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ステキを忘れたくない私へ

このノートは、イベントレポであり、同時に忘れっぽい自分への備忘録である。


私が「人生最後の推し」と思いながら追いかけた推しが芸能界を去り、あと1ヶ月で早一年が経とうとしている。もっともっと彼を知りたくて、社会人になってから本気を出して勉強し始めた韓国語を彼の前で披露する機会は一度としてなかった。彼が芸能人でない期間も長期化し、慣れてきたように振舞いながらも、ずっと物足りなさから目を背けて過ごしていたようだ。このままでいいのか?と自問自答し、それでも一番は彼に変わりなく、ここ半年くらいは、常に小さな期待と大きな不安を胸に抱いていた。だから、新しいアイドルの開拓に乗り出そうと、体が動いたのだろう。

今は便利な世の中なので、グループを指定せずとも、自分の休みにどのグループがライブやイベントをしているか知ることができる。ふと、そうだ休みにどこか行けないか、と思い立ち、ちょうど私の休みと被っていた現場は、「WE IN THE ZONE」という韓国ボーイズグループのライブだった。現場までは、片道約2時間。通常盤CDが買える程度の交通費。それらを費やす価値を、私は見出だせるのだろうか。彼らは見出してくれるのだろうか。当日の朝まで悩んだ。悩みながら、化粧を始めた。でも、行こうと思えた。


結論としては、行って良かったと思った。


現場は繁華街にあるビルの中に作られたライブハウス。開演15分前に入場した。前の3〜4列くらいはすでに人で埋まっていた。今日もモブに徹するぞ、と意気込んでいたので、後ろから2列目の椅子に座った。物販のリスト的なものは後ろに静かに置かれていたが、その周辺にグッズはなく、勇気を出してペンライトありますか?と聞くと受付で購入できた。

開演まであと数分というところで、スタッフからチケットの確認をするとアナウンスが入った。チケットを紛失したのか?よく分からないが、最前列に座りおっとっけ…と呟く韓国人がいた。確認に数分取られ、開演は約10分遅れた。

そして、メンバーが出てきてライブが始まった。画像で見ていたより、みんな格好いい!が私の最初の感想である。入る前に曲を聴いて名前を覚える努力をしていたので、ステージを観ながら名前を覚えた。多分、もう、大丈夫…。(なお、この後結局数日通ったのでもう完璧である。)


ステージ構成としては、彼らの曲やカバー曲、そしてトークと、日毎に変わる映像とスペシャルステージという感じだった(この順番通りではない)。ファンを喜ばせたい!楽しく帰ってほしい!という想いが伝わるようなステージで、最初はぼんやりと眺めていたステージも、後半には彼らの和気藹々とした絡みを笑いながら観ている自分がいた。


初見でみた私の各メンバーの印象を述べると、イスンさん(リーダー)は人気なようで歓声も大きかった。また、リーダーとしてステージ上でメンバーに適宜声をかけることも多く、メンバーの状態を見ながら動いているのだなぁと思った。ただちょっぴり抜けているのか?トークやメンバーとの絡みを見ていると天然な感じを得た(そして萌えた)。

ジュアンさんは何と言っても、お顔が「お美しい」って感じで、韓国アイドルグループに一人は欲しいビジュアルの人だと思った(恐竜顔とはああいうお顔のことかな)。クールなタイプなのかと思いきや、結構楽しそうにステージを盛り上げるタイプで「このギャップはマダムキラーになりそうだ…」と静かに激震していた。

ギョンホンさんは絶対に対応が良い!って雰囲気が漂っていた。もちろんどのメンバーも客席に目を向けてくれていたが、ギョンホンさんは一際目が合ったように錯覚した。その甘いマスクで客席を沸かせたかと思いきや、迫力のある歌声で観客の心を一気に掴むような人だった。歌、本当に上手い。

ミンさんの私の第一印象は不思議ちゃん(笑)。ステージでも言動に4次元感が漂っていたと思う。でも誰よりも楽しそうにステージを行ったり来たりする人だった。これは沼にハマると永遠と抜け出せないタイプのアイドルだと思うので、片足を入れるのであれば覚悟を決めた方が良い。

そして、マンネ、シヒョンさん。なお、彼に関しては私が冒頭で感じた印象と、ステージ後半で得た印象はガラリと変わった。

最初に感じた印象は、「彼は『韓国のまゆゆ』だな…」である。私がなぜまゆゆ(元AKBの渡辺麻友さん)だ…と思ったかというと、昔彼女のファンだったクラスメイトが、「まゆゆはどこから見ても完璧!変顔とかない!いつ何時写真を撮っても完璧なルックスなんだ!」と言っていたので、すん、と澄ました顔をして表情を崩さず、サイボーグのような…どこか人間離れした凛々しさを纏っていた彼にそう感じた。他のメンバーがキャッキャとはしゃぐ中でも、マンネの彼はスッと感情を無くしたような、陶器のような、表情をしていた。彼は色々なサバイバルにも出て、ファンも多いと聞くが、この可愛らしい顔を持ちつつもストイックな感じがファンを魅了したのだろうか、と思っていたが、それが全て私の思い違いであったと分かったのは、彼のソロステージの時だった。

ステージ前、他のメンバーが捌ける際に、急に緊張した表情でメンバーに行かないで!と縋る姿を一瞬見せた。あれ?表情が崩れた?と思ったが、そのままステージは進行…そして、彼が歌い終わったあとだったろうか。


彼は、ぐにゃん、と表情を歪めて泣き出した。


彼が背負っているものは何なのだろうか?メンバーに慰められ、ファンに慰められ、涙を拭いた彼は、ステージ前とは全く違う表情をしていた。少し困ったように眉を下げながらも、目を細めて、笑みを溢した。

…ああ、さっきまでの顔は、感情が溢れないように塞き止めていたんだね。

そう思うと、一気に愛しさが溢れた。そして彼を抱き締めて、涙を拭うメンバー達を見て、ああ、この子達は本当に良い子達だ、と思った。泣いてしまったからか、残念ながらアンコールには姿を見せなかったシヒョンさんではあったが、その後の特典会でシヒョンさんに行った時、「初めて来てくれたのに泣いちゃって…」と恥ずかしそうにはにかんだ姿は、万人に見ていただきたいくらいキュートで愛嬌満点であった。

初めての現場であったから、残念ながら私は彼が一体どういうことを思い涙をしたのか分からない。何を抱えているのかも、彼の口から出た拙い日本語が本意なのかも分からない。それでもあのメンバー同士のやり取りと、泣いたあと付き物が取れたような表情を見たら、きっと大丈夫だろう。


特典会の話をたくさんする気はないが(サイン会以外はパーテーションで仕切られていたため)、個別サイン会は一人一人の時間も長く、中にはファンと手を繋ぎながらお話をするメンバーも…。本当に、対応がかなり良い。ファンと仲良くなりたい、楽しくお話したい、という彼らの心遣いが伝わってくるようだった。サインの際のハイタッチは当たり前、と言う感じであったので、接触に不慣れな私は心臓バクバクで死ぬかと思った。あれで平然と話し続けられるの、本当に尊敬する…。

その後の写真タイムでも、ファンからお願いされたポーズをちゃんとカメラ目線でやってあげたりと、サービス精神旺盛。後々知ったことだが、写真を本格的に撮るファンの方々はどうやらサイン会の時にポーズのリクエストをしていたらしい。それをサイン会後に記憶したままステージに立ち、思い出しながら一つひとつのポーズを指定したファンに向けて行うなんて…アイドルとは、なんて大変なお仕事なのだろうかと、暗記力のない私はつくづく感心したものだ。


…結果的に、初日に心を掴まれてしまった私は、計3日間、4公演を観に行くこととなった。まさか偶然観に行ったグループに、こんなに心を奪われることになるとは、私自身予想もしていなかった。しかし、これも何かの縁だ。私はご縁というものをちょっとばかり信じているので、この人達を応援したいな、推したいな、と思った。

もう一度、お伝えしておく。彼らの名前はWE IN THE ZONE(韓国語表記で위인더존)。10月30日に2ndミニアルバム「weeee!」をリリースし、満を辞して韓国でカムバックする予定である。とてもステキな人達なので、機会があれば是非一聴していただけるとありがたい。


…最後に、私ごとではあるが、彼らを推すことになると初めて接触の多いグループを推すこととなる。接触に耐性のない私にとって、現場でも不思議で仕方なかった、アイドルとファンの距離。私は彼らを大切な存在として、常に彼らの一挙一動にドキドキする一ファンでありたい。



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