見出し画像

茨城県の民話集をアニメーションにした話

作曲家・ギタリスト兼アニメーション作家の大柴拓です。今回は今年(2023年)初旬に制作したアニメーションについてです。


『上郷のつたえばなし』民話集制作プロジェクト

昨日(7/6)のよみうりタウンニュースで大きく記事にして頂きましたが、昨年〜今年の春頃にかけて茨城県岩間町(現: 笠間市)の上郷地区に伝わる民話を14話選んで冊子にまとめ、全ての語りを録音し、さらに内6つはアニメーションも制作するというプロジェクトに参加させて頂きました。

掲載記事の一部。馴染んでますが私ははるばる東京から…

コロナ禍で始めたアニメーション制作ですがこの3年間で民話(※)を題材にする機会は多く、世田谷区の民話、岩手の小学校公演のために作った浦島太郎、天狗伝説を元にした三部作などがありますが、今回のように特定の地域の民話集をつくるというのは初めてで非常に新鮮でした。
※民話には「伝説」「昔話」「世間話」などの分類があるそうです。


それぞれの得意分野が集って初めて出来る

今回制作したのは、

  • 『上郷のつたえばなし』の冊子(14話)

  • 全話の語りCD

  • 内6話の語り+アニメーションDVD

です。私はアニメーション制作の部分を担当させていただきましたが、今回の主宰で新しい民話も提供して下さった上郷在住の生駒敏文さん、民話の文献調査や脚本制作に強い高橋協子さん、ドラマの茨城弁方言指導などもされている女優の中澤敦子さんの語り、そして私のアニメーション。
と、それぞれの得意分野が集まることによって初めて制作することのできた企画であることを強くお伝えしたいです。何れか一人がどれだけ頑張っても成し得ない、作品制作とは集団・協力作業だな~と再確認する機会になりました。

制作した『上郷のつたえばなし』の冊子と、語り+アニメーションのDVD


口伝による民話伝承が廃れかけているらしい

地域の民話集というのはたぶん各街ごとに結構出版されていて、大体は図書館にいくと置いてあるはずです。民話は原作本など無く口伝なので、それをテキストに残すという仕事はほかの本を制作するのとはまた違う大事な役割を担っていると感じます。さらに今の若い人たちには口伝で受け継がれなくなってきてしまっているらしく、尚更廃れてしまう前に記録として残すことの重要性を感じました。


おそらく数十年に一度の企画になる

岩間上郷地区にも、別件で調査をした世田谷区にも既に民話集は存在していて、そしてそれはどちらも何十年か前のものでした。今回の企画でもそれらを参考にさせて頂きながら「新しく制作したこの民話集もきっと10年か20年経って、岩間上郷の民話を調べたいと思った誰かが目にするのかもしれない…」などと思うと改めて貴重な機会に立ち会えたことを光栄に思います。


初めて音楽なしのアニメーション

私は音楽家でもあり、作ってきたアニメーションは専ら自作の音楽(作曲・演奏)つきのもので「音楽劇アニメーション」と名付けているものが大半です。ですが今回は民話の語りとアニメーションのみ、という自分にとって初めて音楽なしの映像制作となりました。
この『上郷のつたえばなし』14話のうち6作分つくったアニメーションは笠間市の公式Youtubeチャンネルで公開されていて見ることができます。


普段制作している「音楽劇アニメーション」もYoutubeでいくつか公開されています。よろしければぜひご覧ください。


『上郷のつたえばなし』掲載作品一覧

最後に、10~20年後に検索するかもしれない誰かのために…

  1. 小豆とコノハナサクヤヒメ ※

  2. 天狗松

  3. 姥猿(おばすところ) ※

  4. 岩間きんご

  5. 黄金千両朱千ばい

  6. 難台山の赤すすき ※

  7. 宮池と源光坊 ※

  8. 首洗いの滝

  9. 村人を救ったゆずの木

  10. 大砲になった大杉

  11. 滝前のお不動様

  12. かみなり棒 ※

  13. たぬきに化かされた話

  14. 小豆ばばあ ※

※アニメーションあり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?