アニメーションと音楽を同期させるためにカンペ表と電卓をつかう
音楽家兼アニメーション作家の私は、映像と音楽がぴったりシンクロ=同期する「音楽劇」というアニメーションを主に制作しています。
細かく・頻繁に映像と音のタイミングを合わせないとならないのですが、どう行っているかというと
「音1拍が、映像の何フレーム(コマ)分か」
のカンペ表を見ながら、ひたすら電卓で計算
しています。
その自作カンペ表がこちら。
解説します。
BPMとは
Beats Per Minute の略で、音楽の1分間の拍数を表します。
60BPMだと1分間に60拍、つまり秒針と同じ速度。120BPMだと1分間に120拍、秒針の2倍の速度。という意味になります。
FPSとは
Frames Per Second の略で、映像が1秒間に何フレーム分(何コマ分)の絵から成っているかを表します。
24FPSだと1秒間に24フレームの静止画が並んだ映像、という意味になります。
これらを踏まえて「音楽のBPMが○○で映像のFPSが○○の作品とき、音1拍が映像何フレーム分か」が計算できると、あとはそれを元にどんな拍数でも電卓で(得意な人なら暗算で)求められるようになります。
計算してみる
注意するのは、FPSは1秒間のフレーム数だけど、BPMは1分間の拍数であること。まずBPMを60で割って1秒間の拍数(言うなれば Beats Per Second)にしてから比較をします。
と計算できます。
例えばひとつ目の例(1拍12フレーム)の条件下でアニメ制作をする場合、
2拍なら、2倍の24フレーム
半拍なら、半分の6フレーム
64拍なら、64倍して768フレーム
と必要な長さを求めることができます。
※私は数字に弱いのでここで電卓に頼りっきりになります!
使える組み合わせは多くない
FPSとBPMの組み合わせは無数にありそうですが、案外そうはならず、上で計算した1拍のフレーム数が基本的には整数になる組み合わせでないと実用はできません。1拍 17.1428…フレーム、とか非現実ですもんね。
カンペ表の誕生
ではどの組み合わせが「1拍=整数フレーム」なのか。毎回計算して調べるのは面倒臭すぎる!ということで作ったのが、始めに貼ったカンペ表。
順列組み合わせの結果が整数になるものだけ(一部例外あり)プログラミングで書き出しました。
アニメのFPSを前提に、表の該当FPSの中からBPMを選んで曲を作る。
または、
作りたい曲のBPMを前提に、そのBPMが含まれているFPSを選ぶ。
というように使います。
曲の途中でテンポを変更する際も選択肢がすぐに分かって便利です。
個人的おすすめの設定
個人的には最近は 28FPS という設定ばかり使っています。28FPSのときは
BPM=140, 120, 112, 105, 84, 80 等が選べることになります。
途中でテンポの変わる音楽だとしても、基本的にはこの何れかのBPMを選び、映像は一貫したFPSで制作する。という感じです。
最後に映像を1~3フレーム早める
大事なのが、最後(でなくても良いのですが)に映像を音楽より1~3フレーム早めます。これは「動画先行の原則」といって、音と映像が物理的に完全に揃ってる場合、人間は映像のほうを少しだけ遅れて感知するらしく、それを補正するために映像を音楽より少しだけ早めます。
これはとても面白い話なので別の記事で詳しく書きたいと思います。
いちいち計算する理由
雰囲気(気合い)で音と映像のタイミングを合わせることも出来なくはないのですが、編集中は処理が重くズレが発生する可能性もあり、シビアなタイミング合わせだと書き出しを済ますまで同期できているのか確信を持てないこともあり、私はこのやり方で制作しています。
YouTube で「ミニ音楽劇」アニメーションを公開していますので、よろしければご覧ください!
https://www.youtube.com/c/studiopite3
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