気づかなかった。

「いいです、いいです……」

 片手で男の鎖骨辺りを押して跳ねのけようとした。だが、その度に男はそれ以上の力で、自分の身体に僕の身体を引き寄せてくる。肉体自体は男の僕だ。普段ならもっと強く押し返せただろうが、いまは酔っていて力が入らない。

「いやいや、送っていきますよ。家、どっちですか?」

 その言葉に、酔っている自分でもとっさにこう思った。家を知られたらマズい。押しのけて逃げるのは無理、かといってすぐそこの本当の自宅に行くのはダメだ。万が一オートロックの扉を開けた瞬間に、一緒に入り込まれたら逃げ場がない。

 いっそのこと男だといってしまうか。いや、普段ならいいが、この状態の自分がいうのは危険だ。すこし前に韓国で女性だと思って声をかけた相手が男性だとわかったことで、逆上したナンパ男が相手を顔面が陥没するまで殴った傷害事件があったじゃないか。あと、もし「男だと知ってて声をかけている」のだったとしたら、なんの効果もない。

 とにかく腰に回る手の不快感を押し殺して、「あっち」と自宅を通り過ぎた先の角を指さす。

「こっちですか?」

 そういって男は言葉に従う。曲がったあとに「こっち」と、また自宅とは全然違う方向を指した。男は指示通りに道を進みながら、ずっと耳元で話しかけてくる。

「さっき見かけたときから、お姉さんタイプだったんですよ」

 その言葉に泣きそうになった。一体いつからついてきていたんだ。

「その服かわいいスね。胸元開きすぎじゃないですか……」

 といった瞬間、ブラウスの襟から手を入れてきて、直に胸を触られた。とっさにその腕を掴み、渾身の力で引きはがそうとする。そのときばかりは、ようやく腕に力が入った。

 さすがに向こうもなにかを感じたのか、胸からは手を離す。ここで僕は思った。遠回りするほうが危険だ。目の前の適当なマンションの前で「ここ」といい、オートロックの鍵を開けるフリをして腰に回された男の手を引き離す。そこで振り返り、扉の前で座り込んだ。

「ん? どうしたの? 部屋の前まで送りますよ」

 笑顔でそう訊ねる男。僕は手を左右に振って、答える。

「いい。もう大丈夫だから。帰って」

 相手を怒らせないように強すぎず、かといって意思が伝わるくらいにはキツめに告げる。

「いや、でも、心配なだけですから」

 尚も食い下がる男。どうしよう。この言葉をいうのは恐い。でも、言わなければ帰りそうもない。やがて、僕は意を決してこういった。

「警察……呼びますよ」

「ははは、大げさだなぁ。なにもしないですよ」

 と、軽快に笑う男性の前で僕がバッグからスマホを取り出したところで、ようやく男は自分の前から去っていった。そのときの、男の笑顔が一瞬で消えて「なーんだ、つまんね」という顔になるあの光景は、たぶん一生忘れることはないだろう。

 ドッと疲れて部屋に入り、ベッドに入って即座に寝た。翌朝、胸を触られたショックより、怒りが沸いてきた。しかし、いまさら遅い。初めて痴漢に遭ったときもそうだった。パニックで、捕まえるなんて発想が出ない感じ。通報する、怒るということよりも、なんとかこの場を逃れることを優先してしまう。

 しかし、そのあとからではもう捕まえようがない。ときに、そのことで被害者であるはずの自分を責めることもある。それと同時に、こういった立件されないだけの性犯罪も多くあるのだろうなと思う。

 こんな出来事を男性に伝えると、「大げさだ。そこまで性犯罪者が多いはずはない。レイプ事件なんて稀だし、俺はそんな現場を1度も見たことがない。たくさんの男が犯罪を犯そうとしているなんて考えられない」そんなことをいわれることがある。

 だが、平成29年度に内閣府が発表した、「男女間における暴力に関する調査」という資料によると、以下のような回答がある。

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 民間の調査などではない。国が出した発表だ。そして、その相手は顔見知りが87%という驚くべき結果になっている。つまり、よく連想するような、「見知らぬ女性をいきなり車に連れこんで山奥でレイプする」というような絵に描いたような『レイプ』より、断っても断ってもしつこい知人から無理やり性行為を求められることがほとんどだということだ。そして、被害者は「知り合いだから」「恥ずかしいから」「断り切れなかった自分も悪いから」と言い出せないまま、数に反映されていない性犯罪が6割もあるのだ。

 しかし、とうの男性は「本当にそんなことたくさん起きてる? 男がみんな犯罪者とでもいうわけ?」とあっけらかんと言い放つ。たしかにみんなではない。みんなではないが、男性の多くが自分の加害性に無自覚だ。人によっては自覚ありきで加害する人もいるだろう。そっちはガチのレイプ魔だ。

 性犯罪者として捕まったことがない人も、まったく身に覚えがないといえるだろうか。相手に確認をせず、ホテルに連れこもうとしたことは? 酔った女性を介抱している最中に無断でキスをしたり、身体に触ったことは? 部下や取引先などの断り辛い立場の女性を口説いたことは? 本当に1度もないだろうか?

「そういうのはいわゆるリア充や、チャラチャラした男がやることだ。モテない俺には関係ない」

 そんな風に思う人もいるかもしれない。では、例えばフラれた相手にもう1度告白したことは? 胸や下半身ではなく、腕や肩などに許可なく触れたことは? 連絡を返してこない異性に、何度もしつこくLINEやメールを送ったことは? 正直にいおう、僕は心当たりがある。

 いま思えば相手がどれだけ不快に思ってたかなんてわからないし、確かめようもなければ、確かめてはいけないとすら思っている。確かめて相手が実は不快に感じていたとして、いまさら謝ったってそれは自分の自己満足にしかならないからだ。だから、僕はこの過去を一生悔いて生きていこうと思っている。

 なにも恋愛や性行為自体を否定しているのではない。なんならお互いが同意の上でなら、ワンナイトでもなんでもやってくれたらいい。だが、僕が問題に感じているのは「強引に口説いてやった性行為にも、確実に同意があった」と思い込んでる男の多さなのだ。

 さっきのナンパついでの痴漢男は知人ではなく見知らぬ他人だが、家のドアの前まで来てそこから「家に入りたいなー。一緒に寝ようよ」とか粘って、最終的に暴力などの可能性に折れた自分とセックスをしたとしても「一夜のラッキーな出来事」くらいに思っているかもしれない。

 だがしかし、その異常性を学校などが男子たちに教えてあげることはない。もしかしたら、女子には教えてくれるところもあるかもしれない。そんなときの言葉はいつも決まってこうだ。

「きちんと自分の身は守りましょうね」
「お酒の飲み過ぎはダメ。襲われるかもしれません」
「避妊は女性側で気をつけましょう」
「困るのはあなたたちなんだから」
「男性にいっても仕方のないことですよ」

 いつでも女性だけがこのような《自衛》を求められる。姿だけが女性になった自分ですら、この安全大国の日本が夜道は男性を警戒しながら歩かなければいけず、覚えのない配達員の来訪には「差出人と品名」を確かめてからでないとオートロックも外せない国になった。

 もしかすると、生まれながら女性である人の中には、それが当たり前過ぎて理不尽だとすら感じていない人もいるかもしれない。しかし、男性の立場で暮らしていた自分はこう思う。「女性」というだけで、なぜこんな生活を強いられるのか。

 その一方で、男子は義務教育で正しいコンドームの付け方を教わることもなく、道端に落ちているアダルト誌を友人数人で回し読みして

「口では嫌だといっていても身体は正直」
「女性秘書の肉体接待」
「泥酔した女友だちをお持ち帰り」
「ナマ中出し3連発」

 なんて文言を見て大喜びをする。創作物の否定ではない。フィクションでしか「女性」を知ることができない、その環境に疑問を感じている。そして、多くの男性は「きっと女性はこうだ」といった、認知の歪みを患っていく。そんな状況だから、女性は男性というだけで警戒心を持って接し、暴力の可能性も考慮して強く出られなくなり、男性は無自覚に「ただ《フツー》に口説いてるだけ」なんて勘違いが生まれる。

 正直なところ、このマガジンシリーズは「女性を傷付けてでもセックスがしたい犯罪者思考」の男性まで矯正できるとは考えていない。だから、睡眠薬を酒に混ぜて女性を暴行する男性や、女性のわいせつな写真を撮って脅して性行為をする男性はたぶん止められない。

 しかし、この女性の恐怖心や警戒心に気づかず、自分は《フツーに》口説いてるだけだと思い込んでる男性には変わってくれる可能性を信じているし、女性への偏見を募らせる前の義務教育課程の男子なんかにはいまから覚えて欲しいとすら思っている。

「そんなこといったって、世の中の『恋愛工学』とか『女にモテる方法』とか、そういうのでは『女にはセックスの言い訳が必要』とか『女とセックスした分だけ男はモテるようになる』とかみんないってるし、実際そっちのほうがセックスができそうだ」

 このマガジンシリーズを始めた当初から、そういった男性の意見は何度か目にした。では、「女性のために」とかそんなんじゃなかったとしても、なぜこのコラムが正しいかを説明するために、すこし話が変わるがこの図を見て欲しい。

正しいほう

 これは自分が男性の姿でサラリーマンをしていたとき、「営業のイロハ」としてよくいわれていた「人が商品を買うときの心理」である。くれぐれも「女性が男性を選ぶときの心理」ではないことを間違えないでいただきたい。

「断られても粘れ」「時には強引に!」みたいなモテ術はこれに近い。要は絶対にYESの層だけでなく、どっちでもいい人をYESにする技術。しかし、これは「かなりNO寄り」の人までをYESに持ち込む可能性がある。

 理由は様々だ。「断りきれなくて」「めんどくさくて」等々。それも行き過ぎると「押し売り」になりかねない。あとからクレームが入ることもある。だから、契約書を交わすなどの「YES」の確認が入る。そこまでしたって、たまにトラブルが起きることもあるのだ。

「自分は恋愛やセックスのとき、押し売りなんてしたことがない」

 そう思っている男性は多いだろう。だがしかし、あなたたち男性と、相手側である女性が見ている景色は違う。男性の僕ですら感じた経験があるように、力で抵抗できない相手からなにかを求められること自体が強要になることがある。

 ただでさえ、女性は痴漢や性犯罪の危険性を意識しているのだ。いま笑顔で話しているあなたが、いつその生まれ持った腕力を行使して要求を行動に移すかもわからない。だから、できるだけ怒らせないように接してしまったり、強い言葉を使うことを躊躇する女性がいる。

 男性は自身が持つ加害性に鈍感だ。そんな人に僕がいつも使う例えがある。それは「ナイフを持って女性に接している自覚を持つこと」である。

 あなたはあなたが安全だと知っているし、無理やりなにかをする気もない。だが、そんなあなたがナイフを突きつけながら、誰かになにかをお願いしていると考えてみて欲しい。あなたはにこやかに「なにもしませんよ~」なんていっているが、相手からすればいつ刺されるかわかったもんじゃない。しかも、その相手は「1回断られたくらいで諦めるな」なんて教育を受けている。

 よく性被害に遭った女性に投げかけられる言葉がある。「どうして抵抗できなかったんだ」「なんでそんな相手を家に入れたんだ」そんな言葉だ。しかし、女性からすれば相手は契約書を交わす気のある営業マンではなく、ナイフを持った押し売りなのだ。

 もしあなたが相手の「NO」の意思を見誤って行為に及んで、その後訴えられたらあなたは立派なレイプ犯になる。ああいった間違ったマニュアルのアプローチを続けることは、女性のためだけでなく、あなたのためにもならない。毎回いっているが、いままで捕まらなかったというだけで、それは「断り辛いレイプのやり方」だ。

 このシリーズの最初のタイトルにある「ほとんどの男性は女性を口説くための『スタートライン』にすら立っていない」という、この「スタートライン」とはつまり「女性側から見えている、あなたの持つナイフを自覚すること」から始まる。そうするだけで女性との接し方が変わる、話し方が変わる、アプローチも変わる。

「でも、断り辛いからとかハッキリNOがいえないって理由で、付き合ったりセックスさせてくれる女性がいるなら、そういう人を見つけるためにいまのやり方を変えたくない」

 そう思っている人は、すでにその発想がレイプ犯やストーカーのそれになっていることを自覚すべきだ。あなたたちは頭がおかしい、病気だ。カウンセリングを受ける必要がある。だが、そんな病気を自覚せず女性を口説いている気になっている男性は多い。相手の女性を傷付けて、一生癒えないトラウマを植え付けて「あのときは病気だったんです」じゃ済まされない。

 繰り返していう。このコラムシリーズを信じれば、あなたはモテる。

 このシリーズのタイトルに「女性の正しい口説き方」と銘打ったのは、口説き方を知りたい男性たちに読んでもらいたいと考えたからでもあるが、一番は女性たちに読んでもらうためであった。正直「女性の正しい口説き方」なんてタイトルを見て気分が良くなる女性はいないだろう。

「また『1人カラオケしてる女性の部屋に乗り込め』とか、『ナンパで女に慣れろ』とか迷惑なやり方推奨してるんじゃ……」

 と思った女性たちに読んでもらい、「これは正しい!」と肯定してもらいたかったからだ。考えてもみて欲しい。どこぞの男性が「こうすれば女にモテます!」といって、男たちだけが信じ込んでる恋愛工学やモテマニュアルと、その相手になる女性たちから肯定されているこのコラム、どちらが果たして≪正しい≫だろうか?

 ちなみに、初回の記事のSNS上の反応などはこちらの引用リツイートなどから見られる。ほとんどの男性は女性を口説くための「スタートライン」にすら立っていない。(https://twitter.com/OshimaKaoru/status/1377952834512056321?s=20

 これはあなたが犯罪者にならないためだけではなく、モテ術としても正しいのだ。

 いま、女性だからといって「結婚・出産」をしなくてもいいという考え方が広まってきている。だから、女性と恋愛がしたいという男性は真のモテ術を学ばなければならない。いままでは別に良かった。「誰の金でメシ食ってると思ってんだ!」なんて言葉を投げかけるモラハラ気質の男性でも、部下のお尻を触るセクハラ上司の男性でも結婚ができた時代だった。

 しかし、まだ格差はあるものの、女性の賃金問題も年々マシになりつつある。結婚をしない女性への偏見も徐々に減っていくだろう。もはやなっているという意見もあるが、どうだろう、「女は結婚するもの!」という頭の硬い親世代がいる限りはまだ少しだけ時間があるかもしれない。

 そんな時代へ移行し始めている昨今、それでもまだ「まともな男性がいたら結婚したい」くらいに思っている女性はちゃんと存在する。だけど、その「まともな男」がいないのだ。

 結婚できない、できたとしても、夫のモラハラ気質やセクハラ気質が露呈してあっという間に離婚する。男性が「男はこんな感じで大丈夫」だと思っていた時代はやがて終わる。だが、他の記事でも書いた通り、「女体を求める男性」はどこにでもいる。そんな彼らが間違ったモテマニュアルや、周りの性犯罪予備軍である男性の「女なんて酒飲ませちゃえば一発だよ」なんて言葉を信じて女性の身を危険に晒す。

 逆は成立しない。なぜならばあなたたち男性の多くが恋愛目的だろうと性行為目的だろうと、女性を求め続ける限り、そしてそれを女性が拒絶する限り女性側の需要だけ爆上がりするからだ。まともな男性だけがパートナーを見つけられて、まともでない男性は一生女性に飢え続ける。女性と恋愛がしたいと思っているならば、いまこの瞬間、あなたは変わらなければならない。

 そんなわけで、今回はなぜこのモテマニュアルが有用なのかについて、疑っている男性に向けた番外編的な内容だった。

「ちぇっ……今回は番外編だから口説き方はなしか……」

 そんな風に思った人に、やはり番外編なりのモテに関連する部分をお伝えしたいと思う。

「コンドームの正しい付け方を覚えよう」

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 ちょっと最初のほうでそんな話が出たので、言葉や行動というより、学習に近いが、これを女性を口説くとかいう以前に覚えてもらいたい。異性との接し方の教育で道徳などはもちろん大切だが、性教育も重要だと考えている。

 しかし、小学校・中学校の義務教育では不十分だ。女性側は妊娠や出産の危険性について、ある程度自衛のために自分でも勉強している人がほとんど。女性は妊娠したら必ず産むか堕ろすかの選択を迫られる。あなたはどうか? 「射精できて気持ちいい」で終わり。そんな認識が伝わると、相手はセックスの前からあなたに不審感を覚える。

 そして、これがなぜモテにも繋がるかというと、明確な理由がある。なぜならば、前にいったようにたまに「セックス」と「付き合う」が前後してしまうときがあるからだ。いや、非モテからすると、そこまで辿り着いただけで羨ましいとか思うのかもしれないが、このコラム集を実行していけばいずれ「あなたとなら……」という女性はきっと現れる。

 しかし、そこまでいってもあの図だ。

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 もう全部の記事でこれを載せてる気がするが、この図はいつでも降格するということを思い出して欲しい。あなたは「とうとうセックスに辿り着いた!」と思っているかもしれないが、女性の多くはあなたとの初セックスの最中ですら「この男性は大丈夫な人かな」という目で見ていると考えたほうがいい。

 特に多いのが「正しいコンドームの付け方の②」で、本当になにも考えず表裏間違ったらひっくり返して使う人がめっちゃくちゃいる。だけど、大体の女性は自衛のためにカウパーでも妊娠することを知っている。「一度目は仕方ないけど、次はないな……」なんて思わせたら、その後のセックスもお付き合いもあり得ない。

「そんなの関係ない! 俺はセックスができたらそれでいい!」

 そんな考えは捨てたほうがいい。何度もいうが、あなたのその女性の身体を軽視した言動は、見せているつもりがなくとも大体相手に伝わっている。あなたの性に対する認識では、ワンナイトの相手すら寄ってこない。

 コンドームの避妊率は86%とされている。ただし、これはみんなが正しくコンドームを使っていないという前提で算出されており、正しく使えば98%まで上がる。これは1年間100人の女性が避妊を《し続けた》場合2人妊娠するという確率。ほとんど100%に近い数字なのだ。なんの労力もない、ただコンドームを正しく使うだけで悲しい想いをする女性が減る。

 あなたはセックスを「できたら、ラッキーなこと」「気持ちいいこと」とだけ捉えているかもしれないが、『まともな男性』からしたらそんなのセックスしちゃいけないレベルの認識だ。

 ワンナイトや婚前交渉の全てを悪いとはいわない。しかし、最低限セックスがしたいのなら、相手の女性の身体を危険に晒し、命を宿してしまうかもしれない行為だという覚悟を持って臨むべきだ。あなたが安心・安全な男性で身を任せられる人物だと、相手の女性へ常に証明し続けることを忘れてはいけない。

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