イイ女の条件
イイ女の条件ってなんだろうか?
以前、無遠慮な男性の下ネタに顔をしかめた際に、こんなことをいわれたことがある。
「過敏だなぁ。生娘じゃないんだから、こんくらいサラッと流せるのがイイ女ってもんだよ」
どうやらこの男性は僕のことを女性だと思い、ありがたいことに「イイ女」についてレクチャーをしてくださっているらしい。はて? イイ女?
では、なんだろうか。
男の下ネタや性的な誘いをサラリと流し、愛想を振りまき、男をノせるのが上手なことがイイ女だとでも?
それはイイ女ではなく、男にとって「都合がイイ女」の間違いではないだろうか?
この論調は、様々なところで現れる。例えば、自分が望む女性像に当てはまらない女性を指して、「かわいげがない」なんて表現で誤魔化して、必死に批難する男性もいる。
彼らはいつも女性には自分よりバカで無知で、ただ合いの手だけ入れる見た目の良い置物であることを望む。「政治なんて女の子にはわからないか」「ああ、あの作品が好きなんだ。知ってる? あの作者はね……」なんて、なんでこちらが知らないことを前提にして話し始めるのだろうか。
そして、その女性が彼らよりもはるかに豊富な知識や、知性を持っていることがわかると途端に機嫌が悪くなる。これが二度と会うことのない相手ならすぐに立ち去れば済む話だが、上司や取引先の社長がこういうタイプだったりすると実にめんどくさい。
同じような出来事で思い出すのが、AV女優時代に監督からいわれた一言だ。
「AV女優が真面目なこと話すと、ヌケなくなっちゃうんだよね」
振り返ってみればたしかに、自分にも経験があった。とある雑誌のインタビューで「どうしてAVに出たんですか?」と聞かれた際、目標や自分の信念について熱く語ったところ、記者からこういわれたのだ。
「あのー、もっとエロいこといってもらえませんか?」
筆者がAVに出ていた5年ほど前のことだから、もう自分の意思で自らAVの世界に飛び込んでくる女性もたくさんいたころだ。有名大学を出ていても、憧れからAV女優という職業を選んだという人もいた。
彼女たちは総じて志も高い。このときの僕と同じように、AV出演を安易に捉えていないし、SNSでも女優名のアカウントで政治や経済のことについてバシバシ触れる。
だが、なぜだか数年後同じ質問に
「Hなことが大好きだからAV女優になりましたー!」
と答えるようになる。だって、そんな男より賢くて優秀で意識の高いAV女優なんて、彼らに望まれていないことを痛感するから。
おそらく普段男性を相手にするキャバ嬢やホステスの方にも、同じことを感じた人がいるだろう。いってしまえば商売なので、そういった職業の人が相手の望む姿を演じるというのは営業努力なのかもしれない。
だが、何を勘違いしたのか、そういう職業でない女性にまで『自分が望む女性像』を押し付けてくる男性がいる。彼らにとっては、全女性が無料コンパニオンとでもいわんばかりだ。面倒になって「すごーい」とか「知りませんでしたー」なんて言葉はもう返さない。
男性の自分がバカな男の望む女を演じたって、バカな男が喜ぶだけだ。「めんどくさい」には「めんどくさい」で対抗してやる。
そんな『イイ女』になんてなってやるものか。
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